今日のうたコラム - 歌ネット|歌詞検索サービス「歌ネット」

  • アーティスト
  • 曲名
  • 作詞者
  • 作曲者
  • 歌詞
  • タイアップ
ユーザー登録ログイン
  • ホーム
  • 歌詞検索
    • アーティスト名インデックス検索
    • 作詞者名インデックス検索
    • 作曲者名インデックス検索
    • 編曲者名インデックス検索
    • レーベル名インデックス検索
    • 歌詞全文(フレーズ)検索
    • アニソン検索
    • アルバム検索
    • タイムマシン検索
  • 新曲歌詞情報
    • 新曲歌詞情報(総合)
    • 新曲歌詞情報(演歌・歌謡曲)
    • リクエストフォーム
  • ランキング
    • 総合ランキング
    • 演歌・歌謡曲ランキング
    • 歴代人気曲ランキング
    • 注目度ランキング
    • お気に入りアーティストランキング
    • カラオケランキング
  • コトバのキモチ
    • 新規投稿フレーズ
    • コトバのキモチ
    • コトバのキモチ検索
    • コトバのキモチBEST10
    • 歌詞フレーズ投稿
  • タイムマシン
    • タイムマシンTOP
    • 今月のスポットライト
    • 歌謡界50年史1960-2000年代
    • 年代別テレビドラマ主題歌
    • 年代別日本レコード大賞
    • 年代別アニメソング特集
    • 年代別歌詞検定
  • 音楽番組情報
    • 音楽番組情報TOP
    • TVドラマ主題歌
    • TVアニメソング
    • MUSIC STATION放送曲目リスト
    • 新・BS日本のうた放送曲目リスト
  • 動画プラス
  • 歌詞ショート
  • 今日のうた
  • インタビュー
  • アニメ
  • 特集ピックアップ
  • 言葉の魔法
  • 言葉の達人
歌詞検索サービス「歌ネット」

今日のうた

検索ボックスを開く
メニューを開く
  • アーティスト
  • 曲名
  • 作詞者
  • 作曲者
  • 歌詞
  • タイアップ

MENU

  • ホームホーム
  • 動画プラス動画プラス
  • マイ歌ネットマイ歌ネット
  • 歌詞閲覧履歴歌詞閲覧履歴
  • ランキングランキング
  • 新曲歌詞情報新曲歌詞情報
  • 今日のうた今日のうた
  • ニュースニュース
  • 歌ネットピックアップピックアップ
  • コトバのキモチコトバのキモチ
  • 言葉の達人言葉の達人
  • 言葉の魔法言葉の魔法
  • 歌詞ショート歌詞ショート
  • アニメアニメ
  • 音楽番組情報音楽番組情報
  • リクエストリクエスト
  •  
  • X
  • facebook
  • line
今日のうた
ニュース

TODAY SONGS

今日のうたニュース
  • NakamuraEmi
    私の人生を変えてくれたRHYMESTER。
    私の人生を変えてくれたRHYMESTER。

    NakamuraEmi

    私の人生を変えてくれたRHYMESTER。

     2024年5月29日に“NakamuraEmi”がオリジナルアルバム『KICKS』をリリース! 今作は、集英社「HAPPY PLUS」公式テーマソング「一目惚れ」、NakamuraEmiの新境地を開いた3部作「究極の休日」「白昼夢」「晴るく」、コラボレーション曲「祭(feat.Mummy-D)」、「雪模様(feat.さらさ&伊澤一葉)」、「Hello Hello(feat.XinU)-NakamuraEmi&MASSAN×BASHIRY」純粋に音楽を楽しむ仲間との幸せな空気感が詰め込まれた「梅田の夜」、何気ないことが今の自分に全て繋がっていると教えてくれる「一円なり」の全10曲が収録。    さて、今日のうたではそんな“NakamuraEmi”による歌詞エッセイを全4回に渡りお届け。今回は第3弾です。綴っていただいたのは、収録曲「 祭 (feat.Mummy-D) 」にまつわるお話。自身の人生を変えてくれたRHYMESTER。そのRHYMESTER・Mummy-Dとともに曲を作ることになった経緯は…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。 一人弾き語りでライブをしていた20代後半、パソコンが壊れてしまったことがきっかけで、当時聴いていたiPodをお付き合いしていた彼のパソコンに同期させてもらいました。彼はDJだったので私のiPodは聴いたことのないHIPHOPだらけに。色々な音楽が流れてくる中、私にブッ刺さったのがRHYMESTERの『ONCE AGAIN』でした。通勤時間の朝に流れてきて、聴いた瞬間景色が変わったことを覚えています。   「言いたいことがあるから音楽をやっている」そう伝わってくるRHYMESTERの音楽に、当時バラードを上手く歌うことばかり考えていた私は自分が恥ずかしくなりました。そこから「まずは音楽は趣味に変えて人間を頑張ろう、仕事を頑張ろう」になり、その毎日からできた音楽がNakamuraEmiの始まりでした。     私の人生を変えてくれたRHYMESTER。「いつか一緒に音楽を」なんて考えられなかったほど自分にとっては大きすぎる存在でしたが、2023年三重県桑名市のアンバサダー「魅力みつけびと」をやってもらえないかというお話が舞い込んできて、推薦してくださったのはなんとMummy-Dさん。マネージャーからそのことを聞いた時は「…….なんて? もう一回言って。」を何度繰り返したか。断る理由は0.0001%もありませんでした。     「魅力みつけびと」として桑名の祭や文化を伝える1年間がスタートしました。こんな機会を与えてくれた桑名の皆様とMummy-Dさん。最初は期待を裏切らぬようにと思っていたけれど、実際桑名に行き祭や歴史、人や土地に触れると、その魅力にただのめり込んでいきました。   1900年前から存在する桑名宗社とともに400年続く石取祭。他にもたくさん桑名の歴史を若者たちが引き継いでいく姿をこの目で見てきました。それは私がRHYMESTERの音楽からバトンを勝手に受け取ってNakamuraEmiができたように、Mummy-Dさんが「Emiちゃんなら桑名を大事に伝えてくれるんじゃないか」と桑名のバトンを受け取ったように、目には見えない宝物のような感情に桑名で沢山気づくことができました。   昔のことを今も引き継ぐというのはとても難しい時代で、その宝物のような感情を守っていきたい、そんな想いから生まれた曲です。     憧れすぎる存在のMummy-Dさんと、音楽ではなく「桑名」という場所で繋がったことで「人間」としてMummy-Dさんを見ることができたことが、私の背中を押してくれました。そして「Dさんにこの曲に入ってもらいたい」と決意をした私とギタリスト・プロデューサーのカワムラヒロシさん。     Dさんのスタッフさんにオファーし、Dさんご本人にはまだ伝わる前のある日、なんとDさんとカワムラさんと私を「飲みにいこー」と何も知らずに誘ってくれたのがピアニスト・伊澤一葉さんでした。カ……カオス。憧れのおふたりがいるおかしな飲み会で、酒を飲んでもオファーしたことは絶対に言ってはならぬ状況、一生忘れません。そしてその数日後、Dさんはこのオファーを受けてくださり、もうこれは伊澤一葉さんに絶対にピアノを弾いてもらいたいとなり、「祭」が完成しました。     無事音源も完成し、リリース解禁日の前日、朝7時くらい。Dさんからいただいた「祭」のコメントがチームのLINEに共有されました。私は眠気眼で読んで一撃、布団のなかに潜って泣くしかないっす。   今日のコラムはそんなDさんからいただいたコメントで締めさせてください。   「コクられまち」 今一番好きな言葉です。   <Nakamura Emi>   祭 コメント〈from Mummy-D〉   Emiちゃんは憧れのパイセンとコラボしたつもりなのかも知れないが、オレの認識は違う。ありとあらゆるミュージシャンとコラボしてきた世界一尻軽なラッパーからしても、あなたの詞と歌声は尊い。最近特に!成長してる!身長伸びてる!わはははは!   要はオレの方がフィーチャリングされたかったのだ。コクられ待ちだったのである。大人はずるい。しかしファンをデビューの頃から公言してくれてたEmiちゃんを幻滅させてしまってはならぬので、メチャメチャ気合い入れた。そう見えないように心掛けたが、バレているかも知れない。   結果メチャメチャ好きな曲に仕上がった。お祭りとメッセージ性を同居させるのは中々至難の業だが、奇跡的なバランスで成り立ったと思う。カワムラヒロシ、伊澤一葉も流石であった。そして何より、オレはNakamuraEmiというアーティストを本当にリスペクトしている。そう見えないように心掛けるが、バレてしまうかも知れない。 ◆紹介曲「 祭 (feat.Mummy-D) 」 作詞:NakamuraEmi・カワムラヒロシ・Mummy-D 作曲:NakamuraEmi・カワムラヒロシ・Mummy-D  ◆オリジナルアルバム『KICKS』 2024年5月29日発売   <収録曲> 1.火をつけろ 2.梅田の夜 3.祭(feat.Mummy-D) 4.晴るく 5.白昼夢 6.雪模様(feat. さらさ&伊澤一葉) 7.一目惚れ 8.Hello Hello(feat.XinU)-NakamuraEmi&MASSAN×BASHIRY 9.究極の休日 10.一円なり

    2024/06/04

  • リアクション ザ ブッタ
    怪我の功名と言えれば
    怪我の功名と言えれば

    リアクション ザ ブッタ

    怪我の功名と言えれば

     2024年5月29日“リアクション ザ ブッタ”がベストアルバム『REACTION THE BEST』をリリースしました。今作には、TikTokで話題沸騰中の「ドラマのあとで - retake」をはじめ、新曲を含む全13曲を収録。さらにCDパッケージにはBonus Track「ヤミクモ (2024.03.17@SHIBUYA CLUB QUATTRO)」が限定収録されております。    さて、今日のうたではそんな“リアクション ザ ブッタ”の佐々木直人による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、初のメジャーリリースとなるベストアルバムを放つ今の想い。そして、結成17年の軌跡のなかで経験した“心の怪我”のお話です。今作と併せて、エッセイを受け取ってください。 今年で僕たちリアクション ザ ブッタは結成17年目を迎える。 決して順風満帆とは言えないバンドの歩みだが、幸運なことに僕らの音楽を好きで応援してくれる方々に幾度となく出会ってきて今がある。   この度のバンドとしての初となるメジャーリリースも、SACRA MUSICの方と出会って実現したものだ。メジャーからアルバムを出す、というのはどういうことなのか最近少しずつ分かってきた。簡単にいうとCDを1枚リリースするために、未だかつてない何人もの人が膨大な時間と労力を使って宣伝し、広めるために動いてくれている。 顔を見て挨拶を出来た方々も、氷山の一角であると思わされるほどの規模感だと感じている。   そのことを知れば知るほど、コアである僕たちバンド自身の意思と情熱がどれほど大事かを思い知らされる。きっと中身の薄いものは、リスナーに届かないどころかその手前のチームにすら届かないだろう。 今作はベストアルバムという形で新録したものは2曲なれど、選曲も曲順も、考え尽くした。新録の「ドラマのあとで - retake」、新曲「恋を脱ぎ捨てて」も自分達の持っているものを絞り尽くし最高濃度のものを録ることが出来た。絶対的な自信を持って世の中に送り出せる1枚になったと思う。   さて、少し話は変わるがバンドをやって17年の間、僕は一度も大きな怪我をしていない。例えば骨を折って入院したり、そんなことはメンバー誰1人としてなかった。幸運なことだ。 しかし、ある時僕は心の方の骨を折ってしまった。「ポキッ」という音は聞こえなく、ゆっくりじわじわとした疲労骨折だ。自分自身を否定し続けた結果だと思う。その時は、あえて自分の骨を折ることで新しい自分になれると信じていた。だからどれだけ痛くても無視して痛めつけた。しかし結果として僕は新しい自分になれたわけではなく、ただの怪我人になっただけだった。   「生きづらい」とよく耳にしたり目にしたりするが、僕はこうなってみて初めて自分なりの「生きづらさ」を感じた。ただ、そこから見える景色は今までと少し違うもので、気づいたり発見したりすることも沢山あった。例えば、寝る前より朝起きた時のほうが息がしやすい、とか。   幸い僕は曲を書く人間だから、どんなことでも曲にしてしまえる。一度どうしようもないほどの闇が襲ってきた体験がある。その時のことも歌にした。アルバムの3曲目「Loopy」だ。この歌詞の好きなところは、いい意味で開き直っているところ。悪魔だって利用してやると言えちゃっているところだ。曲になると報われる気がする。   このアルバムは、いわばリアクション ザ ブッタの代表作だ。 とにかく色々なことがあって、その上で1曲1曲大切に紡いできた。 沢山の人に聴いてほしいという純粋な欲求が今もとめどない。是非とも1人でも多くの人に届いてほしいし、そうなってくれたら本当に嬉しい。 もしかしたらその時にやっと、怪我も功名だったと、言えるかもしれない。   <リアクション ザ ブッタ Vo& Ba 佐々木直人> ◆紹介曲「 Loopy 」 作詞:佐々木直人 作曲:リアクション ザ ブッタ・宮田“レフティ”リョウ ◆BEST ALBUM『REACTION THE BEST』 2024年5月29日発売 <収録曲> 1 ドラマのあとで - retake 2 恋を脱ぎ捨てて 3 Loopy 4 リード 5 一目惚れかき消して 6 You 7 Colorful 8 虹を呼ぶ 9 仮面 10 オンステージ 11 Seesaw 12 Voyager 13 君へ Bonus Track ヤミクモ(2024.03.17 SHIBUYA CLUB QUATTRO)

    2024/06/03

  • NakamuraEmi
    今日緊張する出来事があるあなたへ。
    今日緊張する出来事があるあなたへ。

    NakamuraEmi

    今日緊張する出来事があるあなたへ。

     2024年5月29日に“NakamuraEmi”がオリジナルアルバム『KICKS』をリリース! 今作は、集英社「HAPPY PLUS」公式テーマソング「一目惚れ」、NakamuraEmiの新境地を開いた3部作「究極の休日」「白昼夢」「晴るく」、コラボレーション曲「祭(feat.Mummy-D)」、「雪模様(feat.さらさ&伊澤一葉)」、「Hello Hello(feat.XinU)-NakamuraEmi&MASSAN×BASHIRY」純粋に音楽を楽しむ仲間との幸せな空気感が詰め込まれた「梅田の夜」、何気ないことが今の自分に全て繋がっていると教えてくれる「一円なり」の全10曲が収録。    さて、今日のうたでは“NakamuraEmi”による歌詞エッセイを全4回に渡りお届け。今回は第2弾です。綴っていただいたのは、収録曲「 梅田の夜 」にまつわるお話。年齢を重ねるにつれ、緊張することや苦手なことをわざわざ選択しなくなってゆく日々。そんななか訪れた“挑戦”の日”とは…。歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。 ここ数年感じることがありました。   周りにいる方は自分のことを「アーティスト」として対応してくれて、年齢も40代になったことで「年上」として現場にいることも増えてきました。   良い環境で過ごさせてもらっていますが、自分の対応によっては「間違い」や「違和感」があっても伝えづらい存在なんだとも思います。   自分がアンテナをはらないと、誰かの違和感を見落としたまま、 ぬくぬく  ぬくぬく 生活していきます。誰かの指摘を受けて「情けない。カッコ悪い。クソーーーー今に見てろよ!」と思うことも減り、大事なことも気付かぬまま、穏やかに暮らす日々。確実に私もそんな日々が増えていました。   ちょっと恐ろしい。     また同時に「緊張」という面でも変化した部分があります。様々な現場で異常なほどに緊張していたのですが、緊張をコントロールすることや自分の気持ちを安定させることも修行の一つとして向き合っているところです。   そんな「ぬくぬく生活」と「緊張修行中」を体験中の私に、全てがぶっ飛ばされる日がやってきました。     2023年8月19日 大阪梅田シャングリラ  “COCALERO presents「SHAKE」”   叩き上げのパンチーなアーティストが出演するHIPHOP魂が宿るイベントに、女ひとり。そしてトリ。とんでもねぇ。   メンバーが発表されて、タイムテーブルがわかった瞬間から「どうしよう」の日々が始まりました。そしてこの日に向けてギタリスト&プロデューサー・カワムラヒロシさんと私の挑戦が始まりました。せっかくならHIPHOP好きのお客様にも楽しんでもらえるアレンジに挑戦してみたいじゃないか!と、カワムラさんは初めてのMPCを、私は中学生以来のサボっていたフルートを。余計緊張することを追加していました。     そして迎えた当日。ジャングルに入っていくようなドキドキ。内臓という内臓がブルブル震えていました。それくらい緊張したけど、その100倍幸せな日だったことが書かれているのがこの曲です。ライブのことはもちろん、出演者の皆とライブ後ファミマで乾杯したことも。     そしてこの日、皆とバイバイした後、あぁ今日のことを絶対に曲にしなくちゃなと思いました。   年齢を重ねて「これを選べば自分がこうなってしまう」と予測もできるし、緊張すること・自分が苦手なこと、わざわざ選択しなくなります。それは大人の特権でもあります。色々経験して得たものだから。   でも好きなことに関しては、緊張することや苦手なことから離れすぎてはいけない気がしました。   だって挑戦した後のファミマの乾杯からは、お金や、良い車や、美味しいものとは比べ物にならないほど、最高な大人の青春をもらいましたから。     今日緊張する出来事があるあなたへ、心から応援しています、ジャングルに飛び込め!   <NakamuraEmi> ◆紹介曲「 梅田の夜 」 作詞:NakamuraEmi・カワムラヒロシ 作曲:NakamuraEmi・カワムラヒロシ ◆オリジナルアルバム『KICKS』 2024年5月29日発売   <収録曲> 1.火をつけろ 2.梅田の夜 3.祭(feat.Mummy-D) 4.晴るく 5.白昼夢 6.雪模様(feat. さらさ&伊澤一葉) 7.一目惚れ 8.Hello Hello(feat.XinU)-NakamuraEmi&MASSAN×BASHIRY 9.究極の休日 10.一円なり

    2024/05/31

  • mol-74
    フランネル
    フランネル

    mol-74

    フランネル

     2024年5月22日に“mol-74”がニューアルバム『Φ』(読み方:ファイ) をリリース! タイトルは“光束(光の明るさを表す物質量)”の量記号「Φ」に由来。また「Φ」は直径を表す記号でもあり、アルバムのプロローグ的な立ち位置の1曲目「Φ12」は人間の瞳の直径を意味しております。今作には、この「Φ12」をはじめとして、それぞれの楽曲の主人公たちが自らの瞳で捉えた光をテーマとした全11曲が収録。    さて、今日のうたではそんな“mol-74”による歌詞エッセイを3回に渡りお届け。第3弾はメンバーの井上雄斗が執筆。綴っていただいたのは、収録曲「 フランネル 」にまつわるお話です。自身にとって、「綺麗」の対義語は「キレイ」。では「綺麗」と「キレイ」の違いとは。そして、この歌に描いた主人公は…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。 「綺麗」の対義語は「キレイ」だと思っています。 実際の辞書で調べるとどう表記されているのかは敢えて調べていないけれど、おそらく「汚い」や「醜い」といった言葉でしょう。勿論それが間違いとは思わないし、僕自身も普段そういう意識で「汚い」という言葉を使う場面も多くあります。ただ、この曲の物語の中では、「綺麗」の対義語はそういった不純なものではなく、「キレイ」という言葉が適しているんです。   「綺麗なもの」は、どこかキラキラしていてそこに美を感じさせるもので、「キレイなもの」は無垢なもので、そこには何も無い。 例えると、引越しの際に部屋を出る時や、卒業式の後の教室は「きれいさっぱり何も無い」みたいな表現をすると思いますが、それがまさに「キレイ」という言葉です。そこにキラキラしたものは無く、美を感じさせることもない。むしろ少し汚れていた方が、そこに生活感や思い出を感じられてキラキラして見えていたかも知れません。     この曲の物語の主人公は、自分の思い出の中にある後悔を何度も何度も拾いあげて拭おうとしました。それでも拭い切れない後悔でした。ただ一つの後悔で、それまでの思い出が全て嫌いになってしまう程に。 時が経つにつれて、次第にその嫌いな思い出は心の奥に片付けられてキレイになっていきます。風化という自然の出来事ですが、僕はその風化していくものに光を当てて綺麗にしてあげたかった。いつか、死ぬ間際でもいい。走馬灯の中でその思い出がキラキラしていたら、どういった形であれその主人公にとってはハッピーエンドだ、と。 自分の頭の中で作り上げた主人公くらいには依怙贔屓(えこひいき)してもバチは当たらないでしょう。   少しネタバレをしているように思えますが、あくまでもこれは僕の主観です。 作り手の答えが受け取り手の答えになってしまうということは、僕にとって本意ではありません。誰にでも、何処にでもあり得る、ただ少しだけ特別な物語です。「へえ、そういう感じなんだ。一回歌詞を意識しながら聴いてみよ」くらいの軽い気持ちで受け取ってもらえると幸いです。     ここで物語の全てを伝えるというのは今の僕には難解で、物語自体は出来ているのですが、実は文字で書き起こした際、あまりにも稚拙に書き殴った文章、いや、文章と呼ぶにも相応しくないメモのようなものになってしまい、これは人に見せられないなという判断になりました。その「メモのようなもの」はメンバーにも見せていません。   全貌は曲の音やテンション感、歌詞に全てを詰め込んでいます。「フランネル」を聴いてもらって、どんなストーリーか妄想して誰にも見せられないメモを書き殴っていただければ。 僕の中で色々準備ができたら、いずれどこかで物語を書き記したいなと思っていますので、その時をどうぞお楽しみに。   <mol-74 井上雄斗> ◆紹介曲「 フランネル 」 作詞:井上雄斗 作曲:mol-74 ◆ニューアルバム『Φ』 2024年5月22日発売   <収録曲> 01.Φ12 02.遥か 03.オレンジとブルー 04.Mooner 05.通り雨 06.BACKLIT 07.虹彩 08.フランネル 09.アンサーソング 10.寝顔 11.R  

    2024/05/30

  • tonari no Hanako
    あの手この手で掴み取る愛のおはなし
    あの手この手で掴み取る愛のおはなし

    tonari no Hanako

    あの手この手で掴み取る愛のおはなし

     2024年5月29日に“tonari no Hanako”が新曲「あの手この手で feat. 大塚紗英」をリリースしました。8bitのゲーム音でtonari no Hanako節が炸裂した毒のある歌詞がPOPにかわいく表現され、声優としても活躍する大塚紗英を最大限に表したセリフパートもあるtonari no Hanakoの新境地となる1曲となっております。    さて、今日のうたではそんな“tonari no Hanako”のame(Vo.)による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「 あの手この手で feat. 大塚紗英 」にまつわるお話です。自身が大学時代に出会った、あの手この手で恋を叶える猛者。一体、どんな手で恋を叶えたのでしょうか…。今回は音声版もございます。本人の朗読でもエッセイをお楽しみください。 私が大学生の頃に出会った、あの手この手で恋を叶える猛者の話をしたい。   猛者、その名もリサ(仮名)。 当時18歳だった彼女は、共通の趣味を通じて出会った10歳近く年上の男性(社会人)に恋をしていた。 仲は良いものの、年の差もあり、当然相手からは恋愛対象として見られはしない。 その上、リサが恋愛感情を抱いていることを相手も察したようで、やんわりと距離を取られる始末であった。 だが、そこで引き下がれるほど軽い愛ではなかったのだ。 リサは私に言った。 「私これから1年かけて、妹作戦やるから。」 妹作戦…? 何のことかよく分からなかったが、その口調から相当の自信と覚悟を感じ取れた。   後日、リサは唐突に意中の男性に告白した。 そして誰もが予想した通り、見事に玉砕した。 「年が離れすぎていて恋愛対象に見れない」と言われたらしい。 だが、これはリサの計算の範囲内だった。 そこで彼女はすかさず 「だよね、分かってたから大丈夫。 でも人として好きなのは変わらないから、お兄ちゃんみたいに思ってもいい? 私お兄ちゃんいなかったから、妹みたいになれたら嬉しい」と可憐な攻撃をかました。 大人な彼は「うん、それはもちろん」と返事をしてくれたらしい。   兄と妹、という雰囲気の関係性になってしまえば、ますます恋人のような関係性からは遠ざかるのでは…と懸念した私の心配は杞憂だった。   ここから彼の「恋愛対象として求められる」という警戒心はどんどん解けていき、 2人はますます仲良くなっていった。 悩み相談に乗ってもらったり、共通の趣味で盛り上がったり、 まるで本当の兄と妹のように打ち解けていた。 自分の気持ちの押し付けはせず、相手に負担をかけないポジションを見極め、 あくまで相手の心地よい距離感を優先して関係性を築く。 相手が求めるものを考えて注ぎ続ける、リサはまさにその手のプロだった。 距離が縮まって関係が安定したタイミングで「最近気になる人ができたかも~」なんて、 彼を複雑な心境にさせる揺さぶりの呪文まで唱えていたらしい…   そして1年半後、「リサがいない日常は考えられなくなった」と彼に言わせ、 見事に恋人のポジションをGETしたのである。   若干18歳だった彼女に、当時からこの景色が見えていたのだとしたら… 彼女は一体人生何周目なのだろう、未来から来たのかよ、なんて思わざるを得ないほど私は衝撃を受けた。   “あの手この手で”愛を手繰り寄せる、それほど強い信念と深い愛(?)。 彼女のことを、今でも心のどこかで超絶リスペクトしている自分がいる。 これこそが、自分の描く人生を手繰り寄せるバイブルのような気もしてくる。   私の中で伝説となったリサは、今日も未来も、 あの手この手で“旦那”に愛を伝えていくのだろうな、と思う。   <tonari no Hanako・ame> ◆紹介曲「 あの手この手で feat. 大塚紗英 」 作詞:ame 作曲:ame   

    2024/05/29

  • NakamuraEmi
    純粋に火をつけろ
    純粋に火をつけろ

    NakamuraEmi

    純粋に火をつけろ

     2024年5月29日に“NakamuraEmi”がオリジナルアルバム『KICKS』をリリース! 今作は、集英社「HAPPY PLUS」公式テーマソング「一目惚れ」、NakamuraEmiの新境地を開いた3部作「究極の休日」「白昼夢」「晴るく」、コラボレーション曲「祭(feat.Mummy-D)」、「雪模様(feat.さらさ&伊澤一葉)」、「Hello Hello(feat.XinU)-NakamuraEmi&MASSAN×BASHIRY」純粋に音楽を楽しむ仲間との幸せな空気感が詰め込まれた「梅田の夜」、何気ないことが今の自分に全て繋がっていると教えてくれる「一円なり」の全10曲が収録。    さて、今日のうたではそんな“NakamuraEmi”による歌詞エッセイを全4回に渡りお届け。今回は第1弾です。綴っていただいたのは、収録曲「 火をつけろ 」にまつわるお話。コミュニケーションツールは増えて進化していくのに、むしろ難しくなってゆく人間関係。その生きづらさに向き合ったとき、たどり着いた思いは…。ぜひ、歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。 メール、SNS、リモート会議、コロナ禍で数々のコミュニケーションツールに私は助けられました。効率的で、明確で、便利で、やめられない。本当にありがたい。   あの子とも、あの方とも、あの先輩とも、会ったことがなくても連絡を取り合えて、自分の可能性も広がる気がする。やめられない。本当にありがたい。   なのに私の悩みは人間関係でした。   笑えるくらいおかしな状態です。     「コミュニケーション」の方法は数え切れないくらい増えても、結局悩みの根っこは人間関係。スマホの画面にどれだけ文章を打って伝えても、信頼関係が成立してないと、相手の本当の気持ちはわからない。もしくはお互い伝わるまで文章を送り合う根気が必要なんだとわかりました。     信じられないほど文明は進化してるし、医療もサプリも除菌も進化してるし、人間の体なんてチンパンジーから進化しつづけている。     なのに人間の心は2024年の今も柔らかいままです。   そして人間が放つ言葉は2024年の今もグサグサと人を刺す凶器にもなります。     だからこそ言葉を伝えることを大切にしたい。 そして直接会って伝え合えば、びっくりするくらい全てのモヤモヤが消えて問題が解決したりする。     と思ったら、今度はハラスメントや多様性を気にして、相手が傷つくことを気にして、本当のことを話せなくなっていたりする。     ぐるぐるぐるぐる ぐるぐるぐるぐる なんじゃこりゃというループにハマってました。       生きやすいようで めちゃくちゃ生きづらい。     そしてたどり着いたのは   「私自身の多様性は誰が主張してくれるんじゃい」   ということでした。     私の人生は誰もやってくれない。 私の心の中は私しか知らない。 伝えることは金はかからない。 ちゃんと伝えよう。 相手の目を見てちゃんと伝えよう。     自分の応援歌にもしたかったし、見えないコミュニケーションに窒息しそうなあなたへ、心が凍ってしまいそうなあなたへ、少しでも火を灯せられたら幸せです。     曲を書きながら、なんちゅー難しいテーマの曲を書き始めてしまったのだろうと思いましたが「純粋に火をつけろ」の言葉が舞い降りてきた時、今までの全部が報われた気がしました。     柔らかい心にまで届く栄養は 昔から変わらないのかもしれないです。   あなたの話し相手になれる曲を 作れる様になりたいです。   <NakamuraEmi> ◆紹介曲「 火をつけろ 」 作詞:NakamuraEmi・カワムラヒロシ 作曲:NakamuraEmi・カワムラヒロシ  ◆オリジナルアルバム『KICKS』 2024年5月29日発売   <収録曲> 1.火をつけろ 2.梅田の夜 3.祭(feat.Mummy-D) 4.晴るく 5.白昼夢 6.雪模様(feat. さらさ&伊澤一葉) 7.一目惚れ 8.Hello Hello(feat.XinU)-NakamuraEmi&MASSAN×BASHIRY 9.究極の休日 10.一円なり

    2024/05/28

  • 汐れいら
    ものにする
    ものにする

    汐れいら

    ものにする

     2024年8月14日に“汐れいら”が自身初のCDである1st EP『No one』(ヨミ:ノーワン)をリリース! 今作は、汐れいらが紡ぐ“この世界にいる誰かの物語”が集まる、小説や短編集をイメージ。メジャーデビュー曲「Darling you」、“幸せを欲張って求めてしまう僕らの曲”である「味噌汁とバター」や、新たに制作された新曲4曲、さらにCD限定の2つの弾き語り音源が収録されます。    さて、今日のうたではそんな“汐れいら”による歌詞エッセイを2週連続でお届け! 今回は第2弾。綴っていただいたのは、初のEP『No one』にまつわるお話です。デジタルではなく“ものにする”ということが、自身にとってどんな意味を持つのでしょうか。そして、どんな思いを込めてこのタイトルをつけたのでしょうか…。 今まで、わたしの作品は配信のみ(それだけでもう有難いのだけど)、その形にはならない音楽たちを、この度CDという、ものにすることができた。   いまの時代、かたちあるアナログなものより、データのようなデジタルなものの方が消せない危険性と同時に残していける安全性があって、だからわたしは音楽を配信できるということだけでじゅうぶんと思っていた。   でも、人や日々に転がっている「だいすき」とか「たいせつ」のパーツを持ち帰って自分のものにする、っていうあの満足感もすごくわかる。   わたしも「ほめ言葉」とかノートにまとめて持っておきたいし、ちいさい頃は空のきれいなグラデーションとかプリンセスのきらきらのドレスが欲しくて、それもノートにその絵をかいて宝物にしてたなと思う。 好きになるひとだって、あの人のあの素敵なところが欲しい、と思う(閉じ込めたりしないよ笑)。   だからわたしのCDを買ってくれる人は、わたしの「だいすき」で「たいせつ」な音楽を、自分の「だいすき」や「たいせつ」の箱に入れてくれるのかなって思って、うれしい。   はじめてのCDができあがっていくのには、たくさんのひとが含まれてて、というか音楽を作っていくうえでいつもたくさんの人を含ませてもらってて、きっと成分表見たら「だいすき」の項目がカロリーオーバーしちゃいそうな勢いです。     「やりたい音楽」と「やりたいひと」どっちを選ぶ? とある人に聞かれたことがあって、わたしは「音楽に決まってる。」と思った。 わがままいうならどっちもだけど。 でも今こうして、やりたい音楽を、やりたい人とできていて、もっとやりたい音楽になっている。 やっぱわがまま言わせて。どっちも。   きっと曲ができていくたびに、やりたいことができていくほどに、自分自身の満足度NO.1を取るのは難しくなっていく。   はじめてのアルバム名、   『No one』   しっくりきてる。   わがままでも難しくても「だいすき」や「たいせつ」を 誰もやったことがない音楽を『ものにする』。   <汐れいら> ◆1st EP『No one』 2024年8月14日発売   <収録曲> M1 糸しいひと M2 味噌汁とバター M3 うぶ M4 踊り場のサーカスナイト M5 グレーハートハッカー M6 Darling you M7 備忘ロック M8 笑ってベイビー   ーBONUS TRACK CD onlyー Darling you(弾き語り) 味噌汁とバター(弾き語り)

    2024/05/27

  • 家入レオ
    新しい、は、いつか古くなるから。
    新しい、は、いつか古くなるから。

    家入レオ

    新しい、は、いつか古くなるから。

     2024年5月22日にニューシングル「ワルツ」をリリース! 同曲は松本まりかの主演ドラマ『ミス・ターゲット』主題歌として書き下ろされました。作詞・作曲を家入が手がけた、真っ直ぐな恋愛ソング。愛することの切なさを歌いながらも、どこか芯の強さと光を内包したヴォーカル、アレンジのミディアムバラードとなっております。    さて、今日のうたではそんな“家入レオ”による歌詞エッセイを2ヶ月連続でお届け! 今回は第2弾です。約3年ぶりとなるCDという形でのシングルリリース。より“ぬくもり”を大切に届けるため、写真家・佐内正史に撮影を依頼したジャケ写とミュージックビデオについての想いを綴っていただきました。 CDシングルをリリースするのは2021年の「空と青」以降、約3年ぶり。新曲「ワルツ」はドラマ『ミス・ターゲット』の主題歌で、その初回放送に先駆けて既に4月から先行配信がスタートとなっている。形に残る盤として皆様の手元にお届けするのが5月22日。   私がデビューした2012年。CDが売れなくなったという声を耳にすることはあれど、今よりずっと街にCDショップがあったし、もうほとんど目にすることがなくなったレンタルビデオ店もたくさんあった。   歌詞カードの中面の写真を眺めたり、歌詞を読みながら好きな音楽を聴く時間は、紡がれた言葉とメロディが静かに心にプレスされていくようで大切だった。食べた物で体が作られるのと同じように、観た映画や聴いた音楽で目に見えない私は作られていくんだろうなーと渋谷のTSUTAYAに何時間でもいられた。   好きなものはなるだけ買ったけど、開拓にはCD、DVD10枚1000円のレンタルサービス。おすすめされたCDをカゴに入れ、DVDの裏面のあらすじを読み。あーこれは新作だから対象外だ…と泣く泣く棚に戻したりして。選りすぐった10枚を大事に家まで持って帰った。そんな記憶も愛おしい。     いつの間にか時は流れ、「普通」や「常識」と言われたものこそ1番はじめに変化していくんだなってことを知った。配信シングルをリリースすることが多かった昨今、CDをリリースするなら、今まで以上にぬくもりのあるものを作りたいと思った。   ジャケ写とミュージックビデオの撮影をお願いしたのは写真家の佐内正史さん。佐内さんが撮る写真はノスタルジックで。打ち合わせの時に、「なんだか、閉ざされた、すごく狭い空間にいる感じがする」という言葉は曲が纏っている雰囲気そのもので。   生活の影を感じる場所で撮影した。デジタルでもシャッターを切ってもらったけれど、CDジャケ写にはフィルムを選んだ。「もっと明るく…」っていつもだったらバランスを整えることが、フィルムだとできない。そのコントロールできない歯痒さも、終わった恋をまだ受け入れられずにいる気持ちとリンクするような気がして。先行配信のジャケ写もフィルムで撮影していただいた1枚にした。時代と心に逆行するように。   そのノスタルジックが、わからない、けどなんか良い、が届くと良いなと思う。時代に置いてけぼりになったものだけが、年を取らない。新しい、は、いつか古くなるから。   <家入レオ> ◆紹介曲「 ワルツ 」 作詞:Leo Ieiri 作曲:Leo Ieiri  ◆ニューシングル「ワルツ」 2024年5月22日発売  

    2024/05/24

  • mol-74
    不可触の瞳
    不可触の瞳

    mol-74

    不可触の瞳

     2024年5月22日に“mol-74”がニューアルバム『Φ』(読み方:ファイ) をリリース! タイトルは“光束(光の明るさを表す物質量)”の量記号「Φ」に由来。また「Φ」は直径を表す記号でもあり、アルバムのプロローグ的な立ち位置の1曲目「Φ12」は人間の瞳の直径を意味しております。今作には、この「Φ12」をはじめとして、それぞれの楽曲の主人公たちが自らの瞳で捉えた光をテーマとした全11曲が収録。    さて、今日のうたでは“mol-74”による歌詞エッセイを3回に渡りお届け。第2弾はメンバーの髙橋涼馬が執筆。綴っていただいたのは、収録曲「虹彩」にまつわるお話です。自分ひとりの力では生み出すことのできないひかり。近づいてしまうことを止められないひかり。そんな“ひかり”を込めた歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。 この世界はこんなにもひかりに溢れているのに、ひとたび部屋の明かりを消してしまえば、狭い視界はおろか、自分の身体のどこもひとつも発光していなかった。そうして気がついた。   自分は一生、自分の力でひかりを生み出すことはできない。   そのことがどうしようもなく悲しく、泣いてしまいたくなった。でも、感情はいつだって身体にうまく伝わってはくれないから、一向に泣く気配の訪れないまま、結局は黙って佇んだまま、いつまでも暗い部屋の中にひとりでいた。   だからこそ、ぼくは音楽をつくるようになったのかもしれない。それは映像も浮かばない、手でも触れられない、ただ耳から忍び込む密やかなひかり。   --   最近、そんなひかりの一つになれるかもしれないと思える曲がひとつできた。「虹彩」というタイトルの曲。   瞳には触れることができない。 いや、触れようと思えば触れられると思う人もいるかもしれない。少なくともぼくにはできない、といった方が正しいのかもしれない。   その行為に恐れを感じるから? 何かを傷つけてしまうかもしれないから? それとはまた少し違うような感覚がありながら、しかし、結局その違和感が何であるのかうまく判別しない。   誰かにとって、恋はそんな瞳のようなものかもしれない。ほとんどの人は、触れようと思えば当たり前に触れられると思っている。しかし自分にはなぜだか到底触れられるとは思えない。   それでも、自分にはできないことを、さもできているといった顔をして過ごさなければならない、とも思っている。 それは、ばれてしまうのがこわいから? 無数の瞳に見られているような気がいつまでもするから。   --   そんな、今までたくさん疎外されてきたであろう心を確かに内包するような、恋の歌が作りたくなった。   触れられる人も触れられない人も、等しく自分を重ねられる曲。人が何かを好きになるということ、その中身を細分化してむやみに分け隔てたりしないもの。ペルソナは無数のぼくかもしれなかった。   ひかり、としか形容のできない、ひと、もの、気持ちに、いつの日か出会うかもしれない。一度出会ってしまったら、きっと、接近しようとしてしまうだろう。   そうすれば、たちまち壊れてしまうことは分かっている。自分には壊さずに近づく術がないのだから。これははじめてなのだから。そこまで分かって、それでも、結局は近づいてしまうことを止められない。   だって、ひかりをみつけた時だけは、自分の身体もつられて発光しているような気分になれる。だからみんなひかりが好き。   何が発光しているのか、ひかりはそれをうやむやにしてくれる。そこには定義も区別も等しく存在しない、そう思えるほどまぶしく、ひかりは白く輝いているから。   --   あなたなら、この曲をひかりと受け取ってくれるでしょうか。 淡い期待と、そこに可能な限りの祝福を込めて。   <mol-74 髙橋涼馬> ◆ニューアルバム『Φ』 2024年5月22日発売   <収録曲> 01.Φ12 02.遥か 03.オレンジとブルー 04.Mooner 05.通り雨 06.BACKLIT 07.虹彩 08.フランネル 09.アンサーソング 10.寝顔 11.R

    2024/05/23

  • カノエラナ
    夢の住人
    夢の住人

    カノエラナ

    夢の住人

     2024年5月22日に“カノエラナ”が5th Single「イロドリ」をリリースしました。タイトル曲はTVアニメ『夜のクラゲは泳げない』オープニング主題歌。また、収録曲「揺れる」はこれまでカノエラナのライブでは歌われてきていた未発売楽曲で、今作を通してファン待望の音源化が実現!さらに、完全新曲となる「裏切り者のラブソング」も収録。    さて、今日のうたではそんな“カノエラナ”による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、新曲「 イロドリ 」にまつわるお話です。前に進んでも進んでも進まない日々でも、見えない壁に阻まれて岸にたどり着けなくても、それでも進み続けるあなたへ…。今回は音声版もございます。本人の朗読でもエッセイをお楽しみください。 苦手なことは置いといて 興味のあることだけに集中力を注いで来た結果 空想の世界に入り浸って いつになったら特殊能力に目覚めるのか 毎日真剣に考えるようになっていた   なんなら今でも変わらず考えている 目からビームとか出してこの場切り抜けたいな、とか 対面してる人が心の底で何考えてるか読めたらいいな、とか 訳わからんくらいでかい武器瞬時に召喚して 意味もなく振り回してみたいな、とか   心読みという点では ある意味現代のSNSは  会わずとも相手の動向がわかったりするから魔法の一種なのかもしれない 良いことも悪いことも拾えるのが更に魔法っぽい 最低最悪 使い方次第 傷付かないように 別の誰かを演じる毎日と 傷付けようとして 別の誰かを演じる毎日 心は常に満員御礼で 結果 名前がいくつ出来上がっただろう? なんでもない言葉が妙に刺さって 毒で痺れて爛れて千切れて戻せなくなって 魔法の繋がりから遠ざかった時、 吐いた言葉が夜に消える   制限のない文章を分かりやすくまとめて相手に完璧に伝えることすら難しいのに 全体秒数、リズム、メロの乗り心地縛りで 更にわけわかんなくなって 嗚呼また朝が来て 眠れなかったと独り呟いている 堂々巡りの頭の中を 一度取り外して掃除したいくらいだ モノで溢れてヒトで溢れている 好きで苦手な渋谷に集まる これじゃあ虫と変わらないじゃないか 自分の意見をしっかり持たなきゃ すぐに色のついた鳥にでも食べられてしまうだろう   全然熟していない僕はきっと美味しくない 骨と皮だけだ 特別綺麗な実でもないし 大勢の中のたったほんの一粒で 腐り落ちて潰れてしまう前の悪足掻きをしている 前に進んでも進んでも進まない 見えない壁に阻まれて岸に辿り着けずにいる それでも進むことはやめられなかった だって果実は実っているから   はっと目が覚めて身体中が痛い いつの間にやら眠っていたみたいだ 首やら肩やら石みたいにかたくなって このまま壁がぶち壊せる程になっていた はて、一体何の夢を見ていたのだろう? というかそもそも夢だったのだろうか? 今ここにいる僕は僕なんだろうか? 境界線が ぐにゃりと崩れた 今日も今日とて 曇りのち雨   <カノエラナ> ◆紹介曲「 イロドリ 」 作詞:カノエラナ 作曲:カノエラナ ◆5th Single「イロドリ」 2024年5月22日発売 <収録曲> 01.イロドリ 02.裏切り者のラブソング 03.揺れる

    2024/05/22

  • ポルカドットスティングレイ
    歌詞の主人公をどう作る?
    歌詞の主人公をどう作る?

    ポルカドットスティングレイ

    歌詞の主人公をどう作る?

     2024年4月17日に“ポルカドットスティングレイ”がNew Digital Single「ブラックボックス」をリリースしました。同曲は月刊コロコロコミックで人気連載中『ブラックチャンネル』YouTubeアニメのテーマソングとして書き下ろした作品。うねるベースとタイトなドラムに攻撃力抜群のギターが重なり合った緊張感の高いアレンジで、ダークヒーローであるブラックを。歌詞では、どんなことがあっても友だちのブラックを信じる主人公・さとしの気持ちを表現した炎上上等なアグレッシブな楽曲となっております。    さて、今日のうたではそんな“ポルカドットスティングレイ”の雫による歌詞エッセイを3回に渡りお届け!綴っていただいたのは自身の作詞論。最終回のテーマは<歌詞の主人公をどう作る?>というお話です。曲ごとに設定する主人公。リスナーがその主人公により“没入”できるよう、意識していることは…。ぜひ、ポルカドットスティングレイ楽曲の歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください! 記事、涙の第3回です。名残惜しいネ。   私は歌詞を書く上で、自分のことは書きません。 その歌における主人公を設定しています。   曲におけるターゲットを設定し、それに基づいたペルソナを作って歌詞を書いていきます。 私は歌詞の意味よりも音を大事にしているので、ここも曲先行です。言いたいことが先に来てない(ここは作詞者ごとに流派があります)。   例えば「 リドー 」なら…   ボカロっぽい曲を作りたい →オタクにウケたい(自身もオタク) →ファンタジーにしちゃお →舞台は、世界を作った神・リドーが気まぐれに姿をくらましてから100年後の蒸気都市。 均衡を失ったこの星の大気には、有害物質が増加していた。 人類の抵抗も虚しく、街は衰退し、力尽きた人や職を失った人で溢れている。灰色と金属の街に横たわる半人半怪の山。 万策尽きて、人々が願うのをやめた頃、革命のために立ち上がったレジスタンスたちが居た。 そのレジスタンスのリーダーが主人公で、神・リドーに会いに行く話にしよう!   は?   こんな感じです。 主人公は元戦士の女性なので、一人称は「私」。この「私」に、リスナーを没入させる歌詞を書いていきます。 とにかく没入感が大事。聴いてるとき、リスナーに主人公になってもらわなきゃいけないからネ。   経験上、設定の説明に尺を使わない方がいいです。だって、実際自分がその状況に置かれてたら設定の説明なんてしないから。 聴いてる人にとっては、ダラダラ説明なんてされてもだるいだけです。チュートリアルは最低限がよい。 設定の説明をしない代わりに、その主人公の目線で、今見たものとか、今思ってることを書いていくのが吉です。   さらに、没入してもらう工夫として、言いたいことは絞った方がいいです。 曲尺って大体3~4分とかやん。中途半端にいろいろ設定とかシーンを詰め込むと、理解にコストがかかって心地よくないです。   「 ブラックボックス 」の歌詞を見てみましょう。 悪魔でありYouTuberのブラックと、相棒の小学生さとしくんが主人公のアニメ『ブラックチャンネル』のテーマソングです。 この曲は主人公のさとしくん目線の歌詞なので、リスナーのみなさんには、さとしくんになってもらいます。   ――   振り回して! 完膚なきまで   大問題だけど信じてる 絶体絶命 それでも結構! 怪物に堕ちた天使 正直悪くない だからGimme! BLACK BOX   ――   3分間いろいろ言ってるけど結局、「振り回されてもなんだかんだ君と居るの楽しい」の一点張りです。 作詞にあたってもちろんブラックチャンネル全部見てクソ長オタクノート作ったけど、結局『5億年ボタンを押すとどうなるのか?』の回にシチュエーションを絞って書いています。 ここに他の回のエピソード何個も入れようとか、ブラックの堕天エピソード入れようとか、欲張りすぎると「なんかいっぱい要素出てきて没入できないな…」ってなります。   少なからずブラックチャンネルを知らない人も聴きます。なんならうちのファンじゃない人も聴く。 「全部理解してやるぞ!!」という熱量があるリスナーはほんの一握りなので、情報量が多くなりすぎるとキモいだけなんですネ。   主人公の軸を作ってあげるの大事。 結局そいつの一番言いたいことはなに? 一番やりたいことは? もっと言うと、リスナーにどこに共感してほしいの?   誰に向けて書いてる曲なのか。聴いてどういう気持ちになってほしいのか。 主人公はリスナーです。 あなたを一番主人公にしてくれる曲、たくさん探してみてネ。   <ポルカドットスティングレイ・雫> ◆New Digital Single「 ブラックボックス 」 2024年4月17日リリース 作詞:雫 作曲:雫

    2024/05/21

  • 汐れいら
    忘れたいのか、忘れたくないのか、知りたくて。
    忘れたいのか、忘れたくないのか、知りたくて。

    汐れいら

    忘れたいのか、忘れたくないのか、知りたくて。

     2024年5月1日に“汐れいら”が新曲「備忘ロック」配信リリースしました。今作は“彼女のことでしか曲を作れないバンドマン”を歌った曲。主人公のバンドマンは、二度と会うことができない彼女との生活や交えた言葉を振り返り、まるで備忘録を作るかのように言葉を紡いでいきます。さらに8月14日には自身初のCDである1st EP『No one』のリリースも決定!    さて、今日のうたではそんな“汐れいら”による歌詞エッセイを2週連続でお届け! 今回は第1弾。綴っていただいたのは、新曲「 備忘ロック 」にまつわるお話です。備忘録は捜索願みたいなもの。では一体、何を捜して、その先で何を見つけるのか…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。 備忘録って、わたしの捜索願みたいなもの。   忘れたくないものをかき連ねる一方で、安心して忘れるためにかくような気もする。 忘れたくないのに、忘れたい。   こんな風に、人生には矛盾や葛藤みたいな言いようのない感情が付き纏って、時々自分が行方不明になることさえある。   そんな時に、かいている。 忘れたいのか、忘れたくないのか、知りたくて。 備忘録に閉じ込めたあと、それでも自分の中に残っているものが大事にしているものなんだ、ってそこでようやくわたしが見つかる。   元々着ていた服じゃなくても、考えていることが違っていても、変わっていっても、 他の人がわたしを忘れてしまっていても、わたしだけはわたしになった経緯を思い出せるように。   備忘録って、彼の捜索願みたいなもの。   「備忘ロック」をかいたバンドマン。   彼は、彼女との生活を忘れたくなくて、でもどこかで忘れたかった。 彼女のことをかいて、その音楽ばかりが売れる。 嬉しいけれど悔しくて、そんな感情のせいで大切なものがわからなくなっていた。   そんな中で、自分が見つかる前に、彼女が行方不明になってしまった。 音楽もうまくいかない。   それでも彼の中に残っていたのは彼女だった。     備忘ロックって、彼女の捜索願みたいなもの。   彼は、もう忘れたくなかった。 他の人が彼女を忘れてしまっても、彼だけは彼女がそこにいたことを思い出せるように。 かくだけじゃなく、ずっとうたって。     きっと彼女は、彼の創作願を。   <汐れいら> ◆紹介曲「 備忘ロック 」 作詞:汐れいら 作曲:汐れいら 

    2024/05/20

  • mol-74
    逆光
    逆光

    mol-74

    逆光

     2024年5月22日に“mol-74”がニューアルバム『Φ』(読み方:ファイ) をリリース! タイトルは“光束(光の明るさを表す物質量)”の量記号「Φ」に由来。また「Φ」は直径を表す記号でもあり、アルバムのプロローグ的な立ち位置の1曲目「Φ12」は人間の瞳の直径を意味しております。今作には、この「Φ12」をはじめとして、それぞれの楽曲の主人公たちが自らの瞳で捉えた光をテーマとした全11曲が収録。    さて、今日のうたではそんな“mol-74”による歌詞エッセイを3回に渡りお届け。第1弾はメンバーの武市和希が執筆。綴っていただいたのは、収録曲「BACKLIT」にまつわるお話です。ある日見たあの頃の夢。歌詞に描いた、その夢を見たあとに残ったものとは…。 ある日、高校生だった頃に戻る夢を見た。   僕は高校を卒業後、地元の徳島を離れて京都の専門学校へ進学した。それからはずっと京都に住んでいるということもあって、高校時代の友人たちと会うことは年を重ねるごとに少なくなり、最後に会ったのは何年前だったのかも思い出せない。 いや、時間の経過をあからさまに実感してしまうのであまり思い出したくない。   野球部を一緒に辞めたあの子。 ひどい事を言って傷付けてしまったあの子。 一緒に自転車で通学していたあの子。 獣医になりたいと言っていたあの子。 「おれはこの高校一のギタリストになるぜ!!!(今思うと目標が低い)」と言い切った数ヶ月後にはあっさりバンドを辞めてしまったコピーバンドのメンバーだったあの子。 そんな、今の僕にとって疎遠になってしまった彼ら彼女らと夢の中で十数年ぶりの再会をした。 夢の舞台は教室で、授業と授業の合間の休憩時間に何気ない会話をするというものだった。 具体的にどんな話をしたかは思い出せないのだけれど、とにかくリアルで、ひとりひとりの表情がキラキラとしていた。 青くて赤い。 懐かしさと一周回った新鮮さでとても楽しかった。 美しかった。 ただ、夢というのはいつも通り雨みたいにいきなりやってきて、水たまりのような余韻を残してすぐに姿を消してしまう。 現実に吸い込まれるように目が覚めると、いつものベッドから仰向けで見える天井がぼんやりと僕を見ていた。 何かを夢の中に忘れてきてしまったような気がして、もう一度目を閉じてみたけれど夢に戻ることはなかった。 僕は高校生の頃の後悔であったり、やり残したことは特にない。多分、ない。 なのに現実よりも夢の方が数倍充実していた気がして、押し出されたような孤独感とジトっとした余韻がしばらく続いた。   いよいよ今月22日にリリースされる僕たちの新しいフルアルバム『Φ』。 6曲目に収録されている「BACKLIT」は、そんな夢を見た後に残った孤独感と余韻をもとに歌詞を書いた。   「BACKLIT」とは直訳すると"逆光"という意味がある。 光の強さは違えど、今まで歩んできた道のりを振り返ってみると、光放っている瞬間があなたにも存在するのではないだろうか。 別に戻りたい訳でも、やり直したい訳でもない、大切な時間や場所。   今の自分にとっての日常の当たり前と、あの頃の当たり前を重ね合わせて、例えはみ出した部分が大きくても、笑って、抱きしめて、胸を張って生きていたい。きっと今日も、あの頃の僕らが背中側から未来を照らしてくれている。 <mol-74・武市和希> ◆紹介曲「 BACKLIT 」 作詞:武市和希 作曲:mol-74   ◆ニューアルバム『Φ』 2024年5月22日発売   <収録曲> 01.Φ12 02.遥か 03.オレンジとブルー 04.Mooner 05.通り雨 06.BACKLIT 07.虹彩 08.フランネル 09.アンサーソング 10.寝顔 11.R

    2024/05/19

  • SARD UNDERGROUND
    あなただけの今日
    あなただけの今日

    SARD UNDERGROUND

    あなただけの今日

     2024年9月18日に“SARD UNDERGROUND”がデビュー5周年を迎えます。彼女たちは、令和の時代に“ZARD 永遠のスタンダード・ナンバー”を継なぐトリビュートバンド。2019年にZARDの数々の名曲が詰め込まれたトリビュートカバーアルバムでデビュー。そして現在に至るまで、数々のZARDのカバー曲と、坂井泉水の未公開詞によるオリジナル曲の他、ボーカル神野友亜によるオリジナル曲を発表し続けております。    さて、今日のうたではそんなアニバーサリーに向けて“SARD UNDERGROUND”の神野友亜による歌詞エッセイを1年を通じ、12ヶ月連続でお届け!今回は第9弾です。最近、少し休息が足りていないあなたへ。今日という日を今よりほんの少しだけでも好きになりたいあなたへ。このエッセイを受け取ってください。 五月   “あなただけの今日”   陽が、ゆっくり、のんびり、坂道をなぞっていく。後を追うように、風が登っていく。 陽と風の追いかけっこを眺めながら、ふと考える。人生の中に溶けこむ今日という日は、長いのか、それとも短いのか。   鳥の囀り、風がそよぐ、そして、花弁が空へ。   時がどんなふうに過ぎていこうとも、 生きているだけで、今日という日は素晴らしい。   一日のおわり。 夕方、ぼんやり茜色に染まった空 一週間のおわり。 休日、素顔で街を歩く人々   心に傷を負っていなくとも、疲れやストレスを感じていなくとも、必ず休息は必要だ。 自分だけのスペースに帰って、十分な癒しの時間を過ごそう。 休息と遊びはまったく違う。 旅行をしたり、映画を観に行ったり、美しい景色を見にいくのもいいけれど、たまには気の済むまでゆっくり眠るのもいい。   身体が回復したら、今度は自分の“好き”を思いっきり楽しもう。 好きな人に、嫌いなところが混ざっていても “好き”なことに変わりがないのと同じで、人生に起こる大変なことも、嫌なことも、自分の“好き”には一生敵わないのだから。   うまくいかなかった日を、嫌な一日だった。と終わらせるのではなく、帰ってからホッと一息ついて、ゆったりコーヒーを一杯。眠る前に一粒のチョコレート。好きな音楽や映画に浸る。ひとつだけでも、自分の“好き”をプラスすれば、“今日という日も悪くない”と思えてくるはず。   せっかくこの地球に生まれたのだから、人生まるごと“好き”がいい。   風がそよぐ、また、花弁が空へ 肌が少しくすぐったい。 歌でも歌いながら、ゆっくり、のんびり歩いていこう。   今日という日は、時に長く、時に短い。   人の心のカタチはたくさん。 完璧に解り合えなくてもいい。   愛のカタチはたくさん。 与える愛でも。いただいた愛でも。 あなたの人生が愛に満ちた物語であるように。   <SARD UNDERGROUND・神野友亜> ◆ZARDの名曲カバーを厳選収録した 究極のトリビュート・ベストセレクション 『ZARD tribute Best Selection』 2024年3月20日発売   <収録曲> 1. あの微笑みを忘れないで [tribute 2024] 2. DAN DAN 心魅かれてく [tribute 2024] 3. Don't you see! [tribute 2024] 4. 負けないで [tribute 2024] 5. 心を開いて [tribute 2024] 6. 眠れない夜を抱いて 7. この愛に泳ぎ疲れても 8. 永遠 [tribute 2024]  9. 運命のルーレット廻して 10. マイ フレンド [tribute 2024] 11. 揺れる想い [tribute 2023] 12. きっと忘れない [tribute 2024] 13. Just believe in love 14. GOOD DAY

    2024/05/17

  • ポルカドットスティングレイ
    歌詞の気持ちよさとは?
    歌詞の気持ちよさとは?

    ポルカドットスティングレイ

    歌詞の気持ちよさとは?

     2024年4月17日に“ポルカドットスティングレイ”がNew Digital Single「ブラックボックス」をリリースしました。同曲は月刊コロコロコミックで人気連載中『ブラックチャンネル』YouTubeアニメのテーマソングとして書き下ろした作品。うねるベースとタイトなドラムに攻撃力抜群のギターが重なり合った緊張感の高いアレンジで、ダークヒーローであるブラックを。歌詞では、どんなことがあっても友だちのブラックを信じる主人公・さとしの気持ちを表現した炎上上等なアグレッシブな楽曲となっております。    さて、今日のうたではそんな“ポルカドットスティングレイ”の雫による歌詞エッセイを3回に渡りお届け!綴っていただいたのは自身の作詞論。第2弾のテーマは<歌詞の気持ちよさとは?>というお話です。言葉の音としての気持ちよさを重視する雫の様々な工夫とは…。ぜひ、ポルカドットスティングレイの楽曲の歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください! 歌ネットに記事を書ける光栄・第2回です。 作詞論の話をしています。これを読めばみんなも今日から作詞できます。   前回の記事で話しましたが、私はサウンドの心地よさを重視した作詞をしています。 もうちょっと掘り下げようネ。   日本語って正直、歌にそこまで向いてない言語です。 日本語は「音節言語(Syllable-timed language)」です。これに対し、英語を含む多くの言語は「重点言語(Stress-timed language)」と呼ばれます。 日本語はひらがなに分解され、一音一音を同じ長さ・強さで発音しますが、英語などには強いアクセントがついています。 流れの言語なんですネ。だから、アクセント以外の部分は意外と適当でよかったりするし、詰めたり繋げたりしやすい。   歌たるもの、音の気持ちよさが欲しいですよね。   私は日本語を英語みたいにアクセントで捉えてメロディに当てはめ、繋げたり詰めたりしています。 それでもダメなら英語も使ってゴリ押します。 韻魔人だからね。すぐ踏む。赤ちゃんと一緒。なんでも口に入れる。   例えば、「 天誅 」2サビの歌詞がこちらです。 後半の韻ポイントを見てみましょう。   ――   熱中が欲しい 熱中してそっと、 あなたにあげるわ 熱殺蜂球のハイ Core i  その喉のせい 分かっていたのに   ――   突然のCore i。intelもびっくり。 「熱殺蜂球のハイ Core i 」部分、「oai」にしたいがためにこうなりました。 「ハイ」のhを弱めに発音し、「Core i」のcoreは「コー」と発音してOKですので、わりと同じ音に聴こえるようになっています。 こういうところで、音としての気持ちよさを出しています。 私の歌、日本語でもちょっと英語っぽいよね。滑舌弱者であるため、仕方なくこうなっている側面もあります。だまれ!!   そして、韻を踏むと、そのルールから外れた部分を強調することができます。 「天誅」の落ちAメロを見てみましょう。   ――   これをずっと待っていたの? 二度と戻って来られない場所 あなたはこんなにバカなのに   ――   文末、「ao」できてたのに!バカなのに!?!? 韻の安心感が無くなったとき、ハッとさせることができるんですネ こういう意味でも韻は大事。   そして、韻よりもさらに大事なことがあります。 メロディと、実際の言葉のイントネーションを揃えることです。   私の歌はマジで全部そうなってるから聴いて。 歌詞を普通に朗読したときの音の上がり下がりと、メロディの上がり下がりを、可能な限り一致させます。   「 ブラックボックス 」の1サビを見てみましょう。   ――   大問題だけど信じてる 絶体絶命 それでも結構! 怪物に堕ちた天使 正直悪くない だからGimme! BLACK BOX    ――   歌詞を実際に喋ったときのイントネーションを大げさにしたみたいな歌メロになっています。 普通の喋りにも音程ってついてるからね。ここを一致させると、とっても心地よい歌になります。   こんな偉そうに語ってるけど私は作詞苦手です。 頑張って書いてるんだからね。歌詞も読んでよね!   <ポルカドットスティングレイ・雫> ◆New Digital Single「 ブラックボックス 」 2024年4月17日リリース 作詞:雫 作曲:雫

    2024/05/16

  • 十明
    未来を語るすべての革命家たちに
    未来を語るすべての革命家たちに

    十明

    未来を語るすべての革命家たちに

     2024年4月24日に“十明”がDigital Single「NEW ERA」をリリースしました。同曲は、国際ファッション専門職大学 2024年度新TVCMソングです。新たな世界を切り開こうと自身を奮い立たせている“夢を追う全ての人へ”向けて制作。誰しもがその世界の主人公になり得るのだという、十明自身の思いも込められた1曲。ソリッドな重低音にエキゾチックなビートが、力強くもしなやかな十明の歌声を鮮やかに彩ります。    さて、今日のうたではそんな“十明”による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、新曲「 NEW ERA 」にまつわるお話です。自身が初めて“誰かのため”に作ったというこの曲。斜に構えがちな自分だからこそ、たどりついた思い、そして声に出して届けるべき言葉は…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。 今回リリースした「NEW ERA」は、私が初めて自分ではない誰かのために作った楽曲です。   誰かのために曲を作るというのは、私にとって少し不思議な感覚でした。私の作る歌はいつも独りよがりで、自嘲と皮肉が主要成分でした。「私」を押し出した音楽が、あわよくば誰かの心に触れ、擦り傷にでもなればいい、そう思っていました。全て私の中だけで完結し得る音楽だったのです。   なので、国際ファッション専門職大学さんからタイアップのお話をいただいた時、どんな気持ちや言葉を届ければいいのか戸惑いました。斜に構えることが癖付いていたためか、前向きな言葉に少し抵抗があったり、never give upなんて胡散臭いな、とか色々思ったりもして。   ノートに並んだたくさんの言葉にがっかりしました。   「頑張れ」 「夢に向かって頑張ろう!」 「諦めないで」   こんなの私じゃない。 ヒーローみたいな甘ったれた言葉を歌いたいわけじゃない。   結果、   「遊びたいならお先にどうぞ」   というような悪役さながらの煽り文句が出てきたのでした。   私は期待に応えるだけの受動的ヒーローなんかじゃなく、世界の予想を裏切るような革命を起こす、自称救世主のような狂気をもってしてこの曲を歌いあげようと思ったのです。     私は歴史上の人物や御伽噺をもとに楽曲を制作することが多いのですが、今回はフランスの運命を変えた「ナポレオン」のイメージをこの楽曲に落とし込みました。 フランスのために闘い、フランスのために死んだ男、彼の名言の一つに   「愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る。」   というものがあります。 夢なんて綺麗な言葉だけでは片付けられない未来を語る我々こそ、未来を変え得るのだと私は思います。   この曲は、望みを叶えるために孤独を選んだ、傷だらけになりながらも戦うことを選んだ革命家の歌です。 未来を見据える瞳に迷いなど必要ないと、自らを鼓舞するような言葉たちを吐き出しました。心の内側の言葉ではありません、声に出して届けるべき言葉たちです。   未来を語るすべての革命家たちにこの曲を送ります。 <十明> ◆紹介曲「 NEW ERA 」 作詞:十明 作曲:十明 

    2024/05/15

  • 感覚ピエロ
    「ナンセンス」という騙し絵。
    「ナンセンス」という騙し絵。

    感覚ピエロ

    「ナンセンス」という騙し絵。

     2024年4月25日に“感覚ピエロ”が3rd FULL ALBUM『NULL』(ヨミ:ヌル)をデジタルリリースしました。感覚ピエロの約2年ぶりとなる今作は、昨年公開された宮藤官九郎脚本、映画『ゆとりですがなにか イン ターナショナル』主題歌や、大人気ゲーム『テイルズオブ』シリーズ最新作『Tales of ARISE - Beyond the Dawn』テーマソング、映画『ブラッククローバー 魔法帝の剣』挿入歌など新旧含む全12曲を収録。    さて、今日のうたではそんな“感覚ピエロ”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 最終回は横山直弘(Vo.&Gt.)が執筆。綴っていただいたのは今作『NULL』について、そして収録曲「ナンセンス」にまつわるお話です。コロナ禍に出会った一冊の本。その時に生まれた新しい価値観の根は、どのように今作に影響を及ぼしているのか…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。 僕はあまりにも個人的で自己完結的な人生を歩んできました。   友達ってなんなのか今でもよくわからないし、先輩後輩としての関わり合い方みたいなものも希薄でした。 それで割を食ったことも沢山ありましたし、隣の芝を眺めては「青いなあ、青はいい色だなあ」と思ったこともしばしばです。     新型コロナウィルスで自粛を余儀なくされた2020年、僕は本を買い集めて読み耽っていました。 あまりにも個人的な僕は、あの時に感じた圧倒的な不安を、自力で噛み砕くしかなかったのです。   その中で僕はフロイトの『精神分析学入門』という一冊に出会いました。 単行本サイズに細かい字が敷き詰められた全764頁。 その一冊の為に丸々3日間を注ぎ込めるだけの時間が僕にはありました。     この本との出会いは僕にとってかなりエポックメイキングな出来事でした。 無意識とは、深層心理とは、トラウマとは、寝ている時に見ている夢の正体とは、そんなことが764頁に渡って書かれていました。 見える世界の在り方がガラッと変わり、自分自身のことはより一層よくわからなくなりました。   しかしながら、日頃の所作、表情、服装、そして取捨選択する言葉の一つ一つが、その人自身が演出する自分以上に、雄弁にその人そのものを強く物語っているという価値観を、僕は心に強く持つようになりました。     この度リリースになります感覚ピエロの3rd Album『NULL』は、その時に生まれた新しい価値観の根が、より自分の奥底まで侵食した作品である様に感じています。     僕は歌詞を作る際、サビに配置したい単語一つや短い文節を始めに考えます。   それが決まってから、その言葉を頂点に置いて一本の木を作っていくように、あるいは、その言葉を因数分解していくかのように全体の言葉を選んでいきます。   自分が選んだ言葉に意味やストーリーを肉付けしていく。または一つの単語を分析していく。歌詞を書く行為はそんな感覚でした。     それが通例だったのですが、今作の「ナンセンス」に関しては、歌いながら即興で歌詞を作ることにトライしました。   言葉を取捨選択し推敲するという行為がその人間の潜在意識に帰属しているのだとすれば、いっそ取捨選択や推敲というプロセスを捨てて、自然に掴んだ言葉をそのまま並べた方がむしろ強い肉体性を伴うんじゃないか、そう考えたからです。 本質的に生々しいものを作りたい。そういった思いがありました。     「ナンセンス」はトラックを流しながらメロディに合わせて歌い、自然と口から出た言葉を並べました。 ただ思いつくままに並べていきました。     一つ一つの言葉が出て来た理由は分かりません。 トラックの雰囲気や、日常に纏わりついているニオイが影響してるのかもしれませんが、ハッキリとしたことは分かりません。   僕の肉体から出てきた言葉である以上、何かの意味を多分に含んでいるに違いありません。 ただ、その正体が何であるかの判断を挟まずにそれを文章とした為に、それが何であるか僕は言語化ができません。   僕の言葉を並べた以上、それは意味を成してメッセージとして届きます。 しかしながら僕の意志として「何を伝えたいの?」と問われれば、なにもないです。     要するに「ナンセンス」は騙し絵みたいなものです。   僕は今この瞬間も「なにもない」ということについて、如何に文字数を割いて書けるかというゲームに興じています。 それはとてもナンセンスな行為です。 一方で「ナンセンス」は僕の純度100%の言葉を並べたからこそ生じる強い意味があります。   トリックアートみたいなものです。 「ナンセンス」という騙し絵です。ですから分析すらナンセンスだと思います。感じてください。       「ナンセンス」は映像を撮影しました。ミュージックビデオが公開されます。   どこか歪さのある映像です。その歪さの正体を知りたくて監督と話をしました。その内容がとても面白かった。     「『ナンセンス』というタイトルだから、普通はナンセンスな人物を主人公に置いて描いたりする。 だけど今回は違う。 主人公は苦しんで自殺する。 だけどその彼女がナンセンスなのではなく、そういった出来事を生み出す遠因の中にいて、それをただ観測している、外側の人間たちがナンセンスなのだ。 それを描きたかった。」     これには非常にグッときました。その話を聞いて初めて理解したことが沢山ありました。 ですので、是非ともミュージックビデオも併せてご鑑賞頂けたら幸せです。     3rd Full Album『NULL』には「ナンセンス」以外にも沢山の曲があります。   例えば「LOVELESS」という曲は、僕が以前に一度楽曲を書かせていただいた、とあるアーティストさんに書き下ろしていた1曲です。 デモでは初音ミクに歌わせていました。イメージの先にあるのはそのアーティストさんですが、その方と初音ミクが僕の中で融合して、「いかにドギツイ言葉で歌わせられるか」というゲームを楽しんでいました。   思えば「ナンセンス」のNONE、「LOVELESS」のLESS、両者とも欠落を含んでいます。     僕が今作『NULL』で表現したのは、「NONE」「LESS」「NULL」といった空虚さや欠乏だったのかもしれません。     でも分かりません。     だってナンセンスですので。     3rd Album『NULL』是非ともお楽しみください。     <感覚ピエロ・横山直弘(Vo.&Gt.)>   ◆3rd FULL ALBUM『NULL』 2024年4月25日発売   <収録曲> 01 名無大行進曲 02 壊れたハートに火をつけろ 03 咲き乱れ Boys&Girls  04 Can You Secret 05 the light 06 KARASAWAGI(feat. 小野武正 from KEYTALK)  07 スラムジャパン 08 ナンセンス 09 Break Together 10 LOVELESS 11 ノンフィクションの僕らよ 12 We Still 

    2024/05/14

  • Omoinotake
    「わかり合うことを諦めてしまった」いつかの僕へ渡したい。
    「わかり合うことを諦めてしまった」いつかの僕へ渡したい。

    Omoinotake

    「わかり合うことを諦めてしまった」いつかの僕へ渡したい。

     2024年5月5日に“Omoinotake”が新曲「蕾」をリリースしました。同曲は、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』第7期エンディングテーマ。どれだけ相手を想ったとしても、決して一つにはなれない心と心。それでも決して「わかり合うことを諦めない」という強い願いを、目まぐるしく変わるスピード感のあるビート、そして体の内側から漲ってくるエネルギーのようなサウンドに乗せて、力強く歌った楽曲に仕上がっております。    さて、今日のうたではそんな“Omoinotake”の福島智朗による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「蕾」にまつわるお話です。歌詞を書こうとしたとき、頭のなかに浮かんだひととは。そして歌詞を書き終えて起こした、ひとつの変化とは…。「わかり合うことを諦めてしまった」あなたへ。この歌詞とエッセイを受け取ってください。 ページをめくる。夢中になって、めくる。 時折、指を止めて考えこんだり、涙ぐんだりする。 そのページに付箋を貼って、メモを取る。先へ進む。   それだけを繰り返す。 朝はあっという間に来る。少し寝て、まためくる。   『僕のヒーローアカデミア』 読み終えた頃、指先はカラカラに乾いていて、涙で目は重く腫れていた。   読後の余韻が冷めてしまわないうちに、歌詞を書こうと、画面の前に向かう。 頭の中には、これまでの人生の中で、わかり合えないままいつしか、 会えなくなってしまった、何人かの顔が、浮かんでいた。   人生で初めての絶縁は、大親友とだった。 ほんの些細なことがきっかけで、10年以上の関係性は、消えてしまった。   今日知り合った人と、居酒屋で盛り上がれることだってあるのに、 一生の友達のはずだった人と、もう笑い合えないなんて、 人間は、人生は、どうしてこんなに歪なんだろうと、考える。   別れてしまった、彼女だってそうだ。 あんなに傍にいたのに、離れてしまった瞬間、 世界中でもっとも遠い人に、なってしまう。   近いから、すれ違うのか。もともと、違っていたのか。 違いが亀裂を生む。今考えれば、違ってるから愛しいと、 僕にないものがあるから愛しいと、想えたはずだったのに。   そんなふうに僕は、これまでの人生で何度か、 わかり合うことを諦めた。結果、埋まらない、埋めたふりをした、 寂しさを、ふと思い出しては、苦しくなってしまう。   「久しぶり、もういいじゃんかね。たまには遊ぼう」 「蕾」を書き終えたあと、いつかの親友に連絡をした。   すぐに返事はきた。むかしみたいに、やり取りがはじまった。 永遠に彼女できないって嘆いてたくせに、いつの間にか結婚してた。 僕らの新曲も、いつも聴いてくれてるみたいで、嬉しかった。 今度会う、約束をした。   もうわかり合えないと、勝手に決め込んでしまっていた。 きっとそれぞれの胸の中に、そんな声があって、結びつき方を忘れた。 たったそれだけのことだったと、知った。   単行本に貼った、付箋のページを見返す。 書く前と、書き終えた後じゃ、感じ方が、ほとんど違う。 決めつけていた価値観が解けていく。それがとても、愛しい。   「わかり合うことを諦めてしまった」 いつかの僕へ渡したい。書けたのは、そんな詩だった。 <Omoinotake・福島智朗> ◆紹介曲「 蕾 」 2024年5月5日発売 作詞:福島智朗 作曲:藤井怜央

    2024/05/13

  • さとう。
    あの人の声が、空から降ってくる
    あの人の声が、空から降ってくる

    さとう。

    あの人の声が、空から降ってくる

     2024年5月10日にシンガーソングライター“さとう。”が新曲「ステージ」を配信リリースしました。今作は【ステージ】というタイトルをもとに作られた楽曲。“癌のステージ”と“人生のステージ”を掛けて、ふたつの意味を持たせている歌詞にご注目を。力強くもどこか儚さの残る歌声が、浮き沈みの激しいこの季節、あなたの心に優しく届き、震わせるような1曲となっております。    さて、今日のうたではそんな“さとう。”による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、新曲「 ステージ 」にまつわるお話です。自身に大きな衝撃を与えたとあるテレビ番組の内容とは。そしてこの曲をライブで歌うとき、強く思うことは…。ぜひ楽曲と併せて、エッセイを受け取ってください。 2024年7月19日、渋谷LOFT HEAVENにて開催される、 さとう。one-man Live『産声みたいで、』に向けてスタートした7ヶ月連続リリースの5曲目。 今ではさとう。のライブをとても支えてくれている1曲、 「ステージ」を選ばせていただきました。 SNSでショートver.を公開した際にフルバージョンを望む声が多く、私も早く聴いてほしい気持ちでいっぱいでした…! 澄み渡る五月の青空にこの歌が高らかに響くことを願っています。 歌詞の通り、さとう。の気持ちが特に強く込められた曲でして… 今回はこの曲を書いた時のことを書いていこうかなと思います。     とあるテレビ番組で、あるロックバンドのボーカルのドキュメンタリーが放映されていました。 癌でこの世を去った彼の、亡くなるその瞬間までを追った、映像でした。 そのバンドを昔から知っていた訳でもなく、名前は聞いたことあるなぁと思ってなんとなく見続けたあのドキュメンタリーが、今でもずっと心に残っています。 殴られたような、悔しいような、気づいたら涙が溢れていました。   歌いたかったことが山程あって、その歌を受け取りたい人がいて… どうしてあの人が? いや、あの人だけじゃない、 きっと私が知らないだけで、もっともっと歌えたはずの人がたくさんいるはずなんです。 気のせいかもしれないけど今でも 空の上から私に、歌ってるように思えて仕方がないのです。   そんな気持ちが「ステージ」に込められています。 この曲をライブで歌う度、より強く高く、あの人に届くように響いて、 私にとって、大切な決意の曲のひとつになりました。 空の上のステージで歌うあの人と、ライブハウスのステージで足掻きながら歌う私と、 そしてそれぞれのステージで戦うこの曲を聴いているあなたとを、この曲が繋いでくれるように祈ります。   <さとう。> ◆紹介曲「 ステージ 」 作詞:さとう。 作曲:さとう。 ◆LIVE SCHEDULE   5/11(土)吉祥寺MiMiNOKO ROCK FES 2024 5/11(土)下北沢 DY CUBE 5/17(金)大塚LIVE BAR MARU 5/18(土)歌舞伎町MUSIC LIVE 5/19(日)下北沢 『革命ロジック2024』 5/24(金)下北沢DY CUBE 6/ 1(土) 渋谷 O-Crest 6/ 2(日) 下北沢DY CUBE 6/ 9(日) 下北沢 DY CUBE 6/15(土) 下北沢 DY CUBE 6/28(金)月見ル君想フ   ※LIVE情報詳細は公式Xへ   ◆公式X https://twitter.com/Sato_darari

    2024/05/10

  • ポルカドットスティングレイ
    歌詞作りって流派がある
    歌詞作りって流派がある

    ポルカドットスティングレイ

    歌詞作りって流派がある

     2024年4月17日に“ポルカドットスティングレイ”がNew Digital Single「ブラックボックス」をリリースしました。同曲は月刊コロコロコミックで人気連載中『ブラックチャンネル』YouTubeアニメのテーマソングとして書き下ろした作品。うねるベースとタイトなドラムに攻撃力抜群のギターが重なり合った緊張感の高いアレンジで、ダークヒーローであるブラックを。歌詞では、どんなことがあっても友だちのブラックを信じる主人公・さとしの気持ちを表現した炎上上等なアグレッシブな楽曲となっております。    さて、今日のうたではそんな“ポルカドットスティングレイ”の雫による歌詞エッセイを3回に渡りお届け! 綴っていただいたのは自身の作詞論について。第1弾のテーマは<作詞のとき、なにを重視するの?>というお話です。歌詞作りの2つの大きな流派とは…。ぜひ、ポルカドットスティングレイ楽曲の歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください! 雫です。 歌ネットに記事書けるなんて光栄やなぁ!?!?全3回です。   作詞にまつわる話でも、なんなら日記でもポエムでも小説でもなんでもOK!という懐の広い依頼を頂いたんやけど、みんな正直私のポエムきついと思いますので、作詞論の話をします。   作詞に興味ある人はもちろん、音楽を聴くときに歌詞をちゃんと見る派の人も、見ない派の人も! 知っとくと、ふ~んってなってちょっと楽しい話をしたいと思います。   今回はこちら。 <作詞のとき、なにを重視するの?>   これ、流派が大きく分けて2つあります。 「意味先行型」「音先行型」です。 歌詞のメッセージ性を重視するか、言葉のサウンドの気持ちよさ(メロやオケとのハマり方)を重視するか。 両方大事なんだけど、どっちに重きを置くかくらいの話です。   私は100%の「音先行型」です。メロディを先に作ってあとから歌詞を入れます。   私は、必ずしも全箇所の歌詞に意味が無くて良いと思っています。 まずはメロディがキャッチーかどうか。曲全体としてサウンドが気持ちいいかどうか。それを後押しするために歌詞(歌の発音)があり、あくまで言葉を当てはめていく指標として「意味(テーマ)」がある。という流派です。 歌詞を音として捉えているんですネ。   例えば、サビの頭! ドーン感が欲しいよね。オケの楽器の量や圧が増えます。 サビ頭のドーン感を、楽器と一緒になって出せる言葉選びをします。ボーカルが一番音デカいからね。威力絶大です。   サウンドを重視する場合、サビ頭の瞬間の歌詞は、ア段の音や、立ち上がりの速い音(カ、タ、濁点がついた音など)を選びがちです。私はね。   うちの曲だと、   ヒミツ→逃げられ「な」 テレキャスター・ストライプ→「あ」あ パンドラボックス→「あ」あでもないしさ DENKOUSEKKA→く「ら」 ラブコール→「あ」いするあなた バケノカワ→「ま」ばたいたって 女神→「か」っさい トゲめくスピカ→ねえどうかし「た」 ダイバー→い「ま」 リドー→「あ」いあいしてる ゴーストダイブ→だから「ゴ」 ブラックボックス→「だ」いもんだい   そういうことです。   ただし! メッセージ性、意味合いを優先して作る「意味先行型」の人の場合はこれを無視したりします。   そういう人の曲に対しては、言葉のサウンドよりも、意味としてベストな言葉を選んだほうが良いからです。 だって、言葉を伝えるためにメロディがあって、付随するオケがあるという考え方だからネ。 弾き語りでも映えるのはこっち!(ちなみにおそらく今こっちが流行りがちです。エモさというやつですネ)   これ、正解は無いですので、みんな違ってみんな良いんですネ。   サビで歯触りの良い同じ言葉を繰り返すか? しっかりストーリーを見せるのか? どっちも良いよね。   ちょっとみんなSpotifyやらApple Music開いて、適当な曲聴いてみて。 どっちの流派か分かんない!どっちも押さえてる!っていう曲、それは天才です。 天才がいっぱいいるから困ってるんだよな。   <ポルカドットスティングレイ・雫> ◆New Digital Single「 ブラックボックス 」 2024年4月17日リリース 作詞:雫 作曲:雫

    2024/05/09

前の20件
次の20件

デイリーランキングDAILY RANKING

  1. BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)
    BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)
    TM NETWORK
  2. クスシキ
    クスシキ
    Mrs. GREEN APPLE
  3. breakfast
    breakfast
    Mrs. GREEN APPLE
  4. 愛▽スクリ~ム!
    愛▽スクリ~ム!
    AiScReam
  5. 倍倍FIGHT!
    倍倍FIGHT!
    CANDY TUNE
もっと見る

歌ネットのアクセス数を元に作成
サムネイルはAmazonのデータを参照

新着歌詞情報NEW RELEASE

  • ある未来より愛を込めて / back number
    【back number】モスバーガー「食べるHAPPY」篇 CMソング「ある未来より愛を込めて」歌詞公開中!!
  • 諸行は無常 / 久保田利伸
    諸行は無常 / 久保田利伸
  • Shake it off / FANTASTICS
    Shake it off / FANTASTICS
  • 夏とあんたが嫌いです / 乃紫
    夏とあんたが嫌いです / 乃紫
  • ラブとピース / 平井大
    ラブとピース / 平井大
  • 織姫とBABY feat. 汐れいら / ねぐせ。
    織姫とBABY feat. 汐れいら / ねぐせ。
  • 貴方に晴れ / Rin音
    貴方に晴れ / Rin音
  • おっさんのダンスが変だっていいじゃないか! / ウルフルズ
    おっさんのダンスが変だっていいじゃないか! / ウルフルズ
  • あやふや / みさき
    あやふや / みさき
  • 言わなきゃ良かった / Karin.
    言わなきゃ良かった / Karin.
もっと見る
TOP
  • アーティスト名インデックス
  • アニソン検索・索引
  • アルバム検索
  • 歌詞全文(フレーズ)検索
  • タイムマシン検索
  • 新曲歌詞情報
  • 新曲歌詞情報(演歌・歌謡曲)
  • アニメ
  • 動画プラス
  • 音楽番組情報
  • 総合ランキング
  • 演歌歌謡曲ランキング
  • カラオケランキング
  • 歴代人気曲ランキング
  • 注目度ランキング
  • 歌詞ショート
  • 今日のうた
  • ニュース
  • 特集ピックアップ
  • インタビュー
  • コトバのキモチ(ワタフレ)
  • 言葉の魔法
  • 言葉の達人
  • その他(バックナンバー)
    • 大人の歌ネット
    • ストリーミング
    • ライブレポート
    • キラ☆歌発掘隊
  • 運営会社
  • メディア掲載情報
  • 利用規約
  • プライバシーポリシー
  • お問い合わせ・リクエスト
  • コンテンツ
  • 広告掲載
  • スタッフ募集
各ページに掲載されたジャケット画像、歌詞に関する著作権は、各レコード会社、アーティストなどに帰属します。

(C)2001 PAGE ONE All Rights Reserved.

このページの先頭へ

MENU

  • ホーム
  • 動画プラス
  • マイ歌ネット
  • 歌詞閲覧履歴
  • ランキング
  • 新曲歌詞情報
  • 今日のうた
  • ニュース
  • ピックアップ
  • コトバのキモチ
  • 言葉の魔法
  • 言葉の達人
  • 歌詞ショート
  • アニメ
  • 音楽番組情報
  • その他
    • ・大人の歌ネット
    • ・ストリーミング
    • ・ライブレポート
  • 運営会社
  • メディア掲載情報
  • ご利用規約
  • お問い合わせ
  • 検索ヘルプ
  • プライバシーポリシー
(c) 2025 Copyright. PAGE ONE All Rights Reserved.()