音羽-otoha-
途中で絶やすことは、もはや許されないだろう。
2025年12月17日に“音羽-otoha-”初のフルアルバム『LAST PLANET』をリリースしました。今作では、自身を取り巻く様々な世界と向き合う中で紡いだ全12曲を収録。さらに、全編自筆によるコミックと全収録曲の歌詞が融合した40ページに及ぶ漫画も収録。ファーストアルバムに新たな角度から光を照らす、作品性の高いブックレットは、クリエイター・音羽-otoha-ならではの魅力が詰まっております。
さて、今日のうたではそんな“音羽-otoha-”による歌詞エッセイを3回に渡りお届け。最終回は、収録曲「 あのミュージシャンのせいで 」にまつわるお話です。解散してしまうバンド、いつかは機能を失う身体、それでも消えることのないものは…。ぜひ、歌詞とあわせて、エッセイを受け取ってください。
深夜0時過ぎ、駅前のチェーン店に吸い込まれた。
特別食べたいものなどなかったけれど、このまま家に帰ってしまえば何も腹に入れずに気絶してしまう気がした。
席に着いて漫然とSNSを開くと、よく知ったバンド名と「解散」の文字が飛び込んできた。
果たして、この件で嘆いたり惜しんだりしているアカウントのうち何割が、ちゃんと彼らの音楽活動を追っていたんだろうか。
天井のスピーカーからは、嫌でも覚えてしまった流行の曲が降ってくる。
なんとなく、料理を口に運ぶ手が止まる。
自分より後に入店してきた男性がもう会計を済ませようとしているのを、横目で確認した。
上着のポケットからイヤホンを取り出し、おもむろに耳を塞いでみる。
再生した曲のリリース日を見てみると、そこには「15年前」という衝撃の数字が書かれていた。
形を変えながらも、芯はそのままで走り続けてくれている彼らのありがたさを、改めて噛み締めた。
「音楽にそれほど大きな力はない」と語る人もいるけれど、表現には覚悟が必要だと思う。
世に放った瞬間から、それはもう自分だけのものではなくなる。
わずかなりとも、誰かが受け取り、咀嚼し、その人の血として流れていく。
人間である限り、この声帯も脳もいつかは機能を失う。
だからといって、責任は消えるものではない。
なんらかの媒体に残り続ければ、目の前の店員の青年に届く可能性も、何百年後かの誰かに届く可能性も、ゼロではない。
ましてや途中で絶やすことは、もはや許されないだろう。
会計を済ませて外に出る。
ふと見上げた夜空は黒い雲に覆われていて、星はひとつも見えない。
それでもこの瞳には、貫くようなまばゆい光が今も映っている。
<音羽-otoha->
◆紹介曲「 あのミュージシャンのせいで 」 作詞:音羽-otoha- 作曲:音羽-otoha-
◆フルアルバム『LAST PLANET』
2025年12月17日発売
<収録曲>
M1. 地球最後の一日
M2. 狂信者のパレード -The Parade of Battlers
M3. あのミュージシャンのせいで
M4. engine
M5. 電光石火
M6. pineapple tart
M7. Do Re Mi
M8. 人生階段
M9. さよなら僕の初恋
M10. 闇夜のダンサー -Dancer in the Dark Night
M11. no man’s world
M12. 大生解