振り向いて

藤田麻衣子
振り向いて
2025年3月5日に“藤田麻衣子”がアルバム『片想い』をリリースしました。ピアノ弾き語りをメインとし、切ない歌詞と美しいメロディーで女性ファンを中心に絶大な支持を誇る才能溢れるアーティスト。今作には、昨年8月に配信リリースをし、すでに名曲と名高い「朝月夜」をはじめ、女性の心情を独特の視点で描いた全10曲が収録されております。 さて、今日のうたではそんな“藤田麻衣子”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 第2弾は収録曲「振り向いて」にまつわるお話です。ライブ会場で、ファンのみなさんと一緒に制作されたというこの歌。何をテーマに、どんな物語・メロディが描かれていったのでしょうか。ぜひ今作と併せて、エッセイをお楽しみください。 「振り向いて」という歌は、ライブ会場でみなさんと私とで一緒に作った歌でした。 2024年2月に開催したYouTube公開収録ライブvol.2の時にやってみた『みんなで歌を作ろう!のコーナー』では、客席のみなさんに、私が普段どんなふうに楽曲づくりをしているのか見てもらおうと思い、一緒にその場で作詞作曲することに挑戦しました。 私はいつも歌詞から書いているので、1人で作る時と同じように、まずは歌詞の内容から。 ①テーマ ②情景、季節や日時、場面、関係 ③どんな感情に という感じで、順番に客席からどんどん思いついた言葉を言ってもらいました。 「ドロドロ」「嫉妬」「一人の男性を取り合う」「あの子が憎い」など、みなさんがくれる言葉が凄くて…。やっぱりそういうのを求めているのね、と客席のみなさんと笑いながら考えていきました。「通学路」「桜」「サッカー部」「マネージャー」など、青春が見えてくる言葉もいろいろ。少し時間をもらい1コーラスその場で書きました。 次は曲作り。1コーラスの歌詞を前に置いて、どんな感じの曲にする? と客席のみなさんに聞くと、「途中から怖くなる曲」と具体的な構成まで…(笑)。 私の過去の作品で「嫉妬」という歌があるのですが、2サビまでは優しいメジャーコードの曲で、Dメロから雲行きが怪しくなり、最後のサビでは同じメロディを使ってマイナーコードの悲しい曲調に変わります。 YouTube公開収録ライブは100人も入れば満員になる会場で、コアなファンの方がたくさん参加してくださっていたので、ファンの方々の中では怖い歌といえば…&ドロドロといえば…「嫉妬」「写真」「触って」というタイトルが出てくるそうで、今回も私にドロドロ曲を作らせてくれました(笑)。 その場で歌詞に曲をつけて、1コーラス弾き語り演奏をしました。短時間で書こうとしたら焦りとの戦いで、集中してクタクタになりました。コーナー開始から、演奏終わりまで30分間でしたが、ものすごく疲労した30分になりました。 2~3ヶ月後にライブの録音を聞き直して、「振り向いて」は結構直すだろうなぁと思っていましたが、思いのほか良かったので、ほとんど直すことなく続きを作りました。 2A以降は家で作ったのですが、どんな物語にしていこうか…と考えていて。1コーラスは「通学路で恋をして、双子の妹と同じ人を好きになり、私はあの子にはなれない」という感じのちょっと怖い歌詞だったので、妹に嫉妬する理由は1つだけではないんじゃないか?と、過去に遡ってみようと思いました。そんなふうに、2コーラス目からの歌詞も書きました。 2024年5月のYouTube公開収録ライブで、「振り向いて」のフルコーラスをお披露目しました。歌い終わると、客席のみなさんが「怖いー!!」と言ってくれていました。自分でも家で歌詞を書きながら怖くて鳥肌が立ちました。 「振り向いて」をライブ中に作っていく映像を、YouTubeで【前編】【後編】にわけてアップしていきますので、ぜひ見てみてください。 MVは、3月のライブツアーでも一緒に演奏する20年来のサポートメンバーと一緒に撮りたくて、ピアノの山本清香さん、バイオリンの沖増菜摘さん、チェロの島津由美さんとスタジオの演奏シーンを撮りました。一瞬私が怖い目をしているところがあり、違うカメラの映像に変更したいと言ったのですが「これこそ藤田麻衣子だから」と言われ違うカットに変更せずに採用になりました…。 自分自身が双子の姉ではなくても、こういう気持ちわかるかもしれないと思ってしまう歌です。 <藤田麻衣子> ◆フルアルバム『片想い』 2025年3月5日発売 <収録曲> 01.片想い 02.純白 03.振り向いて 04.夢を叶える方法 05.endless 06.朝月夜 07.新しい世界 08.防御して 09.darkness 10.SOS