この言葉をもらったから僕は大丈夫だ。

 2023年11月1日に“reGretGirl”がMajor 2nd EP『告白e.p.』をリリースしました。『生活e.p.』以来約2年ぶりとなる、「告白」がキーワードになった5曲入りEP。失恋に関する曲を多くリリースしているreGretGirlですが、今回は恋愛に限らず、「思いを伝える」という大局的な意味で、幅広い層に聞いてもらいたい作品となっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな“reGretGirl”の平部雅洋による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、収録曲「月の色」にまつわるお話です。ずっと“友達”だったふたり。ある日の彼女からの“告白”とは。そして僕からの“告白”とは…。今回は音声版もございます。本人の朗読でもエッセイをお楽しみください。


平部雅洋の朗読を聞く

この度、我々reGretGirlは本日11月1日に『告白e.p.』をリリースいたしました。“告白”をテーマにバラエティに富んだ渾身の5曲が詰まっております。
今回、この今日のうたコラムではそのE.P.から「月の色」に纏わる文章を掲載させていただきます。是非ご一読ください。
 
 
 
高さや時間、満ち欠けで月の色は違って見える。昼間に見える薄い月は白だったり、真夜中に見る低い月は濃い黄色だったり様々だ。日によって色々な表情をもつ月は、僕ら二人の関係に似ている気がした。
 
二人でいると居心地が良い。くだらないことでゲラゲラ笑い合え、無言が続いても気まずく思わない。意見が食い違うこともなく、共通の趣味も有る。食の好みも合う。まるでドとミ、隣同士のパズルピース。綺麗に噛み合わさり調和し合う関係。そんな僕と彼女は互いを「友だち」と呼んでいる。
 
ただ“友だち”と呼ぶけど少し近い気がしていて、“恋人”と呼ぶには違和感がある。特別な感情を抱きながら、互いに他に恋人がいても、嫉妬したり独占したいとは思わない。不思議な力で引き合わされた二人はいったい何なのだろうか。
 
この曖昧な関係が人間臭くて僕は好きだった。世の中白か黒かハッキリしていることの方が少なく、5段階評価の2~4みたいなことが大概だ。オラついているヤンキーが動物に優しかったり。温厚な人が平気でゴミをポイ捨てしたり。そんなうまく形容のできない所が優柔不断な僕たちみたいで良いなと思っていた。
 
今、彼女に告げられた「結婚することになった」という、自分は経験をしたことのない未知の言葉を目の前に少し困惑している。恋人がいるのは知っていたし、十分あり得る話しだと分かっていたはずなのに。祝福の気持ちももちろんある。ただ本音を言うと少し寂しく思っている。
 
会えなくてもずっと何処かで通じ合っていると思っていた二人の関係が、結婚を機に少し変わってゆく気がした。だから最後にずっと心の奥底に秘めていた思いを伝えた。
 
「結婚おめでとう。今更言うのアレだけど、僕らいつか一緒になると思ってたよ」
 
「ありがとう。もしかしたら私たち前世で一緒だったのかもね」
 
この言葉をもらったから僕は大丈夫だ。
もう今この気持ちが愛情だとか友情だとかどうでもいい。大切な人には変わりないのだから。
 
今夜見上げた月の色は、見たことのない赤だった。
 
<reGretGirl・平部雅洋>



◆紹介曲「月の色
作詞:平部雅洋
作曲:平部雅洋

◆Major 2nd EP『告白e.p.』
2023年11月1日発売
 
<収録曲>
1. ページワン
2. バブルス
3. ワールド
4. マイフェアレディ
5. 月の色