デパコスの向こう側の友情

さとうもか
デパコスの向こう側の友情
2024年10月30日に“さとうもか”がニューアルバム『ERA』をリリースしました。「時代」を意味する『ERA』と名付けられた今作には、今年30才になったさとうもか自身が今感じている葛藤や心境の変化が詰め込まれております。NHK岡山放送局の夕方のニュース番組『mogitate!』エンディングテーマとなった「Peach Perfect」をはじめとした全14曲が収録。 さて、今日のうたではそんな“さとうもか”による歌詞エッセイを3週連続でお届け!第1弾は、収録曲「 チェーン・オブ・ユース 」にまつわるお話です。「デパコス」という単語ひとつにナイーブになっていたあの頃と、30歳になった今の思考の変化とは…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください! ある日、久しぶりに会った友人たちと話していたら、「デパコス」という単語が飛び交った。なんだそれ。 どうやらそれは“デパートに売っているようなコスメ”のことらしく、当時の私は全く興味を持てなかった。 たしか短大を卒業して、実家を出て新生活を始めた頃だったと思う。 「デパコス」に興味を持っている友人たちは、かつて自分と同じようなものが好きで、きっと何歳になっても共感し合っていくんだろうと思っていた。 でも学生時代が終わってから、なんとなくそれぞれ昔と価値観が変わってきてるのを感じることが増えていき、当時はその「デパコス」という些細な言葉の中に大きなギャップみたいなものを感じて、少し寂しく思ってしまっていた。 みんな変わっちゃったなと思っていたけど、今思うと自分だけ変わってないことに落ち込んでいたのかも。 「 チェーン・オブ・ユース 」という曲の前半が出来たのはそんな頃だったと思う。 私は今年30歳になった。 この曲はとても不思議な作り方をしていて、曲の前半は20代の前半に、後半は今年に入ってから歌詞を書いた。 ほぼ6~7年くらいの長い時を経て完成したわけだけど、後半の歌詞を書いた時は当時と感覚がガラリと変わっていた。 「デパコス」ひとつにナイーブになっていた私だが、2024年になるとその「デパコス」を当たり前の如く使っているし、学生の頃は大切に思っていた“全てを共感できる”みたいなものは必要なかったんだと今では思う。 変わってはいけない、同じじゃなきゃ!という謎のこだわりが鎖みたいに自分を縛っていただけで、それがなくなったとしても楽しかった頃の思い出はなにも変わらず輝き続けているし、なんならその思い出たちがしっかり今を支えてくれている。思い出ってそんなやわじゃないんだな。 当時の友人とは今も遊んだりしていて、それぞれが別々の大人のなり方をしてきたからこそ面白く感じることがたくさんある。 そんな思考の変化の過程を、「チェーン・オブ・ユース」には書き残すことができたんじゃないかなと思う。 今回リリースしたアルバム『ERA』は20代の中での変化を歌った曲がたくさんあるから、これから20代になる方にも、20代を走り抜いた大人たちにも、そしてまさに同世代!という方にも、たくさん聴いてもらえたら嬉しい! <さとうもか> ◆紹介曲「 チェーン・オブ・ユース 」 作詞:さとうもか 作曲:さとうもか ◆ニューアルバム『ERA』 2024年10月30日発売 <収録曲> 01. 生活は大変 02. りとる革命 03. Everyday 04. チェーン・オブ・ユース 05. No massage 06. Dear stranger 07. Misty blue 08. 未完の小説 09. Peach Perfect 10. ネオン 11. オーロラ 12. 旅 13. ERA 14. 予定