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  • 椎名慶治
    そんな2人だからこそ描けたアオハルソング。
    そんな2人だからこそ描けたアオハルソング。

    椎名慶治

    そんな2人だからこそ描けたアオハルソング。

     2023年12月27日に6thフルアルバム『RABBIT-MAN II』をリリースしました。今作には、すでにライブで披露されている新曲「どうやって君を奪い去ろう」「怪盗Y」を含む12曲を収録。ハイテンションなナンバーや、じっくり聴かせるバラード、遊び心の詰まった楽曲が詰め込まれております。    さて、今日のうたコラムではそんな“椎名慶治”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回は第1弾。綴っていただいたのは、収録曲「 ただ 」にまつわるお話です。小学校からの友人であり、作詞家の野口圭と共作で歌詞を書いたアオハルソング。椎名慶治から野口圭へのインタビューコーナーも併せて、エッセイをお楽しみください…! 「 ただ 」   実はこの曲は難航した曲。 と言うのも、山口寛雄と共作曲をし、そのデモを元に小学校からの友人であり、同業者(作詞家)の野口圭(以下 野口)に歌詞を書いてもらっていた(1番まで)。 自分で書くより面白くなる気がしてお願いしたわけです。   が!   その歌詞の完成を待たずに作曲したメロディーが気になり出してしまい、大幅にメロディーラインを変更してしまった!(勿論野口は知らない!)   これは申し訳ない事をしたな…と、野口から預かった歌詞を上手く組み合わせてみようとしたけどぉ……   うん、コレは無理!となりました(笑)。   なので、野口の歌詞は一度ボツにされてます!(なんて酷い男なのだ椎名め! だけどその時の歌詞まだ持ってますよ? 使えるかも知れないし!)   野口に事情は説明した。 したけど、一度ボツにしといて新しく生まれたメロディーへ再度のオファーはしづらいよなぁと、とりあえず自分で書いてみる。 スラスラとなんとなく書いたわりに妙にハマりが良いアオハルソングが生まれ始める。 サビの文字数が少なかったので「好き」とか分かりやすい言葉がハマりやすく、そこから恋愛ソングへと自ずと舵を切り、気付けばアオハルになっていったんだと分析してみる。 だけどこのまんま47歳がアオハルを書き続けるのは大変だ!と、結局また野口が呼び出される(彼も当たり前だが同い年である)。 俺の歌詞を受けて、その後の世界を描く(引き受けちゃう野口の優しさよ)。   そして生まれた2番から先の世界。 色々と引っかかるワードが出てくる。 俺が書いた歌詞じゃない部分は俺も詳しくは知らない。 あまり具体的にコレはこうで!だからこうなって!つまり!とか2人ともやらない。 でもやっぱり気になる。 と言う事で今日は野口本人に俺の気になったポイントを聞いてみようかと。   椎名:はい、と言う事で本日のゲストは作詞家の野口圭さんでーす!(唐突)   野口:はい。どうも椎名慶治の小学校からの友人、作詞家の野口圭です。   椎名:幾つか気になるポイントなどをお伺いしたいので是非質問に答えてもらえたらと。 まずは、最初の歌詞を野口自身はどういった思いで書いていたのか、そしてソレがボツになった時の心情は?   野口:作詞するのに難しいメロディーって2種類あると思うんですけど、1つは字数が少ない曲。もう1つはリズムの制約が厳しい曲だと思っていて、この曲は両方を兼ね備えていたんですよね(笑)。だからとにかく難しかったです。   最初に僕がこの曲でやってみようと思った歌詞は、テーマ的にもっと字数の多い曲じゃないと成立しきれないものだっていうことが、書いてるうちに身に染みてきたので(笑)。別にボツになるのもまた良しっていうか、「このテーマでは成立しない」ってわかるのも前進だから、全然良いことなんじゃないかなと。   椎名:そこからメロディーが大幅に変更され、俺が1番を書いた後にその続きを書くと言う手法は正直書きやすいものなのか、はたまたゼロから書くより難しい?   野口:僕は八方塞がりだったので椎名からアイデアを出してくれたのは助かりました(笑)。しかもかなり肩の力が抜けたって言うとあれだけど、10代の頃みたいなテーマっだったから「あ、これぐらいのテンションでね」みたいな、一気に楽になった感じでした。何かを創作する上で一番大変なのはゼロからイチを生み出すことですから、それに比べれば続きを書くのはずっとスムーズな作業です。   椎名:その歌詞の中で<無事タヒ亡>と出てくるが、この一見表記ミスのように見える書き方にした理由はある?   野口:ネットで「死」とか「殺」とかって漢字が引っかからないように伏せたりするのに使われる表現ですけど、この歌で「死亡」だと重いんでこっちにしました。   椎名:更に最後のサビに出てくる<18センチ>。 この数字には何か意味がある?   野口:全くないですね(笑)。一応定規を見ながら決めましたけど。なんならライブで歌う度に、にじり寄って近づいていってくれても構わないです(笑)。   椎名:(笑)。この曲に限らず共作詞をする時に気をつけているポイントやこだわりなどがあれば是非。1人で書く歌詞との違いなどもあれば教えてください。   野口:自分よりも椎名の方がバランス感覚があるので、少し攻めた「ナシよりのアリ」くらいを意識して、「ダメだったら椎名がなんとかしてくれるだろう」ぐらいな気持ちで気軽に変なことを書いてます。最終判断を委ねている身ならではの気楽さがあります。   椎名:ありがとうございました! 本日のゲストは野口圭さんでした!     ってなわけで野口から話を聞けて俺もスッキリした部分もあるけど、逆にモヤっとする部分も。(18センチ意味なかったー!)   野口がやりたいようにやっても、俺がバランス保ってくれるから自由に書けてるってのは信頼関係があるからこそ成せるワザだなと。   コレからも彼は突拍子もない歌詞とは無縁なようなワードをニヤニヤしながら送りつけてきてくれる事でしょう。   「ただ」もそんな2人だからこそ描けたアオハルソングなんだと思います。   この分かりやすい歌詞と前衛的なアレンジの融合がこの曲の醍醐味かと。   是非聴いてみてくださいね。 < 椎名慶治> ◆紹介曲「 ただ 」 作詞:椎名慶治・野口圭 作曲:椎名慶治・山口寛雄 ◆6thフルアルバム『RABBIT-MAN II』 2023年12月27日発売 <収録曲> 01:Shout it Out 02:Oh Yeah!! 03:どうやって君を奪い去ろう 04:BLACK or BLACK 05:そりゃないぜ 06:RABBIT-MAN II 07:Miss Regret 08:ジレル 09:予告状 10:怪盗Y 11:ただ 12:優しさなんかじゃないんだってば 13:醜態成

    2024/01/05

  • いきものがかり
    アイスクリームが溶けていく。
    アイスクリームが溶けていく。

    いきものがかり

    アイスクリームが溶けていく。

     みなさま、明けましておめでとうございます!『第65回 輝く!日本レコード大賞』や『第74回NHK紅白歌合戦』など様々な音楽番組をご堪能されましたでしょうか。今年はいったいどんな歌詞との出会いが待っているのでしょうか。2024年も歌ネットを何卒よろしくお願いいたします。そして、早速ですが、今年最初の今日のうたをお届け…!  2023年12月13日に“いきものがかり”がニューアルバム『〇』をリリースしました。今作は、2人体制となって初のオリジナルアルバム。映画『銀河鉄道の父』主題歌「STAR」や、『映画プリキュアオールスターズF』主題歌「うれしくて」、『プリキュア』シリーズの20周年記念ソングでTVアニメ『キボウノチカラ~オトナプリキュア'23~』オープニングテーマ「ときめき」、フジテレビ系『坂上どうぶつ王国』テーマソング「きっと愛になる」などが収録。    さて、今日のうたコラムではそんな“いきものがかり”の水野良樹による歌詞エッセイをお届け! 今回が第2弾です。目の前に広がっている、「アイスクリームが溶けていく」光景。それを見つめながら、この文章の“表現”について考えていくと…。あなたは「アイスクリームが溶けていく」という文章からどんな物語を想像しますか…? アイスクリームが溶けていく。 実際に今、テーブルに置かれた皿の上で、一口サイズのピノのアイスクリームが溶けようとしている。外側のチョコレートの部分はかろうじて形状が保たれているけれど、内側のバニラアイスはぬるっとしてしまって、液状になって漏れ出している。このまま放置するのは、どうにも、もったいない気がする。   今、すぐに口に入れれば間に合う。おそらく、いける。 むしろ口溶けの具合が柔らかくて、美味しいかもしれない。横目で息子の背中を確認する。息子は食べかけのアイスクリームをそのままに、ポケモンの番組が始まったのに気をとられて、テレビ前のソファに移ってしまった。せっかくのおやつを前に、もったいないことをするものだ。行儀も良くない。叱って、息子を席に戻そうか。   いや、あいつはこのアイスクリームのことを忘れている。 皿を片付けても気がつかないだろう。ピカチュウに夢中だ。どうしよう、アイス、食ってしまうか。どうせ溶けちゃうし、いってしまうか。息子よ、父はずるい。覚えておけ、世間は甘くない。油断してはならないのだ。大切なものは目を離したすきに奪われる。アイスもまたしかり。それでは、いただこうか。   アイスクリームが溶けていく。   大人げない行為をする前に、よくよく考えれば、実に豊かな表現だなと思う。文章の“意味”としては明快だ。固形物が融解していく。かたちあるものが溶ける。つまりはただそれだけのことで、この文章の“意味”を読み違えることはない。   しかし、言葉は“意味”だけでは存在していない。そこにイメージを漂わせてしまう。もくもくと湯気をたてるように、“意味”という骨格の外側へと、イメージが膨らんでいく。やがて湯気だったものは実体を持ち、しなやかに脈打ち、肉づいていく。“表現”そのものとなる。   アイスクリームが溶けていく。   そこには時間と、温度と、匂いと、なにかが崩壊していく様と、食べ頃のアイスクリームが何も手を下されず放置されているという現実とが、立ち現れている。それらはすべて読み手の想像力を借りて、彼、彼女の主体的な発想をエンジンとして稼働するものだ。   アイスクリームは火でも当てない限り、瞬時には溶けない。“溶けていく”には時間の経過が含まれていて、なおかつ、その時間のなかで“何もしなかった”という現実が影のように張り付いている。“何もしなかった”という現実は、そのままメタファーになりえる。   恋人の二人が、別れ話をしている。 二人で何度も訪れた、いつものカフェ。 彼女は黙り込む。この店に来るたびに頼んでいたバニラアイスクリーム。 いつも笑顔で美味しいと言っていた。 彼女は今日も頼んだけれど、スプーンに指を触れることもできない。 さきほど彼が口にした言葉が、テーブルに沈黙をもたらした。 アイスクリームよりつめたい冷気が、二人のあいだに満ちている。 彼女はアイスクリームをただ、見つめている。   アイスクリームが溶けていく。   繰り返すが、言葉の“意味”を理解することは容易だ。だが、そこに立ち現れる“こと”(=これをわかりやすく、いささか乱暴に“イメージ”と言い換えているけれど)をとらえることは、そう容易ではない。でも、容易ではないがゆえに、豊かだとも言える。   人間が書いて、人間が読んでいる。 ものの本で読んだ。言葉は、“こと”の端、だという。   “意味”は情報でしかないから、言葉という道具を使えば、ほぼ寸分違わず、誰かから誰かへと受け渡すことができる。しかし“こと”は輪郭もなく、曖昧で、それでいて無限にも近く豊かなものだから、届け手と受け手とのあいだで、しばしばすれ違いが起きて、そのすれ違いこそが、表現の魅力となったりする。   ありがとうって伝えたくて。   さよならは悲しい言葉じゃない。   帰りたくなったよ。   書いたときはこれらが、どれほど豊かな受け手の“こと”を内包できるのか、想像もつかなかった。人生の最期の“ありがとう”につながるときもあれば、可愛い子どもたちが恩師にあどけない声で伝える“ありがとう”につながるときもあった。まだ多くの別れも知らない思春期の若者たちの“さよなら”につながるときもあれば、死別という圧倒的な“さよなら”につながるときもあった。帰りたくなる場所や時代は、ひとによって千差万別だ。一方で“帰りたくなったよ”という気持ちは、“帰れない”という事実を際立たせたりもした。“帰りたくなったよ”という一節を聴いて、もう帰ることのできない場所を想うひとが、いったいどれだけいただろうか。   “意味”を渡すために、言葉があるんじゃない。やはり、受け手とのあいだに豊穣な“こと”の海を広げられることが、言葉のすばらしさだと思うし、難しさだと思う。   よく、誤解されることがある。 わかりやすい歌を書いているのではない。 聴き手にとって、豊かになる歌を書きたいと思っている。 ポップソングとは、そういう歌のことだと思う。     さて、アイスクリームが溶けていく。 やはり、息子のアイスクリームを横取りするのは、気がひける。   「ほら、溶けちゃうよ! テレビ見てないで、早く食べちゃいなさい!」   妻が息子を叱る声で、我に返る。そう、早く食べないといけないのだ。息子よ、よく聞け。父のように、小難しいことをぐだぐだと考えているうちに美味しい時間は過ぎ去ってしまってしまう。考えるより先に、行動をしなくてはならない。   息子が大急ぎでテーブルに戻ってくる。   「パパ、一緒に食べよ」 「1個しかないよ」 「じゃあ、もうパパ食べて!」 「いいの?」 「いいよ。パパにあげる」   また小さな背中が、テレビの方へと戻っていく。   アイスクリームが溶けていく。   溶ける前にスプーンですくって、息子の背中を眺めながら、今、甘みと、なにかあたたかいものを、舌先で感じている。   <水野良樹(いきものがかり/HIROBA)>   ◆ニューアルバム『〇』 2023年12月13日発売 <収録曲> M1 誰か M2 うれしくて M3 声 M4 ときめき M5 きっと愛になる M6 STAR M7 好きをあつめたら M8 HEROINE M9 やさしく、さよなら M10 喝采 M11 YUKIMANIA M12 ○

    2024/01/01

  • 新山詩織
    サンタの一味になる
    サンタの一味になる

    新山詩織

    サンタの一味になる

     聞くひとの心を捉えて離さない、染み入る歌声と歌詞が多くのリスナーを惹きつけるシンガーソングライター・新山詩織。そんな彼女が2023年4月17日にメジャーデビュー10周年を迎えました。そして7月5日には10周年記念アルバム『何者 ~十年十色~』をリリース!    さて、今日のうたコラムでは、メモリアルイヤーを記念して“新山詩織”による歌詞エッセイを1年を通じ、12ヶ月連続でお届け!今回はいよいよ最終回です。さらに本日は「今日のうた」年内ラスト更新! 綴っていただいたのは、クリスマスの大切な思い出について…。みなさんは今年、どんなクリスマスを過ごしましたか? 今回も音声版がございます。本人の朗読でもエッセイをお楽しみください。 12月といえば、クリスマスの日はほぼ毎年 家族揃ってテーブルを囲み、食事をした。   丸焼きチキンとサラダ、ピザやケーキに でっかいボトルのコーラや、オレンジジュース   音楽マニアの父がランダムにかけてくれる クリスマスソングではない、ソウルミュージック   その目の前に広がる全てが、キラキラしていて ワクワクしてならなかった自分がいた。   そして、我が家のクリスマスは 中学生までサンタさんが来ていた。   朝起きると枕元にプレゼントが… 「やったーー!」と素直に喜んだ。   サンタさんを信じていた私は 紙にかけば当たり前にそこにあるのだと思っていた。   だが、中学生になると父母からとあるカミングアウトをされ まだ信じている弟たちのために、サンタの一味になった。   そうだったのか…と、受け入れつつも あの時のなんとも言えぬ気持ちは、未だに覚えている。   先日、クリスマスを前に久しぶりに家族で集まった そして、互いにプレゼントを渡しあった。   誰かに頼まれた、頼んだものじゃなく その人の“いま”を思い浮かべながら選んだもの 喜んでほしくて選んだもの   サンタの一味になる=大人になる ということだったのかも…なんて、感じた。     一年間、こうして文を書かせていただき、しかも音声も載せていただき 素敵な機会を本当にありがとうございました。   <新山詩織> ◆新山詩織 4th ALBUM『何者 ~十年十色~』 2023.7.5 RELEASE! https://niiyama-shiori.com/cat-info/2023/04/17/2553/

    2023/12/29

  • 澤田空海理
    遺骨代わりの歌詞が残ったので、それを撒いていこうと思いました。
    遺骨代わりの歌詞が残ったので、それを撒いていこうと思いました。

    澤田空海理

    遺骨代わりの歌詞が残ったので、それを撒いていこうと思いました。

     2023年12月6日に“澤田 空海理”がメジャーデビュー配信シングル「遺書」をリリースしました。同曲は、美しい記憶も背負った傷も呑み込んだ、生々しい言葉が「届けたい」という意思を持って溢れ出る、6分を超える長尺バラード。MVは温度のある感情が溢れ出し、作品に寄り添うシーンを散りばめながらも、リスナーの記憶とリンクする映像となっております。    今日のうたコラムではそんな“澤田 空海理”による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、新曲「 遺書 」にまつわるお話です。変わることが怖い。だからこそ生まれたこの歌…。また、今回は音声版もございます。澤田 空海理本人による朗読でもエッセイをお楽しみください。 声色も表情もあまり変わらないけど、ご機嫌なのは伝わってきました。 引っかかる桜を払う神経質そうな手が、あまりに軽やかに映りました。 車一台通らない閑静な道路で、律儀に青を待つことに意味がありました。 遺骨代わりの歌詞が残ったので、それを撒いていこうと思いました。   変わることは私にとって何よりの畏怖の対象です。過去の拙作の中でも度々、思い出したようにそれを口にします。変わっていくのも悪くないさ、という言葉は、その変化を自身のコントール下に置けていることが大前提の保身めいたものなのかもしれません。心がある。感情がある。だからこそ変化は避けられないし、同時にそれを怖がってしまう。それが良化なのか、悪化なのかを語るには人生はあまりに現在進行形で進んでいきます。   楽曲制作に限らず、もっと言えば創作ですらなくても、半永久的に残る場所に自身の思惑を残すことは容易になりました。故に、その発言の一貫性に、より一層の責任を求められるようにもなりました。   「遺書」という曲はその責任に対する私なりの答えです。変わることが怖い、はもしかしたら言葉足らずかもしれません。かつての私は、「自身が変わったことに気付けないまま、ただ、周りの人たちがそれを敏感に感じとって離れていくこと」が怖かったのです。   楽曲ひとつとっても、たかが数分、数行の中で己を表現し切ることはほとんど不可能に近く、その集積が僕たち私たち、彼ら彼女らの手鏡であるかのように扱われるのは光栄であり、時に不安でもあります。   私は自身の作品を好いてくださる方々に、頭と身体を目一杯使って応答することは出来ません。必ず嘘を吐くことになります。これは誠実さではなく、了見の狭さに他ならないと笑殺していだいて構いません。変われないのではなく、変わる気がないのです。矛盾するようですが、その偏屈さゆえに人が離れていくことなど物の数ではないのです。少なくとも、今の私に「離れられては困る人」はほとんどいません。 だからこんな曲が出来たのです。しかし、着実に今よりは光が漏れている方向へ歩けているような気もします。そして、それこそまさに気の所為かもしれません。嘘を吐きながら、変化を恐れながら、本音を吐きながら、変化を受け入れながら、愛しながら、愛されながら、探り探り進んでいこうと思います。現在進行形の人生ですから。   <澤田 空海理> ◆紹介曲「 遺書 」 作詞:澤田 空海理 作曲:澤田 空海理  「遺書」各配信サイト https://sorisawada.lnk.to/isho   澤田 空海理 Official HP https://sorisawada.com   澤田 空海理 YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/@SoriSawada   澤田 空海理 Instagram https://www.instagram.com/sorisawada/   澤田 空海理 X https://twitter.com/sorisawada   澤田 空海理 Staff X https://twitter.com/No_More_Cat

    2023/12/26

  • Thinking Dogs
    この世に「絶対」と言えることがいくつあるだろうか。
    この世に「絶対」と言えることがいくつあるだろうか。

    Thinking Dogs

    この世に「絶対」と言えることがいくつあるだろうか。

     2023年12月13日“Thinking Dogs”がバンドとして初めてのアルバム『FAQ』をリリースしました。今作には、4月から毎月配信してきたシングル曲に新曲3曲を加えた全13曲が収録されております。さらに12月22日にはアルバム発売記念のワンマンを代官山UNITで開催決定!    さて、今日のうたコラムではそんな“Thinking Dogs”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回。執筆を担当したのは大輝(Dr.) です。綴っていただいたのは、収録曲「 多分絶対 」にまつわるお話。「絶対」という言葉の存在について考えた結果、大輝がたどりついた一つの答えとは…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。 「絶対」という言葉。それはとても強固で、何とも頼り甲斐のある強い言葉。 だけどその反面、とても無責任で、何とも脆く危うい言葉だとも思う。   そもそも、この世に「絶対」と言えることがいくつあるだろうか。   令和の時代になった今でも天気予報はハズレるし、仕事で信頼できる上司のアドバイス通りにしても失敗することもあるし、親しい友達からの恋愛のアドバイスだって当てにならないこともある。   それを考えると、生活の中でちらほら見聞きする「絶対」という言葉の影には、いつも「多分」という言葉が隠れているように思えてならない。 そう思うようになってから、「絶対」という言葉を口にするのが少し苦手になった。   「絶対に大丈夫。」「絶対に上手くいく。」 そんな言葉を人に掛けたことが、誰しもきっとあると思う。もちろん僕もある。   相手を勇気付けるために良かれと思って掛けた言葉。 今思うと何の確証もない、なんて曖昧で無責任な言葉を掛けていたんだろう…と少し反省する。     もし「絶対」と言えることがあるとしたら、それは「命あるものはいつか死ぬ。」ということくらいだと思う。   だけどそれも今のところは…の話。 少し都市伝説的な話になってしまうけど、いつか人間は肉体を捨ててメタバースの世界で生きるようになって、そこで永遠の命を手に入れる日が来るかもしれない。なんて話もある。   そうなったら、僕の思う唯一の「絶対」にも「多分」がくっ付いて、いよいよ僕の中の辞書から「絶対」という言葉は消えてしまうかもしれない…。     そんなことを思う中で、僕が辿り着いた一つの答え。 「絶対」は最初から有るものではなくて、自分で生み出すもの。自分が「絶対」だと思いたい、信じたいものを努力と経験で磨き上げたとき、初めてそれになるのではないか。   生きていく上で指標となる明確な答えなんてそうそうない。だからこそ人は悩み、迷い、苦しむ。 そんな茨の道のような人生を少しでも生きやすくするために、自分だけの「絶対」を僕はこれからも探す。 <Thinking Dogs・大輝> ◆紹介曲「 多分絶対 」 作詞:大輝 作曲:綿引裕太 ◆ニューアルバム『FAQ』 2023年12月13日発売 <収録曲> 1.I xxxx YOU 2.多分絶対 3.エレメント 4.オートクチュールな愛を 5.ダレカ 6.キャパクラ 7.棘 8.サンクション 9.KODONAism 10.燃やせ 11.メメントモリ 12.深海魚(FAQ ver.) 13.Possibility≠0

    2023/12/25

  • クジラ夜の街
    死ぬことについて
    死ぬことについて

    クジラ夜の街

    死ぬことについて

     2023年12月6日に“クジラ夜の街”がメジャー1stフル・アルバム『月で読む絵本』をリリースしました。今作に収録されるのは全14曲。1stシングル「踊ろう命ある限り」やテレビアニメ『闇芝居 十一期』エンディングテーマ「マスカレードパレード」、最新作「裏終電・敵前逃亡同盟」といった既発曲のほか、「輝夜姫」をはじめとした新曲も収録されております。    さて、今日のうたコラムではそんな“クジラ夜の街”の宮崎一晴による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回が最終回です。綴っていただいたのは、収録曲「 輝夜姫 」にまつわるお話。竹取物語のお話が嫌い。その理由は…。そして、だからこそ宮崎一晴がこの歌のなかで綴った想いは…。ぜひ歌詞と併せてエッセイを受け取ってください。 感情までは、奪ってくれるなよ。 と、「死」というものに対して俺は思います。   竹取物語、ご存知でしょうか? ざっくり言うと、光る竹から生まれたかぐや姫と、その人をめぐる恋とか家族愛とか、あるいは命のお話です。 俺は、あの話がですね、嫌いです。   まあ、そもそもあの物語自体、色んな時代、媒体、作家によってアダプテーションされまくっている(最早オリジナルの原型など跡形も残っていないライトノベルとかも全然ありふれている)巨大なコンテンツですから、その全てをチェックしているわけでも無いので一概に嫌いというには忍びないのかもしれないのですが。   それでも幾つか、かぐや姫を題材とした物語に教科書やら映画やら絵本やらで触れてきて、その時々で思い至った感想は「須く嫌い」とこれに尽きますね。   何が嫌かってまずはかぐや姫の性格です。 悪女という言葉があれほど似合うヒトは中々いません。知ってますか。かぐや姫は自分の美貌に男たちが寄ってくるのを良いことに、無理難題を押し付けて危険な目に合わせて、自分に好意がある善人を間接的に殺したりもしてますからね(諸説あり)。 自分が翁や家族から受けた愛は棚に上げて、誰からも愛されていないと勝手に塞ぎ込んで、無礼千万な態度をあちらこちらに撒き散らす(諸説あり)。見ててすごくイライラするんですよ。   でも、実際それはそこまで大きなポイントではなくて。俺が、すごく嫌いで、悲しい気持ちになるのは、あの結末なんです。   散々、人を振り回したかぐや姫は、最後、月へと還って行きます。迎えにきた天人たちに天の羽衣を着せられると、「心が変わってしまい」「記憶は全て無くなって」しまうのです。 どうやら、天界には煩悩というものが存在しないらしく、下界で過ごした様々な体験は全て不埒な煩悩であるとして、パパッと洗脳されて、かぐや姫は姿を消して、話は終わりです。   それが俺すごく嫌いで。 そしてこのヘイトは、一介の物語の展開に対する不満ってだけじゃなくて。多分、自分が本能的にこの結末を好んでいないということがわかるんです。   死、というものについて。 そのシステム自体には、全く不満はなくて。むしろ希望的な概念だなと思うのです。生物にとっての死とは、一種の旗印であって、権利でもあって、ゴールでもある。死という終わりがあるからこそ、生きることに意味やハリが生じる。死があるから生きようという意欲に繋がる。死があるから生命が連続する。 これは当然っちゃ当然のことですが、改めて思い返してみれば、よくできたプログラムだなと感心したりします。   ただ、死の瞬間。 俺は死んだことがないからわからないけど。 かぐや姫みたいに天の羽衣を着せられて、生前の煩悩も感情も記憶も全て奪われるんだとしたら、それは傲慢すぎるだろうと思ってしまいます。 どれだけ人を振り回した悪女だったとしても、ぽっと出の天人にさくっと処理されて無に返されるなんて、あんまりです。残された翁や帝も浮かばれませんよ。あんなの。   そうではないと信じたい。信じているから、竹取物語のかぐや姫の結末には猛烈な悲しさと嫌悪感を抱いたのです。実際に、現実においても、生というレールの先に、あれだけの虚無が待ち受けているのだとしたら、どうしようと。怖くなったんだと思います。 受け入れたら、今見えているもの、聴こえているもの、生きていることに煌めきを感じられなくなってしまいそうだから、嫌悪感を盾に、あの物語から逃げたのです。   ですが、死はシークレットです。ガッチガチの袋とじ。完璧なまでに伏せられた神聖な概念です。この世に死んだことがある生命体が無いからこそ、わからないんですよね。死の、その先にあるものが無なのか、有なのか。考えても考えても、生きているうちに答え合わせは叶わないのです。それがいじらしい。いやあ本当によくできたシステムです。こう言う時「神は居そうだなぁ(小並感)」と思います常々。   ですので。クジラ夜の街「 輝夜姫 」という物語は、死をテーマにしつつも、死について多くを語りませんでした。どこか遠い世界の、幻想の、ファンタジーのお話として、俺の信じたい「死」の形を、あえて“適当に”綴りました。だって、正解なんてないですから。 「どうかずっと見ていてくれよ」くらいしか、俺には言えないし、言いたくないのです。 そして、反対に、取り残された生者の気持ちを詳細に書くことにしたのです。死という圧倒的に不明確なものと対照に、生とはあまりに確かですから。   「僕ら物語じゃないからさ、そんなにうまくはいかないが、物語だったとしたら、ここで終わるなんていけないな」   「僕の全盛期をあんたとの日々で終わらせない」   なぜなら、生者の道はこれからも続いていくのだから。死に絶望的なイメージを持って塞ぎ込んで生きるなんてのは、ハッキリ言って無駄なことです。   竹取物語はあくまで一つの可能性。 俺はそれを拒んで、生と死について妄想をする、自分だけの物語を提示しました。 どうかあなたも、自由に妄想をしてください。お気に召すまで。 あなたに素敵な死が訪れるまで。   俺は、見てくれていると思うんですよ。 向こうへ逝ってしまったあの人が。 心変わらず、あの人のままで。 それが俺の信じる物語です。   <クジラ夜の街・宮崎一晴> ◆紹介曲「 輝夜姫 」 作詞:宮崎一晴 作曲:宮崎一晴   ◆メジャー1stフル・アルバム『月で読む絵本』 2023年12月6日発売 配信リンク: https://qujilayolu.lnk.to/iseethemoonlight <収録曲> 1.欠落 (Prelude) 2.輝夜姫 3.華金勇者 4.BOOGIE MAN RADIO 5.裏終電・敵前逃亡同盟 6.マスカレードパレード 7.ロマン天動説 8.分岐 (Interlude) 9.RUNAWAY 10.踊ろう命ある限り 11.ショコラ 12.海馬を泳いで 13.Memory 14.Time Over (Postlude)    

    2023/12/22

  • meiyo
    KANという存在についての話をしようと思う。
    KANという存在についての話をしようと思う。

    meiyo

    KANという存在についての話をしようと思う。

     2023年12月6日に“meiyo”がメジャーデビュー後初のアルバム『POP SOS』をリリースしました。メジャーデビュー曲「なにやってもうまくいかない」、エナジードリンクZONe ENERGYとのコラボ曲「未完成レゾナンス」、2023年au三太郎CMソング「ココロ、オドルほうで。」に加え、数々のジャンルを超えた名だたるアーティストへ書き下ろした提供曲のセルフカバーも収録。ヒット曲を多数収録した全14曲入りアルバムとなっております。    さて、今日のうたコラムではそんな“meiyo”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回が最終回です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 Cat Scat 」にも、そして自身にも大きな影響を与えている“KAN”という存在について。meiyoの人生を一瞬で変えたフレーズとは…。 どうも、meiyoです。③です。最終回! 寂しいですね。   この度、念願だったフルアルバム『POP SOS』をリリースしたわけですが、①では「なにやってもうまくいかないとアルバム周辺について」、②では「ビートDEトーヒとアルバムタイトルについて」と語ってきました。   ということで今回。やはり、このアルバムを作るにあたって、というか人生において多大な影響を与えてくれた、もはや語らないわけにはいかないKANという存在についての話をしようと思う。   まず、なぜKANちゃん(御本人がそう呼ばれたいと言っていたのを見たので、敬意を持ってそう呼ばせて頂きます)について語ろうと思ったのかというと。 アルバムに収録されている新曲の「Cat Scat」という楽曲の構造や歌詞の世界観、そしてブックレットに記載されている【視覚化された楽曲情報】などは、実はKANちゃんがかつて行ってきた手法をオマージュしたものなのです。     当時、鳴かず飛ばずであった僕に、あるレーベルの方が「これ、きっと好きだと思う」とCDを貸してくれた。それがKANちゃんとの出会いで、そのCDは当時発売されたばかりだった『6×9=53』というアルバム(2016年)。 正直言うと「愛は勝つ」の人、ぐらいの認識で、まっすぐな歌を歌う方なんだろうな、ぐらいに思っていたので、アルバムの1曲目「Listen to the Music Deco☆version」を聴いて度肝を抜かれた。   開始10秒、まだストリングスのイントロしか鳴っていないのに、「あ、この人、天才だ」と確信。そこから飛び込んでくる斬新な言葉選び、歌詞とリンクするウィットに富んだアレンジ、そして信じられないほどシックリくるメロディの数々。   そして現れた僕の人生を一瞬で変えた歌詞。   “大好きで 大好きで あこがれて マネて おいかけて なりきっても なにがどうマズイんだろうか 現実はシャバダバで”   ここまで振って、一番肝になるはずの部分を「シャバダバ」と歌ってのけたKANちゃんに、僕は打ちのめされた。そうだよな、そこを歌ったら、粋じゃない。   この曲はおそらく、KANというアーティストとしての矜持みたいなものを歌った曲だと思われる(のちに知るが、KANちゃんはまさしくこの歌詞の通り、自身の大好きなアーティスト・楽曲に強い敬意を払った大胆なオマージュを数多く行っている)。   当時の自分は25歳、それなりに音楽を沢山聴いていたつもりだったので、まさに盲点。そこから全アーティストを一気に飛び越え、僕の好きな音楽家ランキング1位(複数人いるが)に登りつめた。それほどの衝撃。   でも、そこから意識的に僕の音楽制作が大きく変わったかというと、実はそんなこともない。 おこがましくも、敢えて言葉を選ばずに言うと、KANちゃんが作ってきた音楽、考え方、遊び方など全て、僕がやりたいことと非常に近かった。ただ僕が存在を知らなかった、ってだけで。 ひとつ違うのは、その全てが桁外れにハイレベルだった、ということぐらい。   僕には僕の「僕を形成してきた音楽たち」があって、 同様に、KANちゃんにとってのそういった音楽もあって、 互いに、全く違う音楽を聴いてきたはずなのに、辿ってみればどっかで偶然ルーツが同じだったり交わったりしていて、結果的にすごく近しいところに立っていた。そんな感覚。 何を意識せずとも、僕の作る楽曲には自動的にKANちゃん風のエッセンスが入ってきてしまう、とも言える。   だから僕は変わらず、僕が作りたい曲だけを作りつづけた。 偶然見つけてしまった 追いつけないほど遠くでひょうひょうとしている その少し小さな背中に憧れながら。   2019年、KANちゃんの為だけに作った世界で一枚のmeiyoの手作りCD-Rを人づてにお渡しさせていただいた。 なんと、KANちゃんはそれを律儀に聴いてくれていたようで、2022年になってそのCDの収録曲を自身のラジオでかけてくれた。 のちに、直接お会いしてご挨拶する機会をいただいたが、憧れからくる緊張のあまり「その節はありがとうございました」以外、ほとんど何も話せなかった。 まぁ、今度リベンジすれば良いか。KANちゃん とだったら、飲めない酒だって飲むぞ。   ほどなくして2023年、KANちゃんはメッケル憩室がんを公表。 僕は、KANちゃんのことだから大丈夫だろうと精一杯楽観しながら、メジャーデビュー後初となるフルアルバムを制作していた。   このご時世、曲をデータにして送ることだって出来るけど、せっかくだからご自宅にある押し入れCD棚の「め」の欄、僕のショボっちい手作りCDの横に並べてほしいなと思って、それはしなかった。   冒頭で触れた「Cat Scat」のこととか、ブックレットの内容とか。いやあ、大好きで憧れてマネておいかけてなりきってみたら、こんなにもシャバダバな仕上がりになっちゃいましたよ、って。 “今度君に会ったら”そんな話しをしよう、なんて思っていました。   2023年11月12日、KANちゃんは亡くなりました。僕のCDは、ちょうど工場で作られている真っ最中。   間に合わなかった。悔しかった。 そうして、“君がいなくなった”世界で、滞りなく無事完成した『POP SOS』というアルバム。 僕を救ってくれた音楽家たちへのアンサー。そして、もしかしたら誰かを救えるかもしれないアンセムがたくさん収録されている。   まさか、作った自分自身が一番にこのアルバムに救われるとは思わなかったけど。   僕がKANちゃんや数多くの音楽家から受けた影響たちがこうして音や言葉となって誰かに届くことで、間接的にでもその存在が生き続けてくれたら。それこそが僕が音楽をやっている意味そのものなのかもしれない。 だって、同じように、いつか僕の音楽に影響を受けた誰かが、いろんな形で僕の存在を生かし続けてくれるはずだから。 うん、それでこそ、シャバダバです。   最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございます。 これからもよろしくね。   では、股。(ま、最終回ですけどね。)   <meiyo> ◆紹介曲「 Cat Scat 」 作詞:meiyo 作曲:meiyo 「 Listen to the Music 」 作詞:KAN 作曲:KAN ◆メジャー1stフルアルバム『POP SOS』 2023年12月6日発売  <収録曲> 1. KonichiwaTempraSushiNatto (POP SOS Ver.)  2. なにやってもうまくいかない  3. クエスチョン  4. PAKU 5. ねぇよな 6. 未完成レゾナンス  7. ビートDEトーヒ 8. ココロ、オドルほうで。 9. KANPAI FUNK feat. フレデリック 10. Cat Scat  11. っすか?  12. 希望の唄  13. 魔法の呪文 (POP SOS Ver.)  14. いつまであるか (POP SOS Ver.) 

    2023/12/21

  • Thinking Dogs
    10年を告げる時針
    10年を告げる時針

    Thinking Dogs

    10年を告げる時針

     2023年12月13日“Thinking Dogs”がバンドとして初めてのアルバム『FAQ』をリリースしました。今作には、4月から毎月配信してきたシングル曲に新曲3曲を加えた全13曲が収録されております。さらに12月22日にはアルバム発売記念のワンマンを代官山UNITで開催決定!    さて、今日のうたコラムではそんな“Thinking Dogs”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第2弾。執筆を担当したのはJun(Gt.)です。綴っていただいたのは、自身が作詞を手掛けた収録曲「 キャパクラ 」にまつわるお話。今までの「言えなかったこと」を楽曲にぶつけてみたとき、出てきた想いは…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。 今年もすっかり、コーンポタージュ缶の季節だ。学生時代、校内の自動販売機で買っていた少し熱めの缶。手のひらで転がしながら、コピーバンドの練習をしていたことを思い出す。 安いギターに、錆びかけの弦。少しかじかんだ手で鳴らす6本の弦は、最高に良い音がした。   振り返れば、結成10周年間近。   「多分、いや、絶対勝つ。」 そう意気込んだイナズマロックフェスのオーディションも、約10年も前の話。 本当に、早い。結果を待つ心臓の鼓動を、今も覚えている。 結果は、準グランプリという、輝かしくももどかしい距離に、焦りと苛立ちを感じた。 今思えば、贅沢な後悔だ。 実力と夢がチグハグだった。だけど心の底から、覚悟が決まった瞬間でもあった。 あの日、世界は終わらなかったのだ。 そして、僕達のはじまりにピリオドを打ち、4人のエキストラからThinking Dogsが誕生する。   昔話はこの辺にして。   今回「キャパクラ」という曲の歌詞を書いた。メンバーそれぞれが、腹の内をぶちまけようという企画の一環である。今までの「言えなかったこと」を無理矢理消化するのではなく、楽曲にぶつけてみよう、と。 ふざけた曲名にしたのは、多分自分の中の黒い感情を、少しでもポップにしたかったからだ。   自分たちの新しい可能性を探る、といえば聞こえはいいが、ほぼほぼグチである。さらにその曲たちを集めてアルバムにするらしい。気が短いヤツらの、最高に暗く尖った話だ。どうかしているぜ。念の為付け加えると、実在の人物や団体とは関係ありません。多分絶対。   僕は、存在しないモノ、ファンタジーをカタチに落とし込むのは得意ではない。どちらかといえば、切り貼りするちぎり絵のように、自分の「今」を書く。1度バラして、また組み立てて。 そうすることで、それは等身大のフィクションになる。近くで見ると粗も目立つが、全体像はなんとなく伝わっていると信じたい。   この曲のテーマはまさに、その時の「今の自分」だった。昔は、日頃こんなに悩むことになるとは想像していなかった。人生なんとかなると思っていたし、事実、なっていた。 身の程を知るというのは、かくも恐ろしい。昔なら、嫌な気持ちはリフの余韻と一緒に消えていった。それが今や、ネックを握る手すら重い時もある。   すがる気持ちで吐き出した言葉。せめてこの辛い時間を無駄にしないために。カタチにすることで、価値を与えることで、こんな自分も肯定できる気がして。正直、本当に世に出るとは思っていなかった。だからこそ、ここまで書いたと言ってもいい。あまりにストレートな内容だったし、スパイスの効いたワードも入っていた。よくGOサインが出たなぁ、と他人事のように思う。   過ぎ去ってしまえば、「あんなに辛かった時間」も一瞬だ。こうして歌詞を眺めれば、あの嫌な感情がよみがえるが、それと同時に、「やっぱりなんとかなったな」と楽天家が顔を出す。   経験とは、自信だ。   経験とは、指針だ。   これからも、苦しい時は必ず来る。カフェインに祈り、アルコールで心の傷を洗う日もある。   そんな時でも、この暗い歌詞があれば、きっと大丈夫だ。きっとなんとかなる、そう思い出すだろう。最高に暗く尖ったエールを肴に、またグチをこぼしながら、ギターを歪ませるだけのことなのだ。   ということで、僕は今、元気です。   それだけの話です。   <Thinking Dogs・Jun(Gt.)> ◆紹介曲「 キャパクラ 」 作詞:Jun 作曲:綿引裕太 ◆ニューアルバム『FAQ』 2023年12月13日発売 <収録曲> 1.I xxxx YOU 2.多分絶対 3.エレメント 4.オートクチュールな愛を 5.ダレカ 6.キャパクラ 7.棘 8.サンクション 9.KODONAism 10.燃やせ 11.メメントモリ 12.深海魚(FAQ ver.) 13.Possibility≠0

    2023/12/20

  • アイビーカラー
    直感でわかる、もう二度と会えないんだということ。
    直感でわかる、もう二度と会えないんだということ。

    アイビーカラー

    直感でわかる、もう二度と会えないんだということ。

     2023年12月6日に“アイビーカラー”が新曲「bath towel」をリリースしました。佐竹惇が絶大な信頼を置いている川口圭太をサウンドプロデュース/アレンジに迎え、各楽器が絡むアンサンブルの美しさと各所で締まるキメが心地よい楽曲。佐竹の18番とも言える失恋テーマの詞世界とメロディが相まって、より深く心に刺さる1曲となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな“アイビーカラー”の佐竹惇による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、新曲「 bath towel 」にまつわるお話です。この歌で描いた後悔の想い。そしてこの歌で届けたい自身の意思…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。 “僕が君と出会ったみたいに君も誰かと出会うのだろう”   そんな当たり前なこと。 だけど何故か 君は僕だけのものって根拠もない何かを抱いてしまっていた。   ほんの気まぐれだった。 冷たくしてしまったこと、心ないことを言ってしまったこと。   次があると決めつけて1日1分1秒をぞんざいに扱った僕に当然の報いが訪れる、そんな日が来た。   直感でわかる、もう二度と会えないんだということ。   星屑みたいにこの街のどこかへ、二人の今までが消えてしまった。   一人になりたいとこぼしていたのは 二人の時じゃわからなかったからだ。   バスタオルから覗く、君の表情をもう見ることはできない。   そんな後悔の念が詰まった新曲、 「bath towel」   是非とも沢山の人に届きますように。     ここからは曲というより自分の話。   もともと4人組のバンドだったアイビーカラーは4月僕以外の3人が脱退して1人に。   大阪から東京に8月から拠点を移して、心機一転ソロでの活動をスタート。   ソロでの楽曲とは? 今までを継承すべき? ガラリと変えるべきなのか、   「自分一人の曲を作ってリリースする」   それはこの音楽人生ではじめてのことで、確信よりも戸惑いが大きい4ヶ月間でした。     そんな中で自分の中でビビッときた、楽曲がようやくできた。   「これならいけるかも!」という結果を求める曲じゃなく 今まで培ってきたアイビーカラー、そして自分自身のやりたいことを思い出させてくれるような曲でした。   そして何より出来た時、早くみんなに聴いてほしいって心から思った曲でもあります。   それが今回リリースした「bath towel」   きっとこれからも紆余曲折を重ねてアイビーカラーという名前を背負って曲を出していきます。   <アイビーカラー・佐竹惇> ◆紹介曲「 bath towel 」 作詞:佐竹惇 作曲:佐竹惇 

    2023/12/19

  • SARD UNDERGROUND
    哀れみが溶けていく、冬の中で。
    哀れみが溶けていく、冬の中で。

    SARD UNDERGROUND

    哀れみが溶けていく、冬の中で。

     来年2024年9月18日に“SARD UNDERGROUND”がデビュー5周年を迎えます(アーティスト写真:坂本ひろ美(Key)、神野友亜(Vo)、杉岡泉美(Ba))。彼女たちは、令和の時代に“ZARD 永遠のスタンダード・ナンバー”を継なぐトリビュートバンド。2019年にZARDの数々の名曲が詰め込まれたトリビュートカバーアルバムでデビュー。そして現在に至るまで、数々のZARDのカバー曲と、坂井泉水の未公開詞によるオリジナル曲の他、ボーカル神野友亜によるオリジナル曲を発表し続けております。    さて、今日のうたコラムではそんなアニバーサリーに向けて“SARD UNDERGROUND”の神野友亜による歌詞エッセイを1年を通じ、12ヶ月連続でお届け!今回は第4弾です。ZARD「あなたを感じていたい」が聴きたくなるこの季節、自身が発見した冬ならではの“愛おしさ”を綴っていただきました。 ZARD「あなたを感じていたい」が聴きたくなる季節ですね。   ZARD「あなたを感じていたい」 作詞:坂井泉水 https://www.uta-net.com/song/7772/   ・ ・ ・   陽の当たる道を散歩していた。 目に留まったカフェに入ってコーヒーをオーダーする。   いい香り。   コーヒーを手に外に出ると、 ほんの数分で空が暗くなっていた。   なんだか空に置き去りにされた気分。 ぼそっと呟きながらとぼとぼ歩く。 少し切なくなった心が目線を下げると 手の中であたたかく香るコーヒーが 妙に愛おしく感じた。   つい最近まで 人肌の恋しくなる秋風が吹いていたけど、 今は片手に収まる小さなコーヒーに こんなにも心が満たされている。   “ああ 冬が来た”   空に置いて行かれている場合ではないので 心も衣替えをしよう。   心温まる瞬間を見つけるには最適な季節。 唯一、色を探さずともトキめきがある季節。 どんな瞬間も見逃せない。   哀れみが溶けていく、冬の中で。 <SARD UNDERGROUND・神野友亜>

    2023/12/18

  • クジラ夜の街
    記憶について②
    記憶について②

    クジラ夜の街

    記憶について②

     2023年12月6日に“クジラ夜の街”がメジャー1stフル・アルバム『月で読む絵本』をリリースしました。今作に収録されるのは全14曲。1stシングル「踊ろう命ある限り」やテレビアニメ『闇芝居 十一期』エンディングテーマ「マスカレードパレード」、最新作「裏終電・敵前逃亡同盟」といった既発曲のほか、「輝夜姫」をはじめとした新曲も収録されております。    さて、今日のうたコラムではそんな“クジラ夜の街”の宮崎一晴による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回は第2弾です。綴っていただいたのは、第1弾に続き今作の収録曲「 Memory 」にまつわるお話。自身にとって癒しだった「思い出」が痛みへと変わっていることに気づき、さらに曲を書き終えたとき、新たにたどり着いた想いは…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。 癒しだったものがいつの間にか痛みへと変わり、途方に暮れておりました。 幾つもの「楽しい記憶」に阻まれて現在、何をするにも手がつかない。 思い出補正の暴走は、過去を極端に美化し、結果足りないものばかり目につくようになります。   ただ、ただなぜだか 「こんなことならいっそ友達とかいなければ」とか 「あの人とも付き合わなければ」とか 「もともと孤独だったなら」とか そういう考えには、一切至らないんですよ。   たらればの話はするだけ無駄だとわかっているから? もちろんそれもあるでしょうが。   干渉したくないんです。過去に。記憶に。 それを痛みと知って尚 変わらず俺を苦しめていてほしいと思うんです。 写真フォルダを見返す行為は、その多くを憂鬱で占めますが、ほんの少しの安堵を与えてくれるのもまた事実なのです。 ピースマークを掲げ満ち足りた顔をした自分に、劣等感を覚えつつも、どこかで救われている自分もいた。憂いこそすれ、怒りや憎しみを覚えることはなかった。   思い出に殺されそうになってわかったのです。 俺は、思い出に生かされていたのだと。   憶測なんですが。 この先、生きれば生きるほど、辛い。 荷物は重たくなる一方。 肩に跡がついて、骨が軋む音を立てたとて 一時的に降ろすことすら許されません。記憶は、自動的に降り積もっていきますから。 「昔は良かったなあ」なんて言葉は、口に出してみると柔らかですが、実際は深刻で。 もしかしたらもう人生のピークはとうに過ぎていて、残りの人生は消化試合かもしれません。 これまで経過した日々を塗り替えるような栄光には、お目にかかれないかもしれません。 そしてそのまま、死んでいくかもしれない。   さみしいですね。 なんだかとてもさみしいですよ。 でも言えませんね。俺は言えないですよ。さみしいなんておおっぴらには言えないですよ。だって言葉にしたら余計空虚じゃないですか。 だからせめて。 「さみしくない」って言いたくない。 それくらいは言えるようになりたい。   それがクジラ夜の街の新曲「Memory」です。   なんのために生きるか? 「思い出を作るために生きている」と答えましたが、曲を書き終えた今は少し違います。 「思い出を越えるために生きる」のです。 結果越えられなくっても。 その思念を持って「現在」という時間に挑むこと。 それが大事なんだって、思うのです。   今日も、2017以前の自分は、なんにも知らずに笑顔のままです。   <クジラ夜の街・宮崎一晴> ◆紹介曲「 Memory 」 作詞:宮崎一晴 作曲:宮崎一晴  ◆メジャー1stフル・アルバム『月で読む絵本』 2023年12月6日発売 配信リンク: https://qujilayolu.lnk.to/iseethemoonlight <収録曲> 1.欠落 (Prelude) 2.輝夜姫 3.華金勇者 4.BOOGIE MAN RADIO 5.裏終電・敵前逃亡同盟 6.マスカレードパレード 7.ロマン天動説 8.分岐 (Interlude) 9.RUNAWAY 10.踊ろう命ある限り 11.ショコラ 12.海馬を泳いで 13.Memory 14.Time Over (Postlude)  

    2023/12/15

  • meiyo
    ポップなビートで逃げ出したい。
    ポップなビートで逃げ出したい。

    meiyo

    ポップなビートで逃げ出したい。

     2023年12月6日に“meiyo”がメジャーデビュー後初のアルバム『POP SOS』をリリースしました。メジャーデビュー曲「なにやってもうまくいかない」、エナジードリンクZONe ENERGYとのコラボ曲「未完成レゾナンス」、2023年au三太郎CMソング「ココロ、オドルほうで。」に加え、数々のジャンルを超えた名だたるアーティストへ書き下ろした提供曲のセルフカバーも収録。ヒット曲を多数収録した全14曲入りアルバムとなっております。    さて、今日のうたコラムではそんな“meiyo”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 第2弾は収録曲「 ビートDEトーヒ 」にまつわるお話です。ハマいくへの提供曲として書き下ろしたこの曲。今作の『POP SOS』というタイトルの由来にも通ずる、楽曲制作の経緯とは…。改めて歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。 どうも、meiyoです。②です。 この度、念願だったフルアルバム『POP SOS』をリリースしたわけですが、前回①ではその辺の話と「なにやってもうまくいかない」についてたくさん語らせて頂きました。今回は、また別の曲についてのお話をさせていただこうかと思います。『POP SOS』というアルバムタイトルの由来にもまつわる話。   アルバムを制作する話が持ち上がったとき、まずデビューからの2年間を振り返りました。meiyoとしてももちろんこれまで以上に精力的に活動出来たけど、コンポーザーとして楽曲提供をする、という経験をとにかく沢山させて頂いた2年。   asmiさんに提供した「PAKU」、和田アキ子さんに提供した「KANPAI FUNK」、すとぷり・るぅとくんに提供した「ねぇよな」など、たくさんの貴重な体験をさせてくれた提供曲たちを、自分も歌いたい!ということで収録曲の方向性はmeiyoが携わった曲ならなんでもあり!という感じに。   そしてメジャー初のフルアルバム、しかもCDでのリリース。ということで、アルバムタイトルは人生を振り返ったテーマで付けるべきだと思い、僕の人生を象徴する言葉はなんだろうと考えたときに出てきたのが『POP』という言葉でした。   『POP』といえばそう、ハマいくに提供した「ビートDEトーヒ」です。 <ポップなビートで逃げ出したい>これは、極めて僕を象徴するフレーズなのではないか、と。 そして「ビートDEトーヒ」を作った経緯を思い出す。   小中学生のころ、NHKで放送していた番組『天才てれびくん※』が好きだった(※現在も放送中)。 その番組内で『MTK』というコーナーがあった。 てれび戦士(レギュラー出演している子供たち)や、MCの大人たちが洋楽・邦楽・有名・無名を問わないグッドミュージックのカバー・オリジナル曲を歌う。 MVもしっかり作ってあって、特筆すべきは当時大半の楽曲でゴダイゴのタケカワユキヒデさん(とThat's on Noise)が編曲を担当していた点。 選曲が今考えても信じられないほど幅広く、そのどれもがポップで、 そこで流れていた曲たちが、僕にとってのPOPで、全ての始まりだったと言っても過言ではない。   やがて月日は流れ、だいぶと長いこと音楽活動を続けようやくメジャーデビューしたmeiyoに舞い込んだ依頼。 『NHKの音楽番組 Venue101 司会の濱家さんと生田さんがユニットを結成して歌って踊ります。全世代が楽しめるような曲を!!』 もちろんハマいくの二人が歌うことは想像しながら、ここぞとばかりに僕の人生も乗っけて、言いたいこと全部詰め込んで、自信を持って『これがPOPです!』と言い切れる楽曲を作ろうと決意。 そうして出来たのが「ビートDEトーヒ」でした。 色んな意味で、僕の人生をかけて作った楽曲だったわけです。   そんな僕にとって大事な曲「ビートDEトーヒ」のセルフカバーももちろんしたいよね、ということで収録が決定。それと同時に、僕と『POP』との関係性が見えました。 僕はずっと、音楽を愛し、音楽で迷いながら、音楽に救いを求めていました。 うん、それこそが僕の人生のテーマだな。とすんなり思えて。 かくして『POP SOS』というタイトルは決定したのであった…という話でした。   そういえば。 日本を代表する音楽番組、NHK紅白歌合戦。 ハマいくが歌うこの曲がまた誰かに愛され、誰かを救うことになったら良いな、と心から願っております。   今回はこの辺とさせていただきます。次回は③。最終回です。寂しいね。 では、股。   <meiyo> ◆紹介曲「 ビートDEトーヒ 」 作詞:meiyo 作曲:meiyo  ◆メジャー1stフルアルバム『POP SOS』 2023年12月6日発売  <収録曲> 1. KonichiwaTempraSushiNatto (POP SOS Ver.)  2. なにやってもうまくいかない  3. クエスチョン  4. PAKU 5. ねぇよな 6. 未完成レゾナンス  7. ビートDEトーヒ 8. ココロ、オドルほうで。 9. KANPAI FUNK feat. フレデリック 10. Cat Scat  11. っすか?  12. 希望の唄  13. 魔法の呪文 (POP SOS Ver.)  14. いつまであるか (POP SOS Ver.) 

    2023/12/14

  • Thinking Dogs
    あの人になれたらいいのに。
    あの人になれたらいいのに。

    Thinking Dogs

    あの人になれたらいいのに。

     2023年12月13日“Thinking Dogs”がバンドとして初めてのアルバム『FAQ』をリリースしました。今作には、4月から毎月配信してきたシングル曲に新曲3曲を加えた全13曲が収録されております。さらに12月22日にはアルバム発売記念のワンマンを代官山UNITで開催決定!     さて、今日のうたコラムではそんな“Thinking Dogs”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第1弾。執筆を担当したのは TSUBASA(Vo.)です。 綴っていただいたのは、今作の収録曲「ダレカ」にまつわるお話。このラブソングに影響している自身の背景とは…。みなさんは“誰かになりたい”って思ったことはありますか? 僕は小さい頃から“カッコいい”と思ったものに影響を受けやすい人だった。   一番最初に憧れたのは父。朝になるとシェーバーで髭を剃り、ジェルで髪をセットして仕事に出掛けていく姿は僕の人生初“カッコいい”だった。 見様見真似でジェルで髪をセットし、迎えに来るバスに乗っていた幼稚園生はきっと僕ぐらいだったと思う。笑   小学生の頃サッカーが上手だったヒロくん。 中学生の頃バスケ部の先輩だったねもやん。 テレビの中のジェシーおいたん(フルハウスっていう海外ドラマのね笑)。 あげ出したらキリがないくらいいろんな人に憧れて、影響を受けてきた。   髪型とか服装とかそれこそ喋り方までじーっと観察してどうやったらあんな風になれるのかなあって…時には喋り方まで真似するようなことがよくあった。     そんな幼少期を経て今。 大人になってからの「誰かになりたい」なんて気持ちは醜い嫉妬心の方が強かったりする。 なれないことがわかっているからだ。   「あの人になれたらいいのに」   人生で何度も浮かべたこの言葉はよく僕の歌詞のテーマになっている。 今回、アルバムに収録されている「ダレカ」もそのうちの一つだ。   いつかは決別したいという思い。 執着にも近い嫉妬心。   自分の中の醜い部分から連想したラブソングを描いたのは僕のこういった背景がきっと影響しているんだと思う。    これを読んでいるあなたも “誰かになりたい”って思ったことはありますか?   <Thinking Dogs・ TSUBASA(Vo.) > ◆ニューアルバム『FAQ』 2023年12月13日発売 <収録曲> 1.I xxxx YOU 2.多分絶対 3.エレメント 4.オートクチュールな愛を 5.ダレカ 6.キャパクラ 7.棘 8.サンクション 9.KODONAism 10.燃やせ 11.メメントモリ 12.深海魚(FAQ ver.) 13.Possibility≠0

    2023/12/13

  • いきものがかり
    「大好き」が問いかけるもの
    「大好き」が問いかけるもの

    いきものがかり

    「大好き」が問いかけるもの

     2023年12月13日に“いきものがかり”がニューアルバム『〇』をリリース! 今作は、2人体制となって初のオリジナルアルバムです。映画『銀河鉄道の父』主題歌「STAR」や、『映画プリキュアオールスターズF』主題歌「うれしくて」、『プリキュア』シリーズの20周年記念ソングでTVアニメ『キボウノチカラ~オトナプリキュア'23~』オープニングテーマ「ときめき」、フジテレビ系『坂上どうぶつ王国』テーマソング「きっと愛になる」などが全12曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムではそんな“いきものがかり”の水野良樹による歌詞エッセイを2回に分けてお届け! 今回は第1弾です。とある日、我が息子からふいに投げかけられた言葉。そこから考えてゆく、歌をつくる意味とは、歌を書くことの難しさとは…。今作の収録曲と併せて、エッセイをお楽しみください。 6歳の息子に付き合って、居間のソファでアニメを見ている。 画面を飛び交うポケモンたちの名前がぜんぜん覚えられない。これはみずタイプなんだ、あれはほのおタイプなんだと、早口でまくしたてる息子の説明に「へぇ」と頷くだけだ。   「パパ?」 不意に、テレビに向けられていた息子の顔が、ぐるりとこちらに振り向く。 「ん?」 目を合わせる。ずいぶんと綺麗な目をしている。丸い。 「大好き」   強烈だなぁと思う。まいったなぁと思う。なかなかの破壊力だ。 息子は気にするでもなく、すぐにポケモンの世界に戻り、親バカの父親だけが日常の風景のなかに取り残されて、「大好き」という言葉の余韻にしばし痺れている。   そうか。 “大好き”か。   歌詞なんて、必要があるのかと思うことがある。 水野くん、作詞というのはね、「好き」という言葉を使わずに「好き」を表現することなのだよ。いや、先生、おっしゃりたいことはわかりますけれど。お言葉ではございますが、それ、創作という遊戯を超えたところで、どれだけの意味があるのでしょうか。   まぁ、屁理屈ではある。そうやって、おのれの語彙の少なさを、あるいは言語表現の拙さを、ごまかしているところは否定できない。「好き」で済むのだったら、ほとんどの締切を余裕で通り過ぎることができるだろうし。それは楽でしょうよ。   だが、踏みとどまって考えてみなくてはならない。 幼い息子が放った「大好き」が、なぜ胸を打つのか。   歌詞にせよ、文学にせよ、戯曲にせよ。 すべての言語表現はつまるところ、そういった日常のなかの、おおよそ“芸術”などというご立派な単語でコーティングされる前の、言葉がやっと言葉になったような瞬間から、始まるのではないだろうか。   物心ついたばかりの幼い子どもが、言葉という袋をやっと手にした。 そこにどんな種類の感情を、どれだけ詰められるのか。まだ彼は適当な具合がよくわかっていない。おもちゃ袋いっぱいに感情のぬいぐるみを詰めてしまう。小さな手では持ちきれないほどの大きさになってしまう。でもそれを、そのまま渡す。満面の笑みで。そんな、言葉。   “関係”があるから、でもある。 息子は、彼の父親である自分にはとってはかけがえのない存在で、そんな息子が放つ言葉は愛おしいものとなるに決まっている。表現ではなく“関係”が、言葉に価値を与えている。だから、息子の言葉はたしかに、表現という遊戯にかかわる“詞”ではない。   だが、はたして、すべての関係から無縁でいられるような“詞”が存在するだろうか。すべての関係から切り離されて、純粋に自立し、孤高に酔えるような“表現”が存在したとして、それは誰かを慰めるだろうか。   言葉は書かれた時点で、読まれる宿命を帯びている。 歌はくちずさまれた時点で、聴かれる宿命を帯びている。 書き手がいれば、聴き手がいる。 自分だけで密かに書いた日記でさえ。自分だけで静かに呟いた祈りでさえ。 それらを聴く“自分という他者”がいることを思えば、常に、そこに“誰か”はいる。 哀しいことかもしれないが、言葉は“ひとりではいられないもの”だ。   だから、やはり息子が放った「大好き」に向き合わねばならない。 言葉が“関係”から切り離せないのであれば、歌詞を書く人間にとって、小さな子どもが放った生まれたての言葉の瑞々しさは、重く、鋭い、批評になる。   あの「大好き」と向き合える言葉を、お前は書けているのかと問われたら。 それはなかなかに、恐ろしい問いだ。   今までの人類の歴史上で(大袈裟な話だが)、いったいどれだけの感情が言葉にされ、やりとりされてきたのだろうか。今、この瞬間にも、息子が放った「大好き」と同じような言葉が、誰かと誰かとのあいだで交わされている。   あえて言うのなら、それでもなお、歌をつくる意味があるのか。     歌書きはいつも、下から風が吹き上げる無意味の谷底の前で、立ち尽くしている。 つくりだした言葉のほとんどは目前の谷底の闇奥へと落ちていく。   だが、ときどき。ほんとうにたまに。 息子が放った「大好き」と同じように、誰かと誰かとの関係のもとで、呼吸をする言葉が生まれてくる。表現という技術の遊戯に終わるのではなく、生きた人と人とのあいだで、彼らの感情とつながって、それらを血として、生々しくうごめいて、生きていく言葉が。   うまく書きたいとは思わない。 だけれども、誰かと誰かとのあいだで生かされていく言葉は、書けたらいいなと思う。   テレビを見ていた息子がまたもう一度、こちらに振り返ったとき。 自分は何を言えるだろうか。   その問いの難しさは、歌を書くことの難しさと、そんなに、変わらない。     <水野良樹(いきものがかり/HIROBA)>   ◆ニューアルバム『〇』 2023年12月13日発売 <収録曲> M1 誰か M2 うれしくて M3 声 M4 ときめき M5 きっと愛になる M6 STAR M7 好きをあつめたら M8 HEROINE M9 やさしく、さよなら M10 喝采 M11 YUKIMANIA M12 ○

    2023/12/12

  • 藤川千愛
    言葉のごみ拾い
    言葉のごみ拾い

    藤川千愛

    言葉のごみ拾い

     2023年11月8日に“藤川千愛”がフルアルバム『内の臓が愚痴をこぼすもので』をリリースしました。全10曲入りとなる今作には、TVアニメ『聖剣学院の魔剣使い』オープニングテーマ「1000年愛」、TVアニメ『盾の勇者の成り上がり Season 3』エンディングテーマ「好きになってはいけない理由」など、新曲を含むバラエティに富んだ楽曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムではそんな“藤川千愛”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回が最終回。綴っていただいたのは、収録曲「 自律神経 」にまつわるお話です。インタビューでは『歌詞はいつ書くのですか?』という質問にいつも同じ答えをしてきたけれど、異例の生まれ方をしたというこの曲…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。 新譜をリリースし、いざインタビューとなると『歌詞はいつ書くのですか?』 と常々聞かれる、決まって私は、   『タイアップは別ですが、オリジナル曲は、日々、ネタ探しで、気になったことは携帯にメモします。のちのち、さあ書くぞって、改めてそのメモから物語を想像して歌詞にします。』 と答える。 大袈裟じゃなくこの問答を何十回もしている。   メモを取るか取らないかは別にして、それ以外の答えがあるのかな? と毎度毎度同じ質問を不思議に思う。 いったい他の歌手はなんて答えているのだろう。   いっそのこと、 『突然、言葉が雪のように舞い降りてきて、気付くと曲が出来ています』 なんて、天才ぶってみたいけれど、私に限れば、そんなことは絶対に絶対に絶対にない。   私の携帯のメモ欄には、 好きなものばかり廃盤、もつ鍋はキャベツ、車内販売好きだったのに、新幹線は窓際がいい、高円寺っていつも雨、老人がケツ触ってきた、耳鼻科が少ない、消しゴムを買いに行った、赤身肉ばかり、靴下に引っ付き虫、トイレ長い奴バチ当たれ、何をお願いしたの?、きゅうりじゃないやつズッキーニ、 なんて一見しても意味も脈絡もへったくれもない言葉が並んでいる。   そして、このメモから、あらためて物語が生まれたり、生まれなかったりを繰り返して、 歌詞が出来上がる。もちろん、生まれないほうが断然多い。 決して、ご丁寧に舞い降りてくれたりはしない。   ある意味、寝ているとき以外は、 常に思いつきや言葉のゴミ拾いをしている状態だ。   そんな私ですが、 アルバム10曲目の『自律神経』という曲は異例で、   どうしても眠れなかった夜に まさに、眠れない眠れない泣けてくるよ、とメモしながら、 どうせなら、この眠れない状況を寝ないで歌にしてしまおうと開き直り、一呼吸置かずに作った曲だったりする。   メモをとるつもりが、そのまま歌詞へと進行した稀有なパターンだ。 ひょっとするとこれが舞い降りるということなのだろうか?(んなわけない)   だとしたら、ありがとう。神様!笑 ついでに、自律神経の乱れも治しておくれ…     乱れちゃうよ乱れちゃうよ 今夜のあたしは乱れちゃうかもよ 乱れちゃうの乱れちゃうの 今夜のあたしは目下故障中のあたしと自律神経   これじゃ運転手の消えた列車だね 行き付く先ははて?それすら眩み バランスのとれぬシーソーが病巣? 鳴り響く無情はそれつまり不協の和音   まわるコンパスを握り走っても 見失った道がその答えでしょ なんてことないなんてことない醜態をさらすだけ 影の千切れた世界で歌う断末魔は   震えているのに燃えているなんて ああ 走っているのに墜ちていくなんて 珈琲がぶ飲みしてオーバードーズなんちゃって 目が覚めた覚めた深夜三時?なんで?   乱れちゃうよ乱れちゃうよ 今夜のあたしは乱れちゃうの 乱れちゃうよ乱れちゃうよ 海月の骨に抱かれてたいの 見られちゃうよ見られちゃうよ 不規則なリズム欲望開花 乱れちゃうよ乱れちゃうよ 目下故障中のあたしと自律神経   目覚められない朝が来ました お次は眠れぬ夜の晩ですね いつだって時計の針 心急かすの 面倒だから耳も眼もえぐり捨てていいよ   甘えてるなんて見捨てないでよね 人は誰しも迷子だって…そうでしょ 可愛げのない名前もない倦怠が手招くの 追い返したいのに好かれちゃてなんで?そんな   つもりじゃないのに…見飽きた無意味な 感情の波に飲み込まれ馬鹿な 夢ばかりを見すぎてオーバードーズなんちゃって 目が覚めた覚めた深夜三時?なんで?   誰が泣いてるの? 誰が泣いてるの? 誰が泣いて…、泣いてるのはなぜ? 誰が鳴いてるの?嗚呼   乱れちゃうよ乱れちゃうよ 今夜のあたしは乱れちゃうの 乱れちゃうよ乱れちゃうよ 海月の骨に抱かれてたいの 見られちゃうよ見られちゃうよ 不規則なリズム欲望開花 乱れちゃうよ乱れちゃうよ 目下故障中のあたしと自律神経 あたしと自律神経   <藤川千愛> ◆紹介曲「 自律神経 」 作詞:藤川千愛 作曲:近藤世真(Elements Garden) ◆フルアルバム『内の臓が愚痴をこぼすもので』 2023年11月8日発売   <収録曲> 1. アンダンテ? 2. やっちもねぇ 3. バルサミコ酢 4. ぬか床 5. ブラックコーヒー 6. 1000年愛 7. 好きになってはいけない理由 8. 普通じゃない世界を知らなかった僕ら 9. 燦燦燦 10. 自律神経

    2023/12/11

  • クジラ夜の街
    記憶について①
    記憶について①

    クジラ夜の街

    記憶について①

     2023年12月6日に“クジラ夜の街”がメジャー1stフル・アルバム『月で読む絵本』をリリースしました。今作に収録されるのは全14曲。1stシングル「踊ろう命ある限り」やテレビアニメ『闇芝居 十一期』エンディングテーマ「マスカレードパレード」、最新作「裏終電・敵前逃亡同盟」といった既発曲のほか、「輝夜姫」をはじめとした新曲も収録されております。    さて、今日のうたコラムではそんな“クジラ夜の街”の宮崎一晴による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回は第1弾です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 Memory 」にまつわるお話。この曲のあるフレーズを書いたとき、自身の生きる目的だったモノがいつのまにか異なる存在になっていることに気づき…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。 なんのために生きていますか?   美味しいご飯を食べるため、生きる。 面白い映画を観るため、生きる。 友達と遊ぶため、生きる。 なんとなく暇なため、生きる。   人それぞれあるでしょうが 俺ならこう答えます。 「思い出を作るために生きている」と。   死後の世界には 自分が生前積み上げた記憶をギャラリー形式で鑑賞できるサービス的なモノがあると思ってて。 俺は、そこへ大量の思い出たちを持ち込んで逝きたいのです。   いやそもそも死後の世界があるかどうか、死んだことないのでわからないのですが。 たとえ、それが無かったとしても。 死の間際、想起するだけで涙が溢れるような思い出たちに看取ってもらえたなら、自分の人生の幕切れとしてはベストだなぁと思うわけです。 だから「良い思い出を作ること」 ざっくりしてはいますが、このことが自分の人生の優先順位の1番上に君臨しています。   あ、あと、走馬灯って寿命とか衰弱で死ぬ時も見れるんですかね? 絶対見たいんですけど痛かったり怖いのは嫌で。   まあこれは良いや。   なんだか、最近はこの「思い出」ってものに、むしろ囚われている気がするのです。信念が、過去への執着心に変貌していくような。 今、を楽しめなくなっているような。そんな感覚がずっとあるのです。   だから、「Memory」という楽曲で。 <思い出に殺されそうになって>という歌詞を書いた時、書いてしまった時。 花瓶を割ったような鋭い罪悪感が俺を襲いました。生きる目的だったモノに、殺されそうになっている。そのことに、自ら気づいてしまったのが、思ったよりこたえてしまって。   それから、歌詞を書き進めるほど 自分という人間の寂しさが浮き彫りになっていきました。 思い出補正に、補正された人間の、鬱屈した気持ちが文字の一つ一つに付着していました。   俺はこの歌を、どうしたいのだろう。 どうして書き始めたのだろう。 こんなにも自分を苦しめる曲を、死後の世界には持っていきたくない。忘れたい。 最後のセクションを書き切る前の俺は、そんなこと思っていたりしました。 つづく   <クジラ夜の街・宮崎一晴> ◆紹介曲「 Memory 」 作詞:宮崎一晴 作曲:宮崎一晴    ◆メジャー1stフル・アルバム『月で読む絵本』 2023年12月6日発売 <収録曲> 1.欠落 (Prelude) 2.輝夜姫 3.華金勇者 4.BOOGIE MAN RADIO 5.裏終電・敵前逃亡同盟 6.マスカレードパレード 7.ロマン天動説 8.分岐 (Interlude) 9.RUNAWAY 10.踊ろう命ある限り 11.ショコラ 12.海馬を泳いで 13.Memory 14.Time Over (Postlude)

    2023/12/08

  • meiyo
    もう、なにやってもうまくいかない気しかしない…。
    もう、なにやってもうまくいかない気しかしない…。

    meiyo

    もう、なにやってもうまくいかない気しかしない…。

     2023年12月6日に“meiyo”がメジャーデビュー後初のアルバム『POP SOS』をリリースしました。メジャーデビュー曲「なにやってもうまくいかない」、エナジードリンクZONe ENERGYとのコラボ曲「未完成レゾナンス」、2023年au三太郎CMソング「ココロ、オドルほうで。」に加え、数々のジャンルを超えた名だたるアーティストへ書き下ろした提供曲のセルフカバーも収録。ヒット曲を多数収録した全14曲入りアルバムとなっております。    さて、今日のうたコラムではそんな“meiyo”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回は第1弾。綴っていただいたのは、話題のメジャーデビュー曲「 なにやってもうまくいかない 」にまつわるお話です。この歌にたどり着くまでのガムシャラな日々。だからこそ生まれたフレーズ…。ぜひ、改めて歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。 どうも、meiyoです。この度念願だったフルアルバムをリリースすることが出来ました。メジャーデビューから2年と少し。ついに、って感じ。   僕を救ってきた数多のポップスターたちは当然のようにCDを出していたけど、僕は年齢的にもデビューが比較的遅く、音楽的にもインターネット中心で聴かれていたので、基本は配信のリリースのみでここまでやってきた。   盤が出ないとCD屋さんを巡ってご挨拶~みたいなことも無いので、メジャーデビューの実感がなかったりもしたけど、meiyoとして出す曲はもちろん、楽曲提供なんかもたくさんさせていただいて、これまでの淀んだ人生をいとも簡単に塗り替えるほどに楽しんだ2年でした。   初めましての方もいるかと思うので少々遡り、デビューにまつわるちょっとしたエピソード的なものを書こうかと思う。デビューのきっかけとなったのは「なにやってもうまくいかない」という楽曲。   インターネットから若い才能がポンポン登場しまくった2021年、僕はというと無職30歳。夢を諦めず、これまでの常識が通じないフィールドに足を突っ込み、音楽と動画を作っては投稿しまくる日々。   全然バズらない。自分の感性が年寄りすぎるのか? でもまだ30だし、いや、もう30なのか…。頑張らないとな、今も頑張ってるんだけどな。何を頑張ればいいのかな。アレもコレも駄目だった。他に何が出来るかな。もう、なにやってもうまくいかない気しかしない…。   まさに曲タイトル通りの状況で、もがき苦しみながら作ったこの曲は、ぐっちゃぐちゃな心がそのまま表出したような歌詞が共感を得たのか、またたく間に広まった。   お経のように呟かれる長文の罵詈雑言。しかも四方向からそれぞれ違う言葉で…なんてところもインパクトがあったのかもしれない(このパートのせいで、歌詞が尋常じゃないくらい長くなっている。ぜひ実際の歌詞を見てほしい)。   思い返すと、曲最後の<何にもやってないだけじゃない?>は、そもそも自分に対しての戒めの気持ちで書いたんだったな。でも、よく考えたら僕は比較的、何かしらやってきた方だ。   ずっとアルバイトしてたし、いわゆる下積み、ちょっと法外じゃない? と言いたくなる額のノルマを課せられながら激狭ライブハウスに出演するみたいな時期も経た。レコーディングからミックスまで自力でやったり、バンドでYouTube活動を始めて動画編集やMV撮影や編集をしたり、グッズやCDを自作したくて画像編集ソフトを弄ったり。果ては自前で版を作って自宅でTシャツにシルクスクリーン印刷、なんてことも。   …って、頑張ってるアピールですかって感じだけど、「予算が全くないから自分でやるしかなかった」というだけの話なんです。信じられないほど貧乏だったんです。音楽大変ね。   でも、これ以上なにをすればいいのか? と言いたくなるほどに、なんでもかんでもやってきたから、「“なにやっても”うまくいかない」という言葉が自然に出てきたのかもなぁ。いやしかし、成功するか分からないことをよく続けられたなと思う、偉いぞ自分。みんなもたまには自分自身を褒めてあげると良いです。   それでもときに悲しいことや辛いことあると思いますが、僕の音楽でよければいつでもこの世に存在してるので、たまに会いに来てやってください。そんな①でした。②をお楽しみに。   では、股。(敬愛するアーティスト、KANさん流の挨拶で〆)   <meiyo> ◆紹介曲「 なにやってもうまくいかない 」 作詞:meiyo 作曲:meiyo  ◆メジャー1stフルアルバム『POP SOS』 2023年12月6日発売  <収録曲> 1. KonichiwaTempraSushiNatto (POP SOS Ver.)  2. なにやってもうまくいかない  3. クエスチョン  4. PAKU 5. ねぇよな 6. 未完成レゾナンス  7. ビートDEトーヒ 8. ココロ、オドルほうで。 9. KANPAI FUNK feat. フレデリック 10. Cat Scat  11. っすか?  12. 希望の唄  13. 魔法の呪文 (POP SOS Ver.)  14. いつまであるか (POP SOS Ver.) 

    2023/12/07

  • シンガーズハイ
    爆音のうねりの中を溺れないように泳ぎ切る。
    爆音のうねりの中を溺れないように泳ぎ切る。

    シンガーズハイ

    爆音のうねりの中を溺れないように泳ぎ切る。

     2023年11月22日に“シンガーズハイ”が1st Full Album『SINGER'S HIGH』をリリースしました。全会場SOLD OUTで終えた「DOG」ツアーで、さらにキレと立体感を増したサウンドの今作。自身のバンド名をアルバムタイトルに付けるなど、勝負の1枚となっております。    さて、今日のうたコラムではそんな“シンガーズハイ”の内山ショートによる歌詞エッセイを2週連続でお届け。今回は第2弾です。綴っていただいたのは、収録曲「 climax 」にまつわるお話。アルバムにとって大きな存在となったこの曲は、どのように生まれたのでしょうか。そして自身にとっての、歌詞を書くという行為とは…。ぜひ歌詞と併せてエッセイをお楽しみください。 僕は音楽が好きです。ロックが、バンドが、とかそういうのじゃなくて音楽というものが好きで、できることならば何でもかんでも挑戦していけたらなと思っています。そして今回のフルアルバムはいつにも増して音楽性を散らかしていった実感があるのですが、僕はこれらの曲を作るにあたって「climax」という曲が出来たことが何よりも大きな足がかりになってくれたんじゃないかなと思います。   僕は非常に気分の浮き沈みが激しい人間でして、他人に何かを伝えようにも言葉が何も出てこなくなることが多々あります。自分が口を開けば開くほど周りの状況が悪くなっていってしまうんじゃないかと怖くなる。   「climax」は正にそんな状況のときにギターを弾いて歌う自分を思い出しながら書いた曲でした。汗だくになりながら、他の楽器に掻き消されないように精一杯デカい音を出して自分を主張する。爆音のうねりの中を溺れないように泳ぎ切る感覚。"衝動"って言葉は正にこういうものを言うのではないかなと改めて思います。   難しいことは本当に何一つ考えていませんでした。“中身がない”といった批判が飛んできそうですが…、ないというか、必要ないと思って書いたのだから仕方がありません。King Gnuの「Slumberland」という曲のサビで常田さんは<Rock'n roller sing only ‘bout love and life.(所詮ロックンローラーは愛と人生しか歌えない)>と書いているが、本当にその通りだと思う。というかそれしか書かなくていい。別に突拍子もない新しいことなんて言おうとしなくたっていいし、見えないものを見ようとしなくていい。それでも今目の前に居る人にどう向き合うかだけは考えていたい。   歌詞を書くという行為は、どこまでも自分を曝け出していくことだと思う。自分の情けなく、醜いところを他人に見せるってのはなかなか恥ずかしい。だけどそれらをアウトプットすることによって初めて自分と向き合えることもあるんじゃないかなと思います。   最近はインターネットのお陰もあって沢山の人に見つかりやすく、物好きな人たちはフラフラと他人の作品を覗きに来てはそれを本物かフェイクか30秒で品定めしたがる。そういった音楽の聴き方も面白いとは思いますが、その人が相手に伝えるために腹の底から出た言葉ならば、それがどれだけ拙くても僕は本物だと思います。   <シンガーズハイ・内山ショート> ◆紹介曲「 climax 」 作詞:内山ショート 作曲:内山ショート ◆1st Full Album『SINGER'S HIGH』 2023年11月22日発売   <収録曲> M-1 愛の屍 M-2 グッドバイ  M-3 パンザマスト M-4 かすみ M-5 Kid M-6 サーセン M-7 daybreak M-8 ノールス M-9 SHE M-10 Soft M-11 フリーター M-12 climax

    2023/12/06

  • 藤川千愛
    ゆずれない好きを抱えとんのよ
    ゆずれない好きを抱えとんのよ

    藤川千愛

    ゆずれない好きを抱えとんのよ

     2023年11月8日に“藤川千愛”がフルアルバム『内の臓が愚痴をこぼすもので』をリリースしました。全10曲入りとなる今作には、TVアニメ『聖剣学院の魔剣使い』オープニングテーマ「1000年愛」、TVアニメ『盾の勇者の成り上がり Season 3』エンディングテーマ「好きになってはいけない理由」など、新曲を含むバラエティに富んだ楽曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムではそんな“藤川千愛”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回は第2弾です。綴っていただいたのは、収録曲「 バルサミコ酢 」にまつわるお話です。主人公・翠が彼氏との他愛もない会話で“スン…”となった理由は…。ぜひ歌詞と併せて、物語をお楽しみください。 今週末に付き合って3ヶ月になる彼氏と温泉旅行に行くことになっている翠だか、正直、乗り気ではなかった。たぶんこの話はなくなるだろう。   それは、よくある他愛もない会話が発端だった。 彼氏に、改めて、好きな食べ物を聞かれた翠が、 『バルサミコ酢』と答えると、   『ん? バルサミコ酢? なにそれ? それはマジで分からんわ。 だって、あのお洒落な料理の飾り的なやつでしょ? それに、どっちかって言うと食べ物っていうより調味料じゃね。 へー、でも意外。翠って案外、食事に雰囲気を求めるタイプなんだね、びっくり』   その瞬間、翠は自分の中で、スンと何かが消えたのを感じた。   『大切なもの、好きなものにマニアックとか王道とか関係ないからさ。 相手の好きなものが尊重できなくて、更にそれを軽んじるような奴、あたし無理なんだよね。』   そんな言葉が、喉元まで出かかったが、翠はぐっと我慢した。 些細なことだけど、ずっと一緒にいる人は、そのあたりの感性が同じであってほしい。   『あー、でも決断時かなー』 『ん、どうした?』   『ごめん、今日、犬の散歩頼まれてたの忘れてたわ、今日は帰るね! あと、あたしはゴリゴリの味派だから』 すたすたと歩く翠の背中に、 彼氏がなにかあわあわと言っていたけれど、それはもう翠の耳には届かなかった。   バルサミコ酢がお洒落な だけって思っとる君は何なん!?   この人で本当に良いのかしら? 思い悩んだら聞いてみるの この人で本当に良いのかしらって 思った時点で終わってる気もするけど   できることなら慎ましく 穏やかに譲り合ってさ 生きていたいのになんでだろう 許せないのあんたのそういうとこ   私ってこんなにも 偏見に満ちた かたよった女だって 認めなくっちゃ 二人の相性の 良し悪しなんてさ デラシネみたいで すぐに狂うから   バルサミコ酢がお洒落な だけって思っとる君は何なん!? バルサミコ酢がお洒落な だけって思っとる人じゃやーよ   ゆずれない好きを抱えとんのよ 理解されないの慣れっこだけど ゆずれない好きがあっちゃあかんの?ねえ あたしは世界を楽しむのよそれだけ   目玉焼きには何かける? 塩コショウ?ソース?醤油? 白熱の論争邪魔するけど 癖強なあたしゃバルサミコ酢   馬鹿だって言われても 冒険したいの くちにした者(もん)だけが 知れる蜜よ 裸足の才能が あやかしなんてさ どの口が言うの? つまらないあなた   バルサミコ酢がお洒落な だけって思っとる君は何なん!? バルサミコ酢がお洒落な だけって思っとる人じゃやーよ   知ってるつもりその道曇り 傍にいるのに溜息ばかり どうするつもり本音がポロり 安っぽい祈りまだ君に期待ほんのり   バルサミコ酢がお洒落な だけって思っとる君は何なん!? バルサミコ酢がお洒落な だけって思っとる人じゃやーよ バルサミコ酢がお洒落な だけって思っとる君は何なん!? 甘酸っぱい宇宙の底を 二人で舐め尽くすそんなんがいいの   <藤川千愛> ◆紹介曲「 バルサミコ酢 」 作詞:藤川千愛 作曲:竹田祐介(Elements Garden) ◆フルアルバム『内の臓が愚痴をこぼすもので』 2023年11月8日発売   <収録曲> 1. アンダンテ? 2. やっちもねぇ 3. バルサミコ酢 4. ぬか床 5. ブラックコーヒー 6. 1000年愛 7. 好きになってはいけない理由 8. 普通じゃない世界を知らなかった僕ら 9. 燦燦燦 10. 自律神経

    2023/12/05

  • 藤川千愛
    ここは地獄の何丁目?
    ここは地獄の何丁目?

    藤川千愛

    ここは地獄の何丁目?

     2023年11月8日に“藤川千愛”がフルアルバム『内の臓が愚痴をこぼすもので』をリリースしました。全10曲入りとなる今作には、TVアニメ『聖剣学院の魔剣使い』オープニングテーマ「1000年愛」、TVアニメ『盾の勇者の成り上がり Season 3』エンディングテーマ「好きになってはいけない理由」など、新曲を含むバラエティに富んだ楽曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムではそんな“藤川千愛”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回は第1弾です。綴っていただいたのは、収録曲「 やっちもねぇ 」にまつわる物語。主人公・翠が思わず、「ここは地獄の何丁目?」と尋ねたくなった理由は…。歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください! 「Hey Siri、ここは地獄の何丁目ですか?」翠はそう尋ねたい衝動にかられた。 地獄には行ったことがないけれど、少なくとも今が地獄とたとえても余りあるくらいに糞ったれな時間だと思った。   そして、翠は自分の浅はかさにひどく後悔もしていた。 よく考えもしないで、同僚からの食事の誘いを受けてしまったばかりに、欠員補充の代打として合コンに参加させられているからだ。   挙げ句の果ては、頼んでもいないのに、正面に座る異様に歯の白い男がさっきから私を占ってくるのだ。 どうやらこの男は、女という女が占いが好きだと勘違いしているようだ。   翠は、不機嫌と困惑と苦痛と侮蔑を足して4で割ったような顔で、もう黙ってくれよとさっきから伝えているのだか、男は『翠ちゃん、緊張してる? ひょっとしてAB型?』などと素っ頓狂なことを言っている。   そんなに占いが得意で、お前にしか見えない何かがあるならば、 あたしの恋愛運やら性格じゃなく、この場の空気と、これから起こる転末を読んでおくれと、翠は嘆いた。   慎重になりすぎて時にちょっと用心深くなったり 一度夢中になるとまわりが見えなくなるくらいにドハマリ あれやこれや考えてしまうくせにあっけらかんとしてるあたり 裏も表もなくて真っすぐだけど根気に欠けるのが悩み   君のことならすべて分かってる そういうあんた信じていいかな 何が透けて見えるって言うの 壱から十まで並べなさいよ 誰にでもハマルことじゃなくてホントのあたし覗いて!怖いの? 神か仏かそれとも悪魔?まさかインチキペテン師だとか   今!見てるこの世界があるがままと思っていたんだ なのにこの世界は君が思ってるよりも歪んで不安定 甘い罠がそこらじゅうに張り巡らされていたんだ 嘘が真実になる魔法そんなのいらないよ!そうだろ!   A型だからって几帳面なんて なんで?なんで?なんで? B型だからって自由奔放って本当?本当?本当?問答 O型だからって社交的なんて なんで?なんで?なんで?どうなってんの?もう ABだからって何故ミステリアス?騙す結末?蹴散らす未来図   まったくもってやっちもねぇそんなんばっかおーあんごー つれのーていがるじゃーじゃー!oh!じゃーじゃー!oh!じゃーじゃー! まったくもってやっちもねぇそんなんばっかおーあんごー つれのーていがるじゃーじゃー!oh!じゃーじゃー!oh!じゃーじゃー!嗚呼『あ~あ』   翠は、運ばれてきたばかりのハツ刺しに直接醤油をたらし、 それを一気にかっこむと、   『そうなんですよ、おっしゃる通りで、 あたしって、少し慎重なところがあって用心深くて、 それなのにいったん好きになると夢中になっちゃう性格なんです。 なんで分かったんですか? 凄いですね。 そのうえ、確かに、ちょっとしたことで落ち込みやすくて困ってるんです。 好奇心旺盛なのに、飽きっぽいのが悩みで …なんて、 誰にでも当てはまることを、ドヤ顔で言い当てたつもりの男を、 死ぬほど軽蔑しています。』   翠はそう一気にまくしたてると、 ハツ刺しに添えられていたレモンをキュッとしぼり、 ジンジャーハイボールをこれまた一気に流し込んだ。そして隣に座る同僚に3,000円を渡すと、すくりと立ち上がった。   『ごめんなさい、すっかり犬の散歩を頼まれていたことを忘れていて、お先に失礼いたします』   翠はそう告げて、この夜、初めてニッコリと笑って、居酒屋を後にした。 帰り道、翠は誰に向けるでもなく溜息をついた。   『あーあ、まったくもってやっちもねぇ、ホンマのおおあんごうじゃ』   ※『やっちもねぇ』は岡山弁で、標準語だと『しょうもな』という意味になります。 この曲『やっちもねぇ』のは、口の上手い人に騙されるなよ、占いなんかにはまりすぎたらいけんよって曲です。最後のDメロはすべて岡山弁で、『おおあんごう』は『大馬鹿者』、『つれのうていがる』は『皆で叫ぼう』、『じゃーじゃー』は『そうだそうだ』という意味です。   <藤川千愛> ◆紹介曲「 やっちもねぇ 」 作詞:藤川千愛 作曲:竹田祐介(Elements Garden) ◆フルアルバム『内の臓が愚痴をこぼすもので』 2023年11月8日発売   <収録曲> 1. アンダンテ? 2. やっちもねぇ 3. バルサミコ酢 4. ぬか床 5. ブラックコーヒー 6. 1000年愛 7. 好きになってはいけない理由 8. 普通じゃない世界を知らなかった僕ら 9. 燦燦燦 10. 自律神経

    2023/12/01

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