2025年11月26日に“クジラ夜の街”がメジャー3rdフル・アルバム『ひかりあそび』をリリース。今作は、名前のとおり“光”をモチーフにしており、ジャケットや歌詞カードにはたくさんのこだわりが詰め込まれています。さらに、新たなアーティスト写真は、真っ白な衣装の4人を色とりどりの光が照らし、ファンタジーでありながらロック・バンドでもある彼等を象徴するようなビジュアルに。
さて、今日のうたではそんな“クジラ夜の街”の宮崎一晴による歌詞エッセイを3週連続でお届け。第1弾は、収録曲「スターダスト・ジャーニー」にまつわるお話です。無為な、光のような曲を書きたくて生まれたというこの歌。そこに在るシンプルな思いとは…。ぜひ、歌詞とあわせてエッセイを受け取ってください。
スターダスト・ジャーニー
という曲を書いた。
今回はそのエッセイ、というわけですが
本当に。
語ることがないなあ、この曲。
不思議なほどに言葉が出てきません。
いや
不思議ではないのか。
めちゃくちゃ当然のことかもしれません。
そもそも、そうなるべくして作ったのです。
無為な、光のような曲を書きたかったので。
現象のような詩を書きたかったので。
歌詞以上の言葉が出てこないのは正常かもしれません。
今回は
それでも。語ってみるなら。
こんな感じかな!?という、ほんのり無粋な、やかましエッセイ↓
スターダスト・ジャーニーという言葉に
意味はないです。
星が星という呼び名で
僕が僕という人間である、のと
おんなじくらい意味がないです。
この曲で歌われる世界は
ただそこにあります。
ただただそこにあるだけです。
すべてのものは
意味がなくても存在できます。
当たり前のことですが
みんな忘れがちです。
俺もたまに忘れて
生きてる意味ってなんだろう?
とか、不安に思う時があります。
そんなのなくていいのに。
僕たちは意味なく存在しています。
そのことに、もっと喜んでいたいんです。
それは
生を謳歌すべき、とかそんな
高尚なものでもなく。
星が綺麗だなとか
ご飯が美味しいとか
そのくらい身近で簡単な感性で
今ここに存在している気持ち全部抱きしめたい。てこと。
不安にすら輝きを見出して。
この歌はそういう、喜びに関する歌。
喜べるようになりたい男の子の歌です。
曲中の彼は
幸福について考えあぐねています。
相対的な幸福観に飲み込まれて
意味とか、メカニズムに左右されて
思考の迷路を歩き回っています。
彼の旅はすこし窮屈です。
そこにドン。
スターダスト・ジャーニー。
とかいう、本当に、なんでもないひかり。
きっととんでもなく綺麗で
そして全く意味のない絶景。
善意でも悪意でも
優しさでも怒りでもない
ただただ鮮烈な光を前に
彼は何を思うのか。
何かが変わるのか。
と、
物語のような調子だけど
結末らしい結末はないままこの曲は終わっていきます。
前述したように現象の詩ですので。
伝えたい主張とか
メッセージ性がどうとか
そういうのじゃないなと。
もはや感動させたい、とかも無かったりしてるんです。
あくまで自然体な光の歌。
ここまで色々語ってもみましたが
思いはシンプルでして
マジで無為に
みんな踊ってくれたらそれでいいというか。
個人的には
ライジングサンロックフェスでこれを歌った夜
6歳くらいの男の子がリズムに乗って最高のダンスをしてくれたあの時点で
この曲はなすべきことをなした!と勝手ながら思っておりまして。
あとはもう、みんなのもんです。
細かいこと気にせず
好きに聴いてみてください。
そんな感じでした。
あでも、ただ少し
無為だの現象だの言ってはみたものの
それとは別で
祈りのような意志が薄らと
言葉に乗っている気はしている。
星よりは自我のある
ほんの少しおせっかいな光。
スターダスト・ジャーニー、という楽曲。
<クジラ夜の街・宮崎一晴>
◆メジャー3rdフル・アルバム『ひかりあそび』
2025年11月26日発売
<収録曲>
1. 有明の詩
2. スターダスト・ジャーニー
3. ハッピーエンド
4. 嵐の夜のプリンセス
5. ひかるひかる
6. 憑依(Interlude)
7. 夕霊
8. REAL FANTASY
9. 星は何にも喋らない
10. 新聞配達少年









