grating hunny
音楽が現実さえ動かしてしまう瞬間を。
2025年7月2日に“grating hunny”が Digital Single「インソムニアの底で」をリリースしました。眠れない夜をテーマにした、青春の逃避行を描いた1曲! 18歳の4人組が、無邪気に楽器を掻き鳴らし、爆音でロックを叫ぶ。大注目の新人バンドです。
さて、今日のうたではそんな“grating hunny”のスズキタイヨウ (Vo.Gt)による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「インソムニアの底で」にまつわるお話です。同じツラさや孤独、不安を共有し合っている<僕ら>の歌。この歌に込めた自身の思いは…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。
「やべぇ今日全然寝てねぇ(笑)」的なセリフは、調子に乗ってる奴が放つもんだと軽蔑されることもある。でも実際、なかなか寝付けない夜の辛さっていうのは、同じくその瞬間寝付けていない人間同士しか共有できないものだったりする。そして、そんな二人が出会ってしまえば――立ち止まって考えればそんな訳ないにも関わらず――運命的な何かを見たりする。
眠れない夜の不安感は、日が昇れば当人である自分ですら忘れてしまうもので、社会にどう話せばいいのか分からなかったりするものである。
二人は眠れない夜に寄り添い合うが、日が昇ればそんな時間すら忘れてしまうのかもしれない。
例えば、二人のうちのどちらかが「眠れる」ようになってしまえば、その関係は破綻してしまうかもしれない。別に睡眠の話を絡めずとも、恋人という関係は二人の間でしか成立していないものであり、外側からはその深さも辛さも見えないものだ。
僕はロックバンドをやっているんですけれども、音楽っていうものを深く考えれば考えるほど、それは娯楽に過ぎなくて、歌詞なんてものを深く考えれば考えるほど、それは綺麗事に過ぎない。
でも、この3年くらい、ぼーーーっとバンドを続けている間に、何度か音楽が現実さえ動かしてしまう瞬間を見たことがある。
本曲「インソムニアの底で」は、間違いなく誰かの現実を動かすために書いた歌詞であり、自分の悲しみや生活の不都合と引き換えに創り上げたメロディだ。
この曲を以てして、君が泣き止んでくれなきゃ困るってくらい、僕の全てはこの歌に込めたぜ。
お守りでもBGMでも、君の側にずっとこの歌が寄り添い続けますように。
<grating hunny・スズキタイヨウ (Vo.Gt)>