8月某日。avex本社の会議室でそれは告げられた。

上野大樹
8月某日。avex本社の会議室でそれは告げられた。
2023年4月5日に“上野大樹”がメジャーデビューアルバム『新緑』をリリース。春を彩る出会いと別れをテーマに作られた今作。タイトル曲「新緑」を含む6曲と、Disc2には代表曲「ラブソング」「NAVY」などインディーズ時代の集大成とも言えるインディーズベスト8曲を合わせた全14曲の2枚組アルバムとなっております。 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“上野大樹”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第2弾。綴っていただいたのは、メジャーデビューが決まってからのアルバム制作の軌跡です。彼が感じたインディーズ時代との違いや、曲の作り方、アルバム収録曲選びについてなどなど、ミュージシャンの生態を明かしてくださいました。 AL『新緑』の制作は2022年の夏頃に始まった。 ミュージシャンの生態を知ることは、普通の人なら恐らくそんなに機会もないと思うので折角のこういう機会、色々と裏側を書かせて頂きたい。 ──────────────────────────────────────── 8月某日。avex本社の会議室でそれは告げられた。 「上野くんと正式にcutting edgeにてメジャー契約をしたい。」 事前に言われていたとはいえ、音として聞くと何とも不思議な気持ちになった。 (そうか、メジャーデビューをした人はみんなこれを通過したのかぁ)と思った。 それから何かある度に、(メジャーデビューをしたひとはみんな…)と思うようになったが、挙げるとキリがないのでやめておく。 そんなこんなでメジャーデビューアルバムの制作が始まった! アルバム自体はインディーズでも2枚出していたのでなんとなくの流れは頭に浮かんだ。 だけど今回のアルバムは今までと明らかに違うことが沢山あった。 まず曲作りを始める前に新設上野チームで会議が行われた。 (社会人みたいだなぁ)と思った。本社の会議室へ行くのはなんだかちょっと楽しかった。 完全に就職体験モードだった。アルバムの核となる話をして本格的な猛暑の中、長い旅は幕を開けた。 ミュージシャンにもいろんなタイプが居ると思うが、僕は夕方から21時にかけて曲が一番よく書ける。 音楽を始めた当時、放課後にずっとそんなことをしていたからかなぁと最近気づいた。 昔は手書きで詞を書いていたけど『帆がた』というALからパソコンに変えた。 手書きで書くとどうしても、言葉が自分の文字として自分の中に入ってきて、愛着が沸き視野も狭くなる気がする。その点、パソコンで書くと客観的に詞の世界だけを抽出できて可能性が広がる気がする。※あくまでも個人的感覚 僕はギター1本で曲を書き上げる。詞とメロディが同時に出るけど、詞を歌うためにメロディを引っ張り出してきているので僅差で詞先なのかもしれない。 良い曲が出来ると、自分は本当に天才だ! と思うけど、全く曲が書けないと、音楽をやめるタイミングは今なのか? と落ち込む。曲を書いているのか、曲に書かされているのか、日々振り回されながらアルバムの候補曲達が着々と生まれ始めた。 今回のアルバムの為に結局30曲以上を書き上げた。 そしてそこから何週にも渡り、血で血を洗う攻防が繰り広げられた。 大袈裟に言い過ぎた。 だけど、それくらい本気の曲選びがみんなで始まった。 自分としては全て可愛い我が子だ。勿論すべてに愛着がある。 ただ人の子でもなければ、自分の作った曲に対してなので無残にも愛着の優劣がある。 ピンと来てない曲が挙がると、自分が作った曲なのに自分の可愛いと思っている曲を通したいが為に 「いや、なんかそれはあんまよくない気が、、、」とか 「うーーん、僕は作ってみたけど気に入ってなくて、、、」とか 散々な事を言っていた。 社会経験をしていないミュージシャンの悪いところかもしれない。 もしかしたらミュージシャンを言い訳にしているだけで僕自身が足りないだけかもしれ、、。いやいや。 時には「上野君のこういうところも広げていくべき!」「この曲めちゃくちゃいいよ!」なんて持ち上げられながらの会議も行われた。大人ってオトナ! すごい! と何度も思った。 とまあ、攻防が何週にも渡り、そんなこんなで10月の終わりに、DISC-1に収録の新曲6曲が出揃った。 まだ曲のアレンジやミックスやマスタリングの話もしていないのに、一週が終わってしまった。 残念。 来週の最終章では、いよいよそんな風に僕だけではなく沢山の人が情熱を注いでくれたAL『新緑』の曲達について沢山触れていこうと思う。今週もここまで読んでくれてありがとうございました。 また来週! ps.すこしずつ大人になっていっています、上野大樹! <上野大樹> ◆メジャーデビューアルバム『新緑』 2023年4月5日発売 <収録曲> CD/Disc1 1. 夏風を待って 2. 新緑 3. ランタナ 4. 予感 5. 遠い国 6. ざわめき CD/Disc2 1. ラブソング 2. て 3. おぼせ 4. 波に木 5. NAVY 6. 面影 7. 東京 8. 愛のまま





















