音楽とホスピタリティ

がらり
音楽とホスピタリティ
2025年10月8日に“がらり”が新曲「さあ乾杯!」をリリースしました。同曲は、ドラマ『晩酌の流儀4 ~秋冬編~』エンディングテーマ曲。「よくできました」「私に贈るありがとう」といった言葉に“自分を労う乾杯”のニュアンスを含んだ楽曲。落ち込んだ日も前を向きたい夜も、この曲とともにグラスを掲げたくなる1曲となっております。 さて、今日のうたではそんな“がらり”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「 さあ乾杯! 」にまつわるお話です。近年、“映える”部分だけが一人歩きしがちになっている音楽。だからこそ今、がらりが大切にした“日常におけるホスピタリティ”とは。ぜひ今作とあわせて、エッセイを受け取ってください。 音楽は本来、日常におけるホスピタリティを担っていたはずだ。 朝の憂鬱な満員電車で気持ちを整えるプレイリスト、眠れない夜に寄り添うバラード、ここぞという時に心を鼓舞するアップテンポなナンバー、仕事終わりの帰路で気分を切り替えるお気に入りの一曲。 私達はそれぞれのシーンで音楽を選び、励まされ、慰められ、少しだけ生きやすさを取り戻している。音楽は無意識のうちに受け取る日常のもてなしであった。 だが近年、その形はショート動画を始めとする新しい消費形態で姿を変えつつある。音楽は、SNSコンテンツの中で動画と共にパッケージングされて消費される。刺激的かつ多種多様な情報と共に、断片化した音楽はキャッチーでソリッドな“映える”部分だけが一人歩きする。 流動的な消費文化に音楽も包摂されつつあるこの時代に、少しだけ抗うように私は「さあ乾杯!」という曲を作った。主人公が夜な夜な自分のための晩酌を楽しむ『晩酌の流儀』というドラマのために書き下ろした一曲だ。 「さあ乾杯!」は、一人で静かに自分をねぎらう曲だ。自分で自分を迎え入れ、小さなホスピタリティを再構築する曲である。即時的な刺激から離れた場所で、音楽が本来持っていたやさしさ、心をあたため、生活に寄り添う力をもう一度見つめ直したのである。 本楽曲は「よくできました」という歌詞から始まる。私達の一日の終わりに、それぞれの一日がどのようなものであろうと絶対的に肯定するメッセージをまずは届けたいと思い綴った一行だ。 自分で自分をもてなす時間を大切に。 <がらり> ◆紹介曲「 さあ乾杯! 」 作詞:がらり 作曲:がらり




















