いつか死ぬことを忘れるな。

 2023年10月11日に“シナリオアート”が新曲「センシィティブガール」をリリースしました。これまでにないベーシックなバンドサウンドで構成された楽曲となっており、現代の消費社会に対するアンチテーゼを表現した逸曲。またシナリオアートらしい異世界たっぷりな歌詞にも注目です。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな“シナリオアート”による歌詞エッセイを2週連続でお届け! 今回は第1弾。綴っていただいたのは、新曲「センシティブガール」にまつわるお話です。荒々しく、歪んでいて、初期衝動な音が込められた楽曲になった理由とは。そして「メメントモリ」というワードが自身に刺さるのは…。歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。



誰かの宝物になる音楽を作りたい。
誰かのお守りになる楽曲を作りたい。
過去の自分を越えたい。
新しい発明をしたい。
そして自分が一生モノだっておもえる音楽を作りたい。
 
様々な思いを巡らせながら、気合をいれて曲を作ろうとすると、筆が進まない。
完成間近に、はて? これでよいのか? とぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱に捨ててしまう。
気づけば、1年3ヶ月も楽曲をリリースしていなかった。
 
どれだけ情熱をもって挑んでも、彫刻のように少しずつ繊細に作り上げても
だれにも届かないような虚しい気持ちがあるが、あの超大作な映画も
忙しい現代人にかかれば早送りで、要点だけみる程度の価値しかない。
 
現代の僕らが一日に触れる情報は、江戸時代の1年分、平安時代の一生分だって言われている(しらんけど)。こんなにコンテンツに溢れかえった世界で、なにをうじうじやってんのか?
 
悩んでばっかりいないで、まず世間に投げかけてみろよ!
そうやって数年かけて描いた繊細な絵を、破り捨てるような瞬間を、この音楽にこめた。
 
荒々しくって、歪んでいて、初期衝動な音を込めてみた。
 
歌詞の中にある「メメントモリ」というワード
ラテン語で「いつか死ぬことを忘れるな」という意味あいの言葉を歌っている。
 
まさに自分に刺さるワードなのだ。最近は身近な人が病気になったり、突然いなくなることが多いのだが、それでもなんだか自分だけ死なない気がする、どこか楽天的な自分がいて
 
ちゃんとメメントモリを自覚しながら生きているのは、倍速で映画を見るセンシティブガール、アンドボーイなのじゃないか? と思うのだ。
 
そして「考える前にまずやってみろ!それも今すぐやれ!」という自分を鼓舞するような楽曲ができた。
サビまでちょっと長い曲に、果たしてどれだけの初聴きの人がついてこれるか
 
「センシティブガール」ぜひ聴いてくださいませ。
 
<シナリオアート Gt/Vo ハヤシコウスケ>



◆紹介曲「センシティブガール
作詞:ハヤシコウスケ
作曲:ハヤシコウスケ・ハットリクミコ・ヤマシタタカヒサ