小貫信昭のコラム一覧
第12回 コラム画像です。 ゆず「夏色」 ゆずはデビューするや、みるみる人気者になっていった。彼らの歌は明快だった。「夏色
」、「少年」、「さよならバス」…。「こんないい曲を立て続けにマグレで出せるわけが
ない」と思った。そして取材で会ってみると、なんとも素直というか、一発で好きになる
好青年二人なのだった。初めて二人の演奏に触れた時のことは忘れない。それは今まで一
度も観たことない光景だった。場所は横浜の伊勢佐木町。
第11回 コラム画像です。 エレファントカシマシ「今宵の月のように」 先日も日比谷の野外音楽堂でライヴを観たが、エレファントカシマシはますます充実した
バンド活動を行っている。いぶし銀、という言葉を持ち出すほどの年齢ではないけれど、
これまでの歴史がちゃんと血となり肉となってきたのが彼らの今の佇まいだろう。そもそ
もバンドというのは、ちょっと不器用な人間の集まりのほうが長続きする。もちろん、こ
れはメンバー間の人間関係が良好であるという前提があっての話だが…。
第10回 コラム画像です。 スピッツ「ロビンソン」 スピッツの音楽は、激しいというよりは優しく響く。でもそれは、世の中の矛盾や欺瞞を
見逃さず、そこに立ち向かう人に勇気を与える優しさだ。今更ながらにそう気づいたのは
、新しいアルバムの「小さな生き物」のタイトル・ソングを聴いた時だった。あの歌には
涙した。人気が出たからといって丸くなったりはしていない。作風はあの頃のまま。メン
バーそれぞれはバラバラなくらい個性が違うが、スピッツの名のもとで音を響かせた時…
第9回 コラム画像です。 サザンオールスターズ「涙のキッス」 2013年に復活を遂げたサザンオールスターズ。ステージ上の彼らには、学生時代にキャン
パスで出会った頃の初々しさが、不思議なくらい残っていた。音楽に対する純粋な気持ち
…。それがプロとしての実績を上回るくらい強いからこそ、そんな佇まいとなるのだろう
。桑田佳祐のソング・ライティングの特色を最初に書いておこう。その特徴は、通常のJ-
POPアーティストがいわゆる「歌謡曲」と呼ばれるものを断絶することで自らのなかに…
第8回 コラム画像です。 今井美樹「PIECE OF MY WISH」 そもそも今井美樹という歌手は稀有な存在だ。クラシックのオーケストラと共演してもジ
ャズ・クラブで歌っても揺らぐことない歌唱力。それでいて、「どう、私、上手いでしょ
?」という押しつけがない、実に可憐な歌声の持ち主なのである。ジャズの世界でボーカ
リストを“ホーン・ライク”と称えたりするが、それはつまりサックスやトランペットの
ように歌う、ということなのだが、今井美樹はJ-POP版のそれであるとも言えるだろう。
第7回 コラム画像です。 井上陽水「少年時代」 井上陽水には何度か会ったことがあるが、みなさんが想像する通り、堂々とした存在感を
醸し出しつつもちょっと不思議な人である。彼の居る部屋には独特の空気感があリ、それ
はそのまま作品へも繋がる。稀にみる美声の持ち主であり、男の色気が香る。でも作品は
、時に大胆なほどシュールな切り口だったりする。当然、聴き始めは「?」が浮かぶ。で
も聴き終えた時、歌がモノゴトの真理をズドンと衝いたものであることに気づき…
第6回 コラム画像です。 岡村孝子「夢をあきらめないで」 岡村孝子といえば熱狂的なファンが存在することで知られる。そうした支持をされる人は
どこか神秘性があり、それが余計、ファンを熱狂させる。ひと頃、彼女は「お嫁さんにし
た女性アーティスト」部門で第1位でもあった。歌声にひかれてライヴを観に行くと、こ
ちらが膨らませた想像を裏切らない彼女がステージにいた。しかし僕は知っている。たし
かにメディアやステージのイメージはそうかもしれないが…
第5回 コラム画像です。 尾崎豊「15の夜」 2013年の12月で、デビュー30周年を迎える尾崎豊。彼は92年に26歳の若さで亡くなって
いるが、その人気はまったく衰えない。尾崎はいまも我々の心の中で生きているのだ。僕
が初めて彼に会ったのは、デビューする少し前のことだった。まさかその後、伝説的な人
物になるなんて、当時は僕もふくめ誰も想像していなかった。デビューは1983年の12月
だから、初めて会ったのは10月くらいだったのだろうか…。
第4回 コラム画像です。 オフコース「言葉にできない」 この人が新たな活動を始めると、「最年長記録」と騒がれる。1947年生まれでこれほど精
力的な活動をしている人は皆無なので、それも仕方ないことだろう。ただ、小田和正は単
に長くやることを目的としているわけではない。自分が納得出来ることを続けてきた結果
が今の姿だし、それは音楽を受け取る側に、強い信頼感となり伝わる。ツアーをやれば大
きな会場を満員に出来るのは、その信頼の積み重ねに他ならない。
第3回 コラム画像です。 RCサクセション「スローバラード」 惜しくも2009年に亡くなってしまったが、1970年にRCサクセションでデビュー以来、周
囲に流されず、自分流を貫き活動した忌野清志郎(いまわの きよしろう)。時に社会に対す
る過激な言動でも知られたが、実際に会ってみると、一切偉そうにしない、ピュアで優し
い人だった。そんな彼はファンのみならず、同じ時代を生きた他のシンガーやミュージシ
ャンから、今も尊敬され続けている。
第2回 コラム画像です。 中島みゆき「時代」 シンガー・ソング・ライターとして数々の名曲を世に送り出すことに留まらず、これまで
誰も成し得なかった実験的な“歌劇”『夜会』により、新たな表現の場所を獲得した中島
みゆき。この人は創作することにとことん貪欲である。でも実際にお会いしてみると、シ
ャイな印象の人なのだ。でもそれは、常に人間を観察しているため、表面的にそう見える
だけかもしれない。
第1回 コラム画像です。 松任谷由実「やさしさに包まれたなら」 ユーミンは音楽シーンに革命を起こした人である。そういう人は近寄りがたかったりもす
る。でも、実際にお会いすると、ウィットに富んだとっても素敵な人なのだ。彼女は何を
武器に革命を起こしたのだろう。それは、実にシンプルなことだ。誰にも負けない“クリ
エイティヴ魂”。そう。これだ。先日、新しいツアーのゲネプロを観てきた。彼女の“クリ
エイティヴ魂”はますますステージで全開だった。

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プロフィール 小貫 信昭 (おぬきのぶあき) 1957年東京は目黒、柿ノ木坂に生まれる。音楽評論家。
1980年、『ミュージック・マガジン』を皮切りに音楽について文章を書き始め、音楽評論家として30年のキャ
リアを持つ。アーティスト関連書籍に小田和正、槇原敬之、Mr.Childrenなどのものがあり、また、
J-POP歌詞を分析した「歌のなかの言葉の魔法」、自らピアノに挑戦した『45歳、ピアノ・レッスン!-実践レ
ポート僕の「ワルツ・フォー・デビイ」が弾けるまで』を発表。