ほんとはこんなことを、歌ってしまいたくないけど、歌わざるを得ない

 男女ツインボーカル3ピースバンド“シナリオアート”が、2020年4月15日に3年ぶりとなるニューアルバム『EVER SICK』をリリース。今作には彼ら史上もっとも多い、全14曲が収録。独立後からの発表となるシングルや、ライブのみの演奏となっていた待望の音源化楽曲に加え、完全新曲が6曲。新生シナリオアートの至極の1枚が完成しました。
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“シナリオアート”による歌詞エッセイを3週連続でお届けいたします!第1弾第2弾に続く最終回で綴っていただいたのは、収録曲「ブルーカラー」にまつわるお話。まるで実体験かのように綴られているリアルな物語ですが、その芯にある想いこそが彼が本当に伝えたかったメッセージ。是非、歌詞と併せてじっくりとエッセイをご堪能ください…!

~歌詞エッセイ最終回:「ブルーカラー」~

“子供がほしいな~”から始まる歌詞
「ブルーカラー」という曲の歌い出しなのだけど
ツッコミどころが多い。

あまりにも淡々と進む物語がリアルすぎて、
友人に聞かせると、
え?実話、、?って気まずそうにされる。
いやちがうし

この曲は真面目に生きてきたはずの男が、
普通の幸せすら手に入れられない
なんとも希望のない歌なんだけれども

最近、思うに

真面目に生きる人は、ほんとに素晴らしいよ。

友人にもそんな素敵な奴が何人もいる。
そんな友人を心から尊敬している。

そして真面目に生きるんだから、そういう人は
絶対報われるべき。

しかし、

「はあ??真面目を免罪符にして
逃げてないか?思考停止してない?」
ってマッチョな先輩が
根性論や精神論でまくし立てる世の中だよ。

そんなことないよ。
優しくまともでいることは、
圧倒的に不利なだけだよ、この世は。

ルールに則って、まっすぐ生きる奴が
一番報われるべきだとおもう。
しかし、世の中はそうじゃないことの方が多いよ。

ああ愛おしい奴らよ。
まっすぐ生きる奴らよ。幸せになって欲しいんだよ。

曲の最後に言い放つ、

「誰も言わないから 僕が言ってやるよ
現代には希望はない 夢なんてまやかし
希望なんてないよ 未来なんてないよ
奇跡なんてないよ 光なんてないよ
希望なんてないよ どこにも落ちてない」


辛辣なことを叩きつけるように歌う。

真面目に生きていても、
どうしようもなく情けない未来が
待っている確率が大きくなっている

ほんとはこんなことを、
歌ってしまいたくないけど、歌わざるを得ない

持たざる者は疲弊し、
持つものは逃げ切ることを考えている。

こんな世界で
希望や光だけじゃ生きれない人に
僕たちの音楽が寄り添えたら

誰かが歌えばいい音楽は誰かにまかせるよ。
こんな情けなく足りない自分だからこそ、
歌える歌だけを歌って生きたい

けどね
自分だって諦めてるわけじゃない。

いつか情けない奴らを大勢集めて、証明したいのだ。

こんな自分が大勢に受け入れられたら
全力で言える気がする

お前はなんにも悪くないって包み込みたいのだ。

出口の見えない日々だけれども。
全て報われる日がくるまで、、、、

3回にわたって文章を書かせていただきました。
このような場を与えていただけて本当に嬉しかったです。
改めて3年ぶりのフルアルバム『EVER SICK』

よろしくお願いします!!

<シナリオアート Gt/Vo ハヤシコウスケ>

◆紹介曲「ブルーカラー
作詞:ハヤシコウスケ
作曲:ハヤシコウスケ

◆3rd Full Album『EVER SICK』
2020年4月15日発売

<収録曲>
1.スターサイドシンドローム
2.エバーシック
3.アダハダエイリアン
4.イッツオーライ
5.ワイ・エム・ピー
6.クジラノナカ
7.オンリーヒーロー
8.シブヤメルトダウン
9.ブルーカラー
10.リープスル
11.ビューティフォーサンデー
12.シーユーネバーランド
13.ドライフラワー(dramatic ver.)
14.アイクローン