はみ出し者の賛歌でありたい。

 2024年7月31日に“シンガーズハイ”が3rd mini Album『Serotonin』をリリース。初のZeppワンマンを完売させ、大型ロックフェスにも多数出演、今のロックシーンを猛進する彼らの新たなフェーズを感じさせる第2章の始まりの1枚となっております。
 
 さて、今日のうたではそんな“シンガーズハイ”の内山ショートによる歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回です。自身の歌詞に改めて向き合ってみたとき、いちばん大切にしていることとは。そして、集団に属することが苦手な自分だからこその願いは…。


以前にも同じことを書いたかもしれませんが、
自分の歌詞に対して改めて向き合ってみると、やっぱり一番重要なのは“誰に対して届けるのか”ということである気がします。
 
僕は普遍的な愛を歌うことが好きでした。家族、友達、恋人、それぞれに対して具体的に抱くものは違えど、誰に対しても感じる見えない奥の隙間の方にあるような気持ち。無理矢理に名前を付けるなら隣人愛とでも言うのでしょうか? そういったものを自分なりに言葉に起こしてみることが好きだったように思います。
 
しかしそういった歌が誰に届いてほしいのか? と考えてみると、これがまた話が変わってきてしまうのが不思議なことで…。僕の歌っているものは普遍的な愛であると同時に、はみ出し者の賛歌でありたいと願っている気がしています。
 
これは僕の被害妄想的バイアスが強くかかっている前提なのですが、自分はこの歳まで一つとして集団というものに属することができなかったように思えます。クラスメイトの声の大きい女子、部活での頼れる部長、憧れたアーティスト、それぞれが唱える「私たち」の中にきっと自分は含まれていないんだろう。そう考えることが僕にとっては日常でした。
 
唯一アイデンティティを見出せる気がした、音楽を主軸に生きている人間が集まるライブハウスの中でさえそれは変わりませんでした。同じ音楽を愛し、ロマンを抱き続ける人間ですら自分の気持ちが解けることは滅多になかった。悲しいことかもしれないけど、それをずっと抱えたままでも続けようと思えるのが僕には音楽しかありませんでした。
 
常に唱え続けていることではありますが、音楽の楽しみ方は自由であってほしいです。僕の口から出る言葉も、それぞれ思い思いの受け取り方、感じ方をしてくれれば良いなとは思っています。それでも願うとすれば、僕のような人間に一人でも届いてほしいと、これからも歌を残していきたいなと思っています。
 
<シンガーズハイ・内山ショート>


 
◆3rd mini Album『Serotonin』
2024年7月31日発売
 
<収録曲>
01. STRAIGHT FLUSH
02. 紫
03. ニタリ
04. 純
05. SENTI
06. エイトビート